「鳥取県の金曜日の降水確率は50%でしょう」
週明け月曜の天気予報は週末の悪天候を予感させる。少し早い冬休み、日本海シリーズ第3戦は『雨男』一本釣り師氏とT氏の3名での釣行である。
「荒れたら水道(境水道)かな?」
ところがそんな不安を前日の予報が吹き飛ばしたのである。金曜日は一時的に天気が回復、風も徐々に収まってくるという。釣果は終わってみなければわからないが、前週の嵐の中での釣りを思えば、好天のなかで釣りができるだけでも幸せである。

釣行日当日。「平日なのになんで?」と思う程の大盛況、午前8時発の1番船に乗って港の入り口にある一文字波止へ向かった。3人それぞれ、少し離れたところに散らばり、戦闘開始。
「カレイよ来い!」と、青虫を房掛けにして第1投。フルスイングで大型船の航路筋を狙うが、正面からの風が強く、失速。80メートル付近にポチャリと着水した。
竿を全部出してすぐ、餌盗りの状況を把握するため最初に投げた竿から巻き上げる。案の定、餌が全く残っていない。残りの竿も同様である。餌盗りの正体はなんだろう?ハリスに傷はないのでフグではなさそうだが・・・。
マシンガンキャストを繰り返し、カレイが口を使うのを待つ。たまにアタリを送ってくるのはキスにガッチョ。小型の口の外側にスレでかかってくることから考えると、餌盗りの正体はこれらの魚だろう。カレイが釣れなければオカズ確保!といきたいが、あいにくカレイ針14号以下の小針は用意していない。隣の一本氏は手のひらぐらいのカレイを一枚上げるが、やはり餌盗りと悪戦苦闘しているようだ。こちらにはカレイのアタリもなく、ただ時間ばかりが過ぎてゆく。
午後2時頃、この状況にシビレをきらしたのか、一本氏が竿を担いで波止先端へと移動して行った。
と、ちょうどその時、満潮の潮止まりから、少し潮が動き出したのである。
餌を交換しようと、リールを巻いていたその時。隣の竿が小さく2,3度おじぎしたかと思うと、ミチイトがどんどんフケていった。
なおもリールを巻きながら、「オマツリしたかな?でもひょっとして・・・」少し期待する。餌を付け替えて投入後、おもむろにその竿を手にして糸フケを取り、一日分の大アワセ。
大概の場合、こんなケースはスカッと空振りでのけ反りそうになるが、今回は違った。「ドン」という重量感で竿が止まったのである。
波止が高いこともあり、グングンという底への締め込みがより一層伝わってくる。そして足元で姿を現したカレイは・・・「アレ?」、手ごたえの割には小さく見えた。が、どうしてどうして、新調したタモで波止に上げたカレイは、40センチを超えるまずまずのサイズの肉厚イシガレイ。やはり波止が高いことで小さく見えたのだろう。
このころ、T氏も立て続けにカレイを上げているのが遠目に見えた。時合到来か、と餌を交換して打ち返すと手のひらサイズのマコガレイが2匹釣れる。しかしほんの15分程でその時合も終了したようで、そのあとは再び沈黙。4時半の納竿までに少し型のいいキスを追加したのみ。カレイの時合の短さをつくづく感じる釣行であった。
