2003.11.3 掲載
子供の声について
川 村 英 司
今年のドイツ連邦声楽教師連盟(Bundesverbannd Deutscher Gesangspädagogen)の年次総会の主要テーマは "子供の声(Kinderstimme)と年寄りの声(Greisestimme)"で、如何に子供の声を大切にして発育させるかという事と如何に老人の声の老化させないようにするかという事に多くの時間が費やされました。30年以上も前からNHKの子供の時間の出演者(大人の声優)が、面白おかしく声を作り、ある時には不自然に喚いたり、怒鳴ったりして劇の進行をしている事に批判的であるということより以上に、非常に憤りを感じておりました。声優や出演者は声帯の発育が止まった人達で、どんな声を出そうとポリープが出来ようと自業自得ですから一向にかまいませんが、育ち始めた子供の声帯の発育、発声器官にどのような弊害があるかを考えないで公共放送が放映するとはけしからんと思ったので、日本薄謝協会ではなく、日本白痴協会だと罵っておりました。
そのひどさには目を覆いたくなるばかりで、昨今の子供達の声の出し方の不自然さには驚きを通り越してしまっています。3月だったと思いますが、孫の幼稚園の発表会に出席しました。以前から元気の良い事イコール怒鳴り散らす事のように孫が錯覚しているよう思えてならず、園長である住職さんと園児の声の事について話したいと申し入れをしていましたが、結局時間を取ってもらえませんでした。果たせるかな発表会は最悪の子供の声で、メロディーもへったくれも無くただ喚き散らしているだけの歌ですが、園長さんは子供の元気さにただただ感激していたそうです。恐らくその住職さんのお経も元気良く喚き散らす事で信者達は有り難い御経だと感激しているのかもしれませんが、調子っぱずれの元気な歌は有りがた迷惑なだけではなく、子供の声帯の発育にマイナスだけなのです。
私は日本の基礎教育全般が狂っていると思っている一人です。戦後ここまで教育が狂ってしまったのは総て文部省、現文部科学省の責任で日教組より数十倍も日本を歪めた元凶であると思っています。そもそも予備校、塾が繁盛する事を認めている文科省は無責任の権化ではないでしょうか?責任をとってもらいたいものですが、責任をとらないで済む様に出来ているのが日本の官僚機構です。全くもって悲しい事です。
国立大学の法人化とやら、私にはよくは分りませんが、独立採算とか色々言われていますが、統廃合をするかと思えば、続々と大学や学部の新設。そもそも大学が多過ぎるのですから徹底的に減らす事を考えなければならないのです。旧制高校では第一外国語の時間が12時間以上もあったのです。現在の大学生の語学力は如何なものでしょう!大学生用の英和辞典でも発音にカナを振らなければ売れないとの事です。我々の時代(戦中です)は中学校ですら万国共通の発音記号での発音を強いられて、カナを振る事など厳禁だったというのに。建物作って魂入れず。大学生の自覚は小学生並です。それより大学生の学力低下の元凶として、大学教員達の程度の悪さを一番に嘆かねばならないのです。
子供による凶悪事件が起これば何時も「心の教育が大切だ!」と口では大臣や代議士、官僚は言いますが、心の教育は何でできるのでしょうか?口で言えばそれで充分と思っているのが税金泥棒たちの理屈なのでしょう。
私は音楽のことしか分りませんので、その分野での発言をします。
出産時には2 mm しかない声帯でもあの小さい身体で、あれだけ大きな声で泣くことができるのです。勿論腹筋を含め筋肉は殆どない状態ですが、自然に横隔膜を使って声を出すことを知っているのです。ボクシングのトレーニングかと思うような腹筋の訓練をさせる声楽教師、所謂巷で言われているヴォイストレーナーは何を考えて、あれほどまでに不自然にお腹を固くさせる事をするのでしょうか?全く理解に苦しみます。罪悪です。
お腹と喉を固くして大きな声で喚かせる事は絶対に止めなければならないのです。勿論腑抜けたように弱弱しく話す事も不自然ですが。
現在の多くの子供のように声帯、首を固くして必要以上に大きく喋る事は、声のためにマイナスでしかありません。汚い声になるのです。それぞれが持つ個性のある綺麗な声にはなりません。ハスキーな声で泣く赤ちゃんを聞いた事がある人は教えて欲しいです。僕はそんな赤ちゃんはいないと信じていますので。
続きはまた書く事にします。