鳥取県は白兎海岸沖に浮かぶ小さな島…というよりは平坦な磯、が房島である。浅く、磯際にシモリが広がっている以外は底の変化に乏しく、あまり釣れそうな雰囲気はしない。遠投すればほとんど全くと言ってよいほど根掛かりもない。が、春先から秋にかけていろいろなターゲットが狙え、しかも良型揃いである。
例えば、春4月から5月にかけては40cmオーバーのカレイ・アイナメ、6月から秋にかけては尺ギス、70cm級のマダイ、50cmオーバーのチヌにマゴチまで狙える。このため、週末ともなれば近畿や岡山から多くのキャスターが訪れる。欠点は餌取りであるフグが非常に多いのと、磯が低いため渡礁できるのが凪の場合に限られる、ということだろう。
そんな房島に、2ヵ月ぶりに釣行した。今回の相棒はサーフスキッパーズの湯浅氏。私は主に鯛系の魚狙い、湯浅氏は尺ギス狙いである。
大阪を昼前に出発し、現地の渡船屋には午後3時過ぎに到着した。出発前に電話で確認した時は「他に予約は入っていないヨ」ということだったが、船に乗り込むと船長曰く、「既に3人上がっている」とのこと。小さな磯ではあるが、6人ぐらいまでならゆったりと投げ釣りが可能なので、釣り座の心配はないが波の高さが気になる。
港を出て外海に出ると、完全なベタ凪。十分釣りになりそうなので、ホッとひと安心。房島に着くなり先客のグループの方(岡山のクラブとのこと)に声をかけて、空いているスペースに各々入れていただく。
時合となるであろう夕暮れ時までは、まだタップリ時間があるのでゆっくりと準備にかかる。しかし、それにしても暑い!まさに猛暑。焼け石の上に乗っているようなものなので当然といえば当然、前回の雷雨と比べるとまだマシだが…。
明るいうちは身エサでマゴチを狙うがアタリはなく、湯浅氏は引き釣りを試みているが、小型のキスを1匹釣ったぐらいである。やがて日が西に傾き、ゴールデンタイムに突入だ。
さぁこれから、とユムシとチロリを付けて遠近投げ分ける。
最初のアタリは6時前、ドラグが突然悲鳴をあげた。「来た!」。ドラグを締めてアワセると「グン」と竿全体に重みがのる。手前に来て横走りするので、おそらくチヌかスズキだろう。最初の獲物なので無理はせず、湯浅氏に声をかけてタモ入れをお願いした。
磯際のサラシに姿を現したのは、やはりチヌ。引き上げてメジャーをあてると50cmジャスト、スマートなオスのチヌである。これを見て、暑さでヘタバッテいた(失礼!)方々も気合が入ったようである。
日が完全に落ちる頃にケミホタルを装着、一同ワクワクしながらアタリを待つ。
フグが極端に多い釣り場というのは、日中よりむしろ日没後夜明けまでに沸いてくる。淡路・中紀、そしてここ房島も例外ではない。チロリは一瞬、ユムシでさえ10分ともたない。
あきらめずに投げ返しを続けていると、10時頃待望のアタリ。足元で中型のマダイが姿を現した。今度はセルフサービスでタモ入れ、40cmのマダイであった。今度こそ続くかと思われたが、このあとサメが連発(これではキスは期待できない)。
次のアタリは日付もかわった0時過ぎ。巻き始めると手前に猛烈に泳いできたその魚は58cmのスズキだった。このあと、46cmのチヌと36cmのマダイを追加。
ここでまたアタリが途絶えたことと猛暑の疲れもあり、用意しておいたテントに入って仮眠。3時過ぎより釣りを再開するが、23cmのキスを追加したのみ。キスを専門に狙っていた湯浅氏もあまりのフグの多さにまいってしまったよう。岡山のグループも諦めて熟睡しているようで、動きはない。
結局、朝6時の迎えの船が来るまで尺ギスが姿を見せることはなかった。秋のシーズンには大ギスが例年並に釣れることを祈りながら、鳥取港をあとにした。

| マダイ | 40 36cm |
| チヌ | 50 46cm |
| スズキ | 58cm |
| キス |