東京、2003年01月16日
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寒中お見舞い申し上げます。
寒い日が続きますが、皆様方にはお変わりなくお過ごしの事と存じます。私は昨年秋よりすっきりしなかった風邪の症状のため予定しておりましたコンサートを二つもキャンセルしてしまいました。年末から家族全員で過ごしましたスキーでやっとのこと抜け出しほっとしたところです。健康の大切さが身に沁みました。
1月31日のシューベルトの命日にレクチュアコンサートでシューベルトの「冬の旅」第1回(第1曲から第13曲まで)を色々な解説を交えて歌います。
2月22日のフーゴー・ヴォルフ100年目の命日に没後100年を記念して同封のチラシのような「ヴォルフの夕べ」をいたします。
2003.2.22(土)7時開演 「フーゴー・ヴォルフの夕べ」 ピアノ=小林道夫
会場=東京文化会館 小ホール 当日プログラム(予定)→こちらから
全自由席 5000円
ヴォルフはシューベルトと並び賞される2大歌曲作曲家の一人ですが、日本では難しいと敬遠され気味です。決して難解な作曲家ではありませんが、ドイツ語の理解度が高ければよりいっそう理解しやすい事は確かです。皆さんに私の大好きなヴォルフを見直して頂きたいと思いプログラミングをいたしました。
私が最初にヴォルフを皆さんの前で歌ったのは、読売新聞社主催の新人演奏会で、竪琴弾き 。 「涙と共にパンを食べた事の無い者は」 (Wer nie sein Brot mit Tränen aß) でした。1953年春の事ですから50年も前の話です。この年まで歌い続ける事が出来、ヴォルフの没後100年を記念して歌うことが出来るとは10年前には考えてもいませんでしたので、夢のような気がします。
私を支え、励ましてくださった皆様方に心からのお礼を述べさせていただきます。本当に有難うございました。
昨年は79歳のクラウス・オッカーさんの歌唱芸術に数度触れる事が出来ました。10年ほど前に80歳のカミーユ・モラーヌさんの歌を初めて聴いたときほどの驚きではありませんでしたが、現代曲を含め、色々なジャンルの歌曲を歌われるオッカーさんの見事な表現と素直な張りのある、自然な声にはただただ驚くばかりでした。少しでも近づいてみたいと思ったのが10年前でしたが、自然を保つという事、声帯を老化させないという事は中々大変な事ですが、挑戦してみたいものです。
「ヴォルフの夕べ」は彼の15歳の時の歌曲からはじめ、最後の歌曲「ミケランジェロの詩による3つの歌」で締めくくります。15歳と言えば中学3年です。モーツアルトはもっと子供の頃から数多くの作品を生み出しておりますが、現在のスロベニアの片田舎の皮革製造業者の子供として育ったフーゴーは、音楽好きの父親の影響は受けていたでしょうが、所謂幼児教育は受けて居りませんでした。
400曲程の歌曲を作曲したヴォルフの一端しか1晩では紹介できませんが、お楽しみいただけると思います。御友人、御知人をお誘いくださってお出かけいただけると幸いです。
寒さに向かいますのでどうぞご自愛ください。
川 村 英 司