Curtis creek


 
事始は大学1年の夏、郷里の里川。そのころは夏休みに暇を
持て余すことが多かったように思うのですが。そんな時はドライブがてら、
そこに出かけて行ってルアーの虹鱒釣りを楽しんだものです。

当時はそれほど放流事業も盛んではなくて、天然魚は釣りきられていて
魚は非常に少ない状態でした。
釣れなくてもルアーならより遊びの要素がより多くあります。
ルアーを選んだり、遠くへ投げたり、岩の隙間へ投げ入れたり、
それだけでも楽しいものでした。時々は釣れて来ましたし、、、、
渓流の中を横切るルアーに魚が飛びついたり追っかけてきたり、充分楽しかった。

小雨降る曇天の日のこと、川沿いの山道で、変ったいでたちの釣り人とすれ違いました。
右手に見たことの無い釣り道具を、左手には尺を悠に超える魚をぶら下げて
うつむき加減にして、なんだか少し影があるけど思慮深そうで、私は後姿をしばらく
眺めていたように思います。
 それからまた少ししたある日、眼下に見える木々に覆われた渓に薄緑のラインの
舞を初めて目撃たのです。
その釣り人を含む景色の美しさにしばし目を奪われた。
この二つの出来事が私のFFの元風景です。そしてFFオンリーの釣り人になりました。
緑のラインが好きなのも、好きな釣り場の傾向も、つりの道具立ても、
もとをただせばすべてここにあります。
この川は里川とはいっても本流の水は取水されて、ほとんどの水源は支流の
急峻な渓谷からのもので真夏でも水温は15度程度。だから村里を貫く川なのに
真夏の昼間でも結構釣りになるわけです。木々が覆い被さる下を、明るい瀬を
、エメラルドグリーンの淵を、大岩のエグレを流れ、様様な景色を作っています。
最近はなかなか綺麗で大きい魚は居ないのですが、
それでも過去には素晴らしい魚を手にすることが出来ました。
私はそんなに大きくなくても美しさを備えた魚を求めます。
キラクのブラックマジシャン7.2フィート、マリエットの7.5に
#4ラインはコートランド、リーダーはバークレー7.5フィートにフライを直結。
これが最初のタックル。渋谷のサ0ス0で購入、高かったなあ。
長期の休みになると郷里へ行ってこの川ばかり上流から下流まで
行ったり来たり、支流で熊に遭ってしまったこともあります。
強烈な日差しの猛暑の時でもここの水に浸かっていさえすれば天国だった。
夕立に遭いながら川中で水面を見続けたりもしました。
全く居心地の良い大事な場所でした。
しかし、例によって土木工事や台風によって現在は往時の面影は薄くなり、
実は一昨年の大水害以後そこへ釣りに行ってません。
竿をもって川に立つのが恐ろしい。
回復することを願ってやまぬものですが、元通りになることは望むべくもありません。
鎮魂の思いをこめてその川とそこの魚をご覧いただきました。

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