長文


地方から東京に出て来て居ついてしまった私は、
都会の中で長く居ると息苦しくなってきます。
なんとなく頭に霧がかかってきて、食欲も今一、
寝つきも目覚めもいけません。ただし、お酒の量だけは変に増えたりします。

そんなとき、郊外へ脱出して緑の景色の中、お日様を浴び、
好きな活動(私の場合は主に釣りになります)をしますと、あらゆる面で改善が起こります。
何処どこが良くなったけど、ここはダメで、、、、というのではなく、まるでオセロの黒と白が
一気に逆転するように、全部が負から正に転換されます。
これは直覚として、前日過ごした時間が作ったとしか思えません。
三木成夫という解剖学者は、人が病気になる場合、特に心身側の問題があるとすると
突き詰めると、それは生活の"振幅の減弱"と"位相のずれ"という点に集約できると言っています。
 平たく言えば、生活にメリハリをつけることと、生活の時間パターンをコンスタントに持続することを
意識せよ、と言うことです。

自律神経失調を根とする疾患は大変多くあります。
これは副交感神経と交感神経の転換リズムが不良になっているために起こりますが、
神経そのものが壊れているのではなく、順番としては転換のはっきりしない生活が
自律神経をメリハリ良く働かすことをせず、結果的に必要な時、正常に機能出来ない状態に
してしまうというのが実態です。



この自律神経のように対極、拮抗関係の存在はあらゆるシーンで見受けられます。
陰と陽、夜と昼、冬と夏、動と静、月と太陽、満潮と干潮、植物と動物、攻撃と防御、
活動と休息等ですが、こういったことをテーマにした本もまた非常に多いものです。

 上記した要素は進化の時系列からみると、どれも人間が地上に出現する遥か昔から
存在していました。
こうした地上の環境の下、そのリズムの影響を浴びながら、それに沿うように、と言うより、
それを頼りとして人間は作られていると考えるのが自然な考え方だとしたら、
それぞれに抗う形の生活が、人間らしくない状態、つまり不健康な、ひいては病気にして行くことは
むしろ当然のことです。


 人々が車に乗り、深夜に活動し、昼夜逆転の生活をし、季節を無視した異文化の食事をし、
一日中ソファでDVDを鑑賞し、バーチャルゲームに熱中するという
文化的、都会的(これは非自然ないし人工。あっ、、原発も絡むなあ)な生活に
充実感、幸福感をみつけ、人生を謳歌していると信じるのなら、
病気も甘んじて受けなければいけないのです。
病気になって治療するのも、未病を察知して漢方薬を飲むのも
(ちなみにこれは生業、経済を支えていますが、、、)本質的に尻拭いに過ぎません。

本当に健康な体にしようとするなら、健全な生活を実践するしかないでしょう。
以上はどなたもご存知のことですが、とは言え、それはなかなか辛い、楽でない側面があります。
だいたいにおいて、人間はそれが嫌で、楽になろうとして文化を創って来たんですからね。
理論と心情は裏腹です(自己矛盾)。




生活習慣の時系列上の注意点に加え、空間における注意点もあります。
生活する場の違いによって生活スタイルも呼応して差があるべきことを忘れてはいけません。
国としての伝統文化や躾、地域文化を無視した生活(たとえば極端な欧米化)も様々な支障を
起こしているようです。
西洋人と日本人の顔傍が違う理由を考えてみるのも良いかもしれません。

ともあれ、身土不二で晴耕雨読という日本人的スタイルは捨てたものではないようです。
私的には釣りに行くことは"振幅維持"のための重要な活動です。健康のため、
すなわち仕事のために必須の要件です。これ無くしては生計が成り立たないことを
日々、周りの人々に語り続け、そうして、ようやくのこと、辛うじて、毎週出かけることを
可能にしている次第です。

今の世の中、なにごとにも理論武装は必要なのであります。
というわけでヤマメです。

失敗だらけの日に、少しだけ微笑んでくれました。