◇ ダニ駆除
「フロントライン」
私が現在、有効性を確認し、実際使用している薬剤について説明いたします。
薬剤の名称はフロントライン(スプレータイプ)動物用医薬品です。
動物病院等で購入する事ができ、説明書を抜粋し書き出しますと、
『フロントラインの殺虫成分、フィプロニルは昆虫、寄生虫等の
中枢神経伝達物質であるGABAの働きを阻害すると言う
特殊な作用機序を有します。フィプロニルは、ノミ、マダニ等の
外部寄生虫のGABA受容体にのみ強い親和性を有し、
脊椎動物のそれには、ほとんど作用しません。
また、フィプロニルは、動物の体内にはほとんど吸収されず
体表にとどまります。』
説明文では解りづらいのですが、要は殺虫成分がダニの中枢神経の伝達を遮断し、
狂い死にさせてしまいその作用は脊椎動物には影響ない‥‥と云う事らしいのです。
また、その殺虫効果はかなりの即効性がある事が証明されえいる上、
持続性に関してもマダニに対して約1ヵ月有効と頼もしい限りです。
この薬剤は主に犬、猫用に開発された製品の為、
付属の使用方法などはそれに準じて明記されています。
注意書等は共通項目でしょうが、爬虫類に対する使用方法については
若干の応用が必用な為、私が実践している方法を明記したいと思います。
「使用上の注意点」
この薬剤使用時の注意点は溶解に使用されているアルコールにあります。
よく「犬、猫の使用するのと同じように蛇にも直接散布したのですが‥‥」 と言う話を耳にしますが、
この薬剤での大きな懸念材料はこの直接散布時のアルコールの臭気にあるのです。
実際に使用するとお解かりになる事と思いますが、その匂いは決して優しい香りとは云い難く、
強い刺激臭があります。感覚的見解ですが、直接散布を行った個体を
そのままケージに戻すなどの行為はかなりの危険を感じるほどです。
そこで使用時の注意ですが、薬は必ず直接散布するのでなく事前に
タオルやキッチンペーパー等に一旦散布し、
時間経過によりアルコール臭が和らいでから蛇の体に沿ってしごく様に塗るようにします。
この際、薬剤が多量に付着しますと体がガビガビと固まった様な状態になってしましますので、
20〜30分経過しましたら薬剤を洗い流してください。
この洗い流す行為による薬剤効果の薄れはさほど感じられませんので、
状態を確認しながら実践して下さい。
また、薬をつけた後の個体を白い紙を敷いたプラケース等に安置し、
観察していますと数時間のうちにダニが落ち効果を確認できることもあります。
<レギウス・コメント>
現在、フロントラインの爬虫類への使用は獣医師の方々でも
見解は様々のようです。このHP上で云う有効性はあくまで私個人の見解ですので、
その使用には注意点の確認と各自の判断、責任のもと行って下さい。
「応用編」
先に述べたようにこのフロントラインは持続性にも優れており、
効果が残留する事からケージに散布する事でもダニの死滅、
予防に効果があります。使用法は簡単で、
ごく少量をケージの四隅に散布し、アルコールの臭気がなくなれば
それでもうOKです。この方法は個体の新規導入の際の予防にも役立ちますし、
運悪くダニが発生してしまった際のケージの消毒にもなります。
<レギウス・コメント>
注意する点は必ずアルコール臭が無くなってから蛇を戻すと云う事です。
アルコール臭が充満しているうちに蛇を戻しますと中毒状態に陥る事があり大変危険です、
必ず臭気を確認する様にして下さい。
「その他」
薬剤に抵抗のある方がよく蛇を水に浸ける駆除方法をされる事がありますが、
この方法ではダニが鱗と鱗の間に出来る気泡に入り込み、
なかなか水死させる事が出来ず、思ったような成果を挙げられないのが実情です。
薬剤以外ではオイルを用いる方法にて効果があることを確認しています。
使用方法としては、蛇全体にオイルを塗り、暫く放置します。
放置する際に入れ物の敷物を白い紙等にしていますと、苦しくなった、
ダニが体から離れるのが確認できることがあります、
そのままでは死滅しませんから体に戻ることがないように必ず潰す様にしましょう。
ある程度の時間放置しましたらキッチンペーパー等でしごく様にオイルを拭き取ります。
この行為を数日置きに数回繰り返しますと、
たいがいのマイト(小さなダニ)は駆除出来ると思います。
さらに先ほど効果の薄いと記した、
水に浸ける方法も事前にオイルを塗りますと効果のある方法に変わります。
オイルを塗る事で蛇に油膜がかかり気泡に逃げ込めない為、窒息させる事や、
死なないまでも苦しくなり体表に這い出てきますので駆除し易くなります。
オイルの種類は、私は薬局などで購入できるバージンオイルを使用していますが、
食用オイルを使用する方もいるようですので各自の判断で選択してください。
「バボナの使用について」
ダニの駆除として昔からShop等でも使用されてきた薬剤の1ツにバボナがあります。
この薬は購入の際には印鑑が必要であるなどと、かなりの劇薬です。
最近はTV-CMなどで人家に吊るして使用している場面が放映されたりしていますが、
私はこの薬をフロントライン等と違い使用法によっては節足動物等だけでなく
人体にも影響があるほど危険な薬と捉えています。
バボナはShop等でも昔から薬剤をフィルムケースに入れてケージに置いて使用され、
爬虫類関連の薬剤がない時代ではあたりまえのように使われてきたといえます。
実際私も初期の頃は使用した事もあります、
その私が使用反対論者に変わったのにはある疑問がきっかけとなったのです 、
それはバボナの使用上注意に「劇薬の為、人の居るところでの使用の制約」が有ったことです。
爬虫類のダニ駆除が目的で使用する際、薬剤をかなりの小さいサイズに切りますが、
それはあくまでも人から見ての大きさであり、
爬虫類のサイズで考えれば相当の分量を置かれたことに成ります。
ましてやそれが気密性の高いケージで使用するとなると‥‥。
その効果はダニの駆除どころでは無いと考えたのです。
この薬の効果は薬剤が気化する事で効果を発揮しますが、成分は空気より重い為、
下に沈殿する形となり主に地表を生活空間とする爬虫類にはたまらないものだと思うのです。
よくバボナ使用の際、蛇などがプラケースの上部に首をもたげゆらゆらしているのは薬の中毒により、
いわゆるラリッている状態なのです。現在も尚、Shop等で使用され、
雑誌等でも駆除薬として紹介されているバボナですが、
爬虫類関連の薬剤等が豊富にある現在、古い慣習・認識は正すべきだと私は思うのです。
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