ことばノート

ことばノート

心に引っかかった言葉を、僕 ( 大倉恭弘 ) はときどき集めることにしました。(Jan.27, 2004)




(17)

漫画を書くというのは自分の頭の中にあるものをトレースし書き出すようなもので、
その過程は作業でしかなく辛いこともあります。

タナカカツキ (漫画家、映像作家)



“UPLINK infomation 2004 MAY”より。
僕はタナカくんと同級生なのですが、「彼にとって漫画はトレースなのか」と驚いた。かきながら
考えるのでなく、かなり明確なイメージが脳の中で出来上がっているんだなぁ。 (UP DATE:June 1, 2004)



(16)

軽いし、すごく着心地がいいんで楽。ヒザ、ヒジも突っ張らないし、背伸びしたりしても、
どこにもストレスがない。僕のように体の大きな人間は、まずサイズというのが気になる
んですが、それもナイキさんが気合を入れて作ってくれています

清原和博選手 (読売ジャイアンツ)



ナイキの黒いウインドブレーカーについて。
パンフレット『NIKE BASEBALL 2004 Diamond Flash Practice Apparel』より。

「ナイキさんが気合を入れて作ってくれています」って、非科学的で魅力に満ちたセリフやなぁ。
僕には、ナイキがたんなるメーカー名でなく、個人名のように思えてきた。
( 2004年5月31日 up date )



(15)

「東京は情報が多すぎてしんどい」M

「神戸なら、普通のオバサンでいられる」F



2004年5月22日、朝日新聞 ( 夕刊 ) より。先頃、テレビドラマ脚本の最高賞といわれる
向田邦子賞を受賞したのは、神戸在住の脚本家「木皿泉」。その木皿泉とは、放送作家の
M(男性)と、ラジオドラマ作家のF(女性)によるコンビ名。
( 2004年5月23日 up date )



(14)

私のモットーは「出発に年齢はない」。

小説家・萩原葉子



2004年5月22日、朝日新聞 ( 夕刊 ) より。萩原葉子さんは、詩人の故・萩原朔太郎氏の娘。
( 2004年5月23日 up date )



(13)

足りなかったものは何もありません。
これからやっていくことが増えただけです。

女子バレー日本代表 吉原知子 主将



2004年5月17日、夕刊フジより。2大会ぶりの五輪出場を決めたものの、最終予選ファイナルマッチ
のロシア戦に0ー3で完敗した後。吉原選手は負けん気が強い、とされている。僕はこの発言を知り、
負けん気が強い、というより「ポジティブな人だな」と感心しました。
( 2004年5月23日 up date )



(12)


捨てようよ飾りも知識も欲望も
全てなくせば時代(とき)を歩ける

公園の青きテントの灯(ともしび)よ
その営みは神の試練か

コピーライターとして勤めていた大手広告会社をリストラされ、地下街で暮らした経験を持つ
関節夫さんの短歌。関さんの歌集『たそがれにはまだ早い』(アートン)を取り上げた
朝日新聞2004年4月27日夕刊の記事より。( 2004年4月28日 up date )



(11)


 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲には、ほとんど音階と分散和音とトリルだけで
できているような、禁欲的で、ヴァイオリン向きとは言いがたい装飾音型が頻出するの
だが、それがとても刺激的で、いま着想されたばかりのように即興的な旋律として聞こ
えてくる。

音楽評論家 伊藤信宏


5度目の客演となるスクロヴァチェフスキの指揮ぶりと初来日のヴァイオリニスト、
コパチンスカヤの独奏。協奏曲、交響曲など、すべてベートーヴェンのプログラム
「N響定期 オールベートーヴェン・プログラム」について。朝日新聞2004年4月
27日夕刊の記事より。( 2004年4月28日 up date )



(10)

仕事を通じて、自分を証明する必要はない。というか、それはしてはいけないことだ。
最大の敵は、常に自意識である。個性的であろうとするよりも、
ただ無我夢中でやるほうが、結果として個性的な仕事が生まれる。

西村佳哲さん(働き方研究家)

晶文社から出ている西村佳哲(働き方研究家)さん著『自分の仕事をつくる』あとがきより。
「個性」というものについて考えるためのヒントになるかもしれない。( 2004年4月12日 up date )



(9)


正直言って、自分たちの事業領域が何かというのは、あまり気にならない。
企業である以上、従業員と顧客、株主の価値を増大させればいいので。
儲かる事業ならいい、ということです。

三木谷浩史 「楽天」会長兼社長

2004年4月6日、ここに転記。朝日新聞の別刷り“be on Saturday”( 2004年4月3日 ) より。
儲かる事業ならいい、なんて言い切ってしまっていいのか、知り合いでもないのに心配になってしまった。
でも、普通なら口に出しにくそうなことでもストレートに主張できる強さが、三木谷さんの魅力のひとつなのかもしれない。



(8)


99年の世界選手権(スペイン・セビリア)で現地まで行きながら
故障で走れなかった時は、どうしたらいいのか暗闇の中で
しばらく道が分からないような状態でしたが、今回は違います。

高橋尚子 2000年シドニー五輪女子マラソン金メダリスト

2004年4月6日、ここに転記。朝日新聞 ( 2004年4月3日<土>朝刊 ) より。
アテネ五輪の代表選考にもれた心境をうち明けた、朝日新聞とのインタビューの中で。



(7)

わしゃ止まると死ぬんじゃ。

間寛平さんの名作ギャグのひとつ。止まると死ぬ。この言葉を僕は勝手に、
「物作りにかかわるすべての人間へのメッセージ」として受け取っている。

2004年3月8日<月>



(6)

ドキュメンタリー撮影をする時に自分で決めているルールはありますか

「ドキュメンタリーは主観的なものであり、演出をすることによってリアルなものを作りだす
もの。欲しいと思うコメントを被写体から事前の打ち合わせなしに引き出していくことが必要
です。制作時に個人的なルールとして、被写体に了解の上撮影をし、決して盗み撮りはしない
こと。しかし、作家のエゴではあるが、一度了解を得た撮影に関しては編集段階に入ったら素
材のチェックはさせない。皆さんももし、テレビの撮影をされる場合があったら簡単に了承し
ない方がいいですよ」


最近どうしてドキュメンタリー作品を撮られていないのですか

「ドキュメンタリーとは加害性が必ずあるもの。そして、ドキュメンタリー作家は業が深くな
いとできないものであり、人を傷つける覚悟が必要なんです。今まで撮影したドキュメンタリ
ーでも必ず誰かを傷つけました。また新しく撮影するということは、同時にまた誰かを傷つけ
ることになってしまう。それを思うとなかなか作れなくなりました。でも、きっとまた撮りた
くなるんですよね」


『A』『A2』監督、森達也氏とワークショップ参加者の質疑応答。
アップリンク発行のフリーマガジン『UPLINK INFORMATION 2004年3月号』に掲載された
デジタル・ムービー・ワークショップリポート ( 会場:アップリンク・ギャラリー ) より抜粋。
誌面で紹介されているワークショップ ( 2003年度冬期初回:1月18日 ) のゲストが森氏だった。 (2004年2月20日<金>)





(5)

林深則鳥棲
水廣則魚游

中国語の発音はわかりませんが、「森が深ければ鳥が棲む、水が広ければ魚が泳ぐ」といった意味合い。
邱永漢さん曰く「心が広いというか、大きな器でないとダメですよ」とのこと。 (2004年2月20日<金>)

『お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ』 ( 邱永漢さん・糸井重里さん、PHP研究所 ) より





(4)

「ひまつぶし」と「ひつまぶし」、似てるよね。

朝日新聞の「天声人語」を読んでいた妻がとつぜん発した。(2004年1月10日<土>)





(3)

どんなに悲しいことがあっても、人生には続きがある。

2002年春、NHKの「未来への教室」の中でディック・ブルーナさんが語ったもの
当時、僕は友人を不慮の事故で亡くした直後でしたが、この言葉にどれほど勇気づけられたことか。





(2)

舌が痛いとか、そういう問題じゃないんだよ。

2004年1月25日の夜、外から聞こえてきた、男の怒声。酔客か。





(1)

筋肉は明石海峡大橋のようでなければならない。

2003年8月12日、朝日新聞(朝刊)に掲載されたアスリート伊東浩司さんの言葉。
「橋は適度なたるみがないと、壊れやすい。筋肉も同様で、ほぐして動きやすい状態にしておくことが、
いいプレーにもつながるし、けがの予防にもなる」というような意味合い。


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