待ちに待ったゴールデンウィーク。
当初は、昨年好釣果に恵まれた東北方面かな、と考えていた。が、一方で混雑を避けて、たまにはのんびり釣り糸を垂れるのもいいかな・・・とも。
そんなところに、クラブの副会長でもあるK氏が、新設関東支部の支部長として?神奈川に転勤となった。
「GWは小名浜行くで!」
そんなK氏の言葉に乗ったのは、この時期にナメタガレイを狙ってみたいという思いが、以前からあったからでもある。
新大阪発最終の「のぞみ」に乗り、2人分のエサの入ったクーラーを手に新横浜駅に降り立った頃には午後11時半を過ぎていた。
早速、迎えにきてくれていたK氏のグランドハイエースに乗り、ゆっくり休憩など取りながら、首都高経由で常磐方面に向かった。
初日:
本日の釣り場である中ノ作の渡船屋には4時到着。そして、5時きっかりに3組の釣り客を乗せた渡船(最近新しくなったらしい)は、沖堤めざして静かに出港した。
波止に上がってからは、K氏と共に東端までひたすら歩く。荷物をほどいてすぐ、漁師が網を上げにきた。そしてそこには、数少ないながらカレイがかかっているのが見える。
「カレイ、おるやん」
いそいそと支度をして、2人して遠近投げ分ける。潮は下げにかかっているはずだが、ほとんど動いていない。
「釣れんナア」
沖向きだけでなく港内向きにも竿を出してみるが、全く釣れる気配なし。
わずか2時間程でシビレを切らし、K氏を残して船着きの裏のナメタポイントに移動する。こちらでは、やはりナメタ狙いの投げ釣り師が3人ほど陣取っていた。
全部の竿を外向きに集中し、足元から10メートルまでの範囲を探る。
だが、たまに小さなアタリを送ってくるのは、30センチに満たない小アイナメばかりである。隣のグループにも釣れている気配はまったくない。
「まいったなぁ・・・」
ふと港内向きを見ると、なかなかいい具合に潮がよれているではないか。何か釣らなくてはと、3号スプールに交換して内向きに遠投。
するとこれが当たって、32センチと常磐では小ぶりながらマコガレイが釣れる。
しばらくして様子を見にきたK氏、私の移動後すぐ36センチのアイナメが釣れたらしいが、それっきりとのこと。隣に移動してきて内向きで釣り始める。
がしかし、結局午後2時の納竿までアタリはなく、迎えにきた渡船で港に引きあげる。そして、そそくさと荷物を積み込み、当初の予定通り、第二ラウンドの小名浜港へ移動するのであった。
小名浜港へは5分ほどで到着。夕暮れまでの短時間勝負なので、地方の波止で二人並んで竿を出す。
ここでは潮がよく動いており、1時間ほどの間に、私の近投の竿にアイナメが3連発! それも、40、43、47.5センチといい型ばかり。
やがて潮が止まるとアタリも止まり、日没前に納竿して宿に向かった。
2日目:
朝4時に起床。さらに南下したところにある、北茨城の港を目指す。ここでは1週間前にK氏と、同じく関東支部のI氏が良型のマコガレイ・アイナメを爆釣している。それに、ナメタガレイの実績もあるところである。わずかながら期待は残っている。
ところが渡船屋に到着してびっくり、前日は釣り人が少なかったはずなのに、今日はすごい人である。受付を済ませて港に着くと、まだ出船まで時間があるというのに、既に準備万端の大勢の釣り人で殺気だっている。30人はいるだろう。
当然、1番船には乗れず。まぁ広い波止だから、と2番船に乗って沖堤に向かう。
ここでは、既にマイポイントを持っているK氏の隣で竿を出す。マコガレイは内外どちらでも。ナメタとアイナメは外向きがいいと聞いていたので、外向きに出した竿に期待する。
期待に違わず、開始早々、ゴンゴンと竿先を叩くいいアタリ。あわせて巻き始めるとアイナメの感触。すぐに40センチ級のアイナメが海面に姿を現した。
「タモ〜」
K氏に声をかける。が次の瞬間、ポロリと針が外れ、アイナメは元気に海底めがけて帰って行くのであった。
「あ〜あ」
最初に魚をばらすと、それ以後最後まで何も釣れないパターンを何度も経験している。
暗い気持ちになりながら餌を付けていると・・・
「来たでぇ〜!」
と、K氏が竿を満月に曲げている。どうやらカレイのようである。
「こりゃ、デカイわ!」
ここでデカイというからには50センチオーバーか?どれどれ、タモを手にして様子を見に行く。しかし、水面で姿を現したマコガレイは何か様子が変だ。
よく見ると、ヒレに針が掛かっている。そう、スレなのだ。よく引くはずだ。
慎重にすくって波止に上げたカレイは41センチ。
時合到来か?新鮮な青イソメを房掛けにして、ポイントに投入する。
「来た、来た♪」
次に竿を曲げたのは、またもK氏のほうであった。39センチのマコガレイ。そして、次は38センチ。どうやらこれぐらいが今ここの釣り場でのアベレージサイズのようである。1箇所に固まっているようで、こちらの竿にはアタリがない。
9時頃、しびれを切らし、K氏の向こう側へ移動。そして、「やはり、初志貫徹」と、外向きの竿に気合を入れる。
15メートル程軽く投入したあと、基礎の切れ目までそっと引いてきて、オモリが当たったところでアタリを待つ。餌はマムシと青イソメのミックス掛けである。
内向きの竿を上げて餌を交換しながらふと外側の竿に目をやると、竿先が徐々に曲がっていき、スローモーションのように竿尻が浮いた。
「来た!」
はやる心を抑えて竿尻を掴み、ラインを少し送ってから大アワセ。
アイナメでもマコガレイでもない独特のシメ込みを楽しみながら浮かせると、細長いカレイのシルエットが見えてきた。
「タモ〜!」
K氏がタモを持って駆けつけてくれるまでの短時間にも、海面下で餌を吐き出しながら、上下左右に活発に泳ぎ回る元気さにはハラハラさせられる。
波止が高いので6メートルのタモでもぎりぎり届くくらい。暴れてすんなりとは入らなかったが、なんとか掬ってくれた。
波止に上げると、愛嬌のある風貌をしたグッドサイズのナメタガレイ。狙いの魚がようやく釣れてホッとした。
その後、2匹めを狙って外向きを重点的に攻めるが、小アイナメとドンコのみ。2日間の常磐での釣りに幕を閉じた。