『ドン・キホーテ』(牧阿佐美バレヱ団)

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2008年6月13日(金)

ゆうぽうとホール

 

演出・振付: アザーリ・M・プリセツキー, ワレンティーナ・サーヴィナ (プティパ,ゴルスキー版による)

作曲: レオン・ミンクス

美術・装置: 川口直次     衣裳: 川口弘子

指揮: ミハイル・パブージン(ミハイロフスキー劇場専任指揮者)     管弦楽: ロイヤルメトロポリタン管弦楽団

 

   6月13日  6月14日
キトリ 吉岡まな美 青山季可
バジル ミハイル・シヴァコフ 菊地研
ドン・キホーテ 本多実男 保坂アントン慶
サンチョ・パンサ 山内貴雄 上原大也
エスパーダ 森田健太郎 ミハイル・シヴァコフ
キトリの友だち(1幕) 笠井裕子  坂本春香 小橋美矢子  伊藤友季子
街の踊り子 伊藤友季子 田中祐子
ガマーシュ 保坂アントン慶 坂爪智来
キトリの父 加茂哲也
キトリの母 諸星静子
マタドール(トレロ) 塚田渉  京當侑一籠  徳永太一  今勇也  邵智羽  中島哲也  清瀧千晴  ラグワスレン・オトゴンニャム 塚田渉  京當侑一籠  今勇也  中島哲也  石田亮一  高鴿  清瀧千晴  ラグワスレン・オトゴンニャム
酒場の踊り子 坂西麻美 笠井裕子
シプシーの首領 保坂アントン慶 塚田渉
ジプシーの女 田中祐子 吉岡まな美
森の女王 笠井裕子 伊藤友季子
キューピッド 安部里奈 小松見帆
3人のドゥリアーダ 奥田さやか  小橋美矢子  伊藤友季子 奥田さやか  小橋美矢子  竹下陽子
4人のドゥリアーダ 加藤裕美  海寳暁子  坂本春香  茂田絵美子 笠井裕子  加藤裕美  坂本春香  茂田絵美子
キトリの友だち(3幕) 小橋美矢子  伊藤友季子 小橋美矢子  竹下陽子
町の女たち 奥田さやか  竹下陽子  海寳暁子  坂本春香 奥田さやか  加藤裕美  海寳暁子  坂本春香
ボレロ 田中祐子  塚田渉 笠井裕子  中島哲也

 

とても楽しめました。

主役の2人は非常にバランスのよいペア。
吉岡さんがポアントで立つと,同じかほんのちょっとだけパートナーの頭より高い。これってたぶん,理想的な身長のバランスなんじゃないかな? で,お顔が吉岡さんのほうが一回り小さいから,並んだ時,向かい合った時のバランスがきれい。
身長が釣り合った「踊れる」パートナーに恵まれなかった吉岡さんのために最適なゲストを得られたわけで,よかったですよね〜。

吉岡さんは登場した瞬間から主役オーラを放っておりました。「華やか」とはちょっと違う種類の華で・・・ええと・・・いかにも「下町のお姐さん」的なオーラ。プロポーションがよい長身だから見栄えがよくて,目が大きいから表情豊か。
明るくてさばさばした感じの大人のキトリで,笑顔がキュートなので男も多数寄ってきそう。宿屋の若女将になっても床屋の女房におさまっても,彼女を目当てに客がわさわさやってくるに違いない。(で,バジルはいつもやきもきしている・・・と)

チュチュ姿での彼女の立ち方や踊りは私にはきれいに見えないので,ドルシネアについては多少首を傾げましたが,キトリに関しては,その辺はあまり気にならないので大丈夫。回転系にもっとキレがほしい感じはしましたが(1幕の闘牛士がマントを翻す前でのシェネの連続や3幕のグラン・フェッテがイマイチ),跳躍が大きくダイナミックなのがよかったです。

シヴァコフさんは,外見からして当然「この人違う」がありますし(髪の色とかお顔立ちもあるけれど,何より,腰の位置が高い!),しかも「ゲストが浮く」ほどの周りとの隔絶感はなく,よい客演者でした。予想通り可愛げに溢れたバジルで・・・身体は大きいけれど頭をなでなでしたい愛玩動物系のかわいらしさなんですよね〜♪ 元気いっぱいだけれど,キトリに主導権を握られている感じのバジルでした。
そうそう,狂言自殺で腕をぐるぐる回してから倒れたのが珍しかったですが・・・どういう意味の芝居だったのかしらん?

踊りももちろんよかったです。テクニックは安定しているし,ちょっとした動きもきれいだし,決めるべきところではかっこよくポーズを決めるし。バジルにはもうちょっとスピード感が欲しいので,私にとって「きゃあああ」ではなかったですが,この辺は好みの問題ですよね。
好みの問題で言えば,もう1つ。私は,3幕で髪を固めないバジルというのは嫌いなのですわ。結婚式だっつーに,最近の若い者は・・・。(とはいえ,あの巻毛ではほかの髪型は無理なのか? という気も)

初顔合わせですし,片方がゲストで合わせる時間が少なかったであろう割りには,パートナーシップはよかったと思います。片手リフトが決まらず男性が歩いて調節してバランスを保つ場面はありましたが,これも失敗というほどではないわけですし,それ以外は破綻なく。
シヴァコフさんのサポートは上達しましたね〜。というより,自信がついたのかしらん? 「難所にかかると如実に緊張が顔に現れる」がなくなったので,こっちも肩に力を入れずに見ることができました。

そんなに熱いカップルではなかったですが,日本のバレエ団ではそういうカップルは滅多に見られないので(というか,見たことがないような気が),特に差し支えはありません。「気風がよくて女っぷりもよい」年上の女と「ガタイはいいが気持は少年」な青年との陽気な恋の物語。楽しかったです。

 

エスパーダは森田さんでしたが,その体型はないでしょー(呆)でありました。
そもそも細くはない方ですが,今回は調整が完全に失敗? いつも以上に恰幅がよく見えて,あれではエスパーダ失格ですよぉ。ご本人もそれを意識したのか下半身は茶色に脇だけ白い装飾的な白い縦ラインという引締衣装で登場。ところが,上半身と脛より下はいつもどおり白なので,余計ミョーなことになっておりました。(白い衣装で出てきて,やはり「その体型は・・・」だった前回のガリムーリンさんのほうが,潔い分よかったような気がする)

見せ方は心得ていますし(とはいえ,「かっこよくキメる」ときの顔の表情は,やっぱり好きになれない),演技も上手でしたが,やはり身体が重かったのではないかなー,踊りには音楽についていけない? 感がありました。
彼は今回バジルを降板しているわけで,万全の体調ではないのでしょう。ダンサーは生活のため踊らなければならないし,プリンシパルだからバジルでなければエスパーダということになるのかもしれませんが,登場した瞬間に客席ががっかりするような配役はしないでほしいものです。

ドン・キンホーテとサンチョ・パンサ,そしてキトリの両親はいつもどおり。(ところで,なんのためにお母さんがいるのかいつも不思議に思います。一応キトリたちの味方みたいですが)
ガマーシュの保坂さんは,前回のほうが「気取ってエレガント」が突出していて面白かったような気がするのですが・・・はてな?
ガマーシュのお付きの鈴木直敏さんは,ベテランの技とでも言いましょうか,「お付きまで気取りかえっている」感じを見せて好演でした。

 

街の踊り子は伊藤さん。この役に配するには愛らしすぎる気はしましたが,華があるのは間違いないし,なんとも形容しがたい不思議な色気(清潔感のある色気 かなぁ?)もあるので,悪くもないキャスティングかも。
1幕のキトリの友だちは,笠井/坂本という組み合わせ。吉岡さんの身長に合わせて,大柄な方を配したのかな? 2人とも楽しげに踊り,演じていてよかったです。

この幕では,マタドールたちのレベルアップに少なからずびっくり。3年前は見ていて「眉間に皺」という気分だったのですが,その時とは大違いのキレある動きと見た目のかっこよさ。半分くらいは前回と同じダンサーなので,彼らも上達してきれいになったのだと思いますし,新しく加わったメンバーも実力者だということでしょう。実にめでたいことです。

坂西さんの酒場の踊り子は,もちろんよいです〜。大人な雰囲気とほっそりとした首のラインの美しさ♪ ソロは,最後の盛り上がりに向けてもうっちょっとスピード感が欲しいような気はしましたが,翌日の笠井さんを見ても似たような印象だったので,振付の問題なのかな?

ジプシーの女の田中さんがとーー−っても印象的。彼女は身体が柔らかいほうではないと思いますが,それを補って余りある見事な表現。身体から,ドラマと情念が溢れておりました。
ジプシーの首領の保坂さんはかっこよく,ソリスト大量投入のジプシーの男たちの踊りも迫力とキレがあり,全体として,この日のこの場面は見応えがありました。

私,森の場面が大好きなのですが,今回のコール・ドは,「まずまずよかった」という感じかな。「揃う」方面は支障なく,「ドュリアーダらしさ」のほうは今ひとつの感じ。夢の中の妖精だから,もう少し軽やかだともっとよいと思いますが,決して悪くないです。
3人のドゥリアーダはとてもよかった。それぞれの個性がありながら,いずれも森の精に見えました。4人のドゥリアーダは,その点もう一歩かな。

森の女王の笠井さんでしたが,よかったです〜。女王らしいおおどかな品が感じられ,上半身は優美。好きだな〜。
キューピッドの安部さんもよかった。小柄なのはもちろんですし,軽やかな動きでお顔立ちもかわいらしく,適役だったと思います。

3幕のキトリの友だちは小橋さんと伊藤さん。
小橋さんは踊りは少々不調? でしたが,表情が常に明るく,コケティッシュな感じもあって魅力的。伊藤さんは,対象的に清爽感があるので,よい組み合わせかも。

ボレロは,うーむ,これは難しい。何しろ前回は小嶋さんが踊りましたから,「誰が踊っても・・・」ではあるのですが,塚田さんが最初の跳躍を見せた瞬間,あまりの違いに笑ってしまい(ごめんなさいね〜),その後に軽い喪失感が来ました。で,快く「あなたじゃなくちゃダメ」気分を味わっていた結果,田中さんの踊りが印象に残らず・・・もったいなかったなぁ。
なお,翌日中島さんで見てわかったのですが,塚田さんの踊りは決して悪くなかったのです。技の見せ方も上手だし,サポートも上手いし,マナーもよい。特に太っているわけではないのにそう見えてしまうのが惜しまれます・・・。

あとはファンダンゴですが・・・やはり男性陣のレベルが向上したよなー,と思いました。京當さんまで投入しているだけのことはあります。あまり面白い振付だとは思えないのですが,飽きずに見ることができました。

 

というわけで,バレエマスターのファンであるゆえにこのバレエ団を見ているという立場からすると嬉しい公演でしたし,ごく普通に『ドン・キホーテ』を見るという点からも満足できる公演でした。

演出についても,(酒場の場面の踊りの振付がイマイチなこと以外は)特に不満はないです。
1幕で酒場での狂言自殺まで済ませてしまって話が終わってしまうのは如何なものか・・・という意見は当然あると思いますが,私は特に気にならないなぁ。(1幕が長すぎるとは思うが) さっさと結婚が決まろうと,結婚式直前まで話を引っ張ろうと,結末は周知のとおりなんだもん。別にどうでもいいんじゃないのぉ?

と思えるくらいに,主役は魅力的だったし,脇のダンサーたちもよかったのですわ。(読み返してみて気付いたけれど・・・貶したいのは森田さん1人だけで,あとのダンサーは皆誉めたい気分。私はけっこう文句を言う観客なので,これってけっこう異例だわ〜)

(2008.9.07)

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ドン・キホーテ(牧阿佐美バレヱ団)

2008年6月14日(土)

ゆうぽうとホール

 

前日以上に楽しい公演でした。

「前日以上」の要因は,おおまかに言って3つ。
第1に,初役のキャラクテール陣の出来のよさ。次に,主役2人の技術レベルの高さ。3つ目が,エスパーダがかっこよかったこと。

 

この日はドン・キホーテ,サンチョ・パンサ,ガマーシュが前日に比べて大幅に若返っておりまして,どんなもんかなー? と思っていたのですが,3人ともよかったです。(ついでに,ガマーシュのお付きも若手で試してもよかったかも?)

特に,上原さんのサンチョ・パンサがとーってもよかった。
小柄なので王子やバジルを期待しているわけではないけれど,「カワイイわぁ」なお気に入りダンサーなのですが,細かい芝居の1つひとつに愛嬌があって,もー,かわいいのなんのって♪ 見ていて頬が緩んでしまいますよ。
若くて踊れるから,ちょこまかした動きにキレがあるのも◎。特に,トランポリン? の高さがスゴイ。空中姿勢という意味では,もっと上手な方もあると思いますが,あの高さはすごかった。天井に届いちゃうんじゃ? と心配してしまうくらいで,客席がどよめいておりました。

「若くて踊れる」という意味では,ガマーシュの坂爪さんもなかなか。
エレガントでないので嫌味が足りず,コミカルさのほうも「一応合格点」程度でしたが,キトリのほうに手を伸ばして友人たちにマントで止められる場面などは,動きに大きさがあるのでわかりやすいのですよね。

そして,保坂さんのドン・キホーテですが・・・ロマンチックな雰囲気が漂っていて,「夢見る人」のキホーテ。物語性があってすてきでした。
率直な感想として,これからはずっと彼に演じてほしいと思いました。(ガマーシュも捨て難いのでそこは悩ましいが) これまでのドン・キホーテ役である本多さんには「○○なキホーテ」と形容したい個性がないのですよね。特に文句はないのですが,誉める気もしないのが常だったので,今回保坂さんを見て,「こういうのを見たかったんだよなー」と思いました。いや,別に「こういうの」でなくてもいいのです。「恍惚の人」でも「高潔な騎士」でも「ぎくしゃくとコミカル」でもなんでもいい。「この人ならでは」のドン・キホーテを見ることができて,大いに満足しました。

 

主役の2人はとてもよかったです。
特に,テクニック面でこの作品の主役を務めるにふさわしいレベルなのが嬉しい。青山さんは吉岡さんより上手ですし,菊地さんはシヴァコフさんと遜色なし。『ドンキ』の主役に必要な要素はいろいろあると思いますが,テクニシャンなのは必要条件。それを高い水準で満たしてくれる日本人カップルは貴重ですよね〜。

特に感心したのは,山ほどある片手リフトを始めとする2人でのケレンを見せる場面。
前日はこの点で,「バジルがゲストだからしかたないよね」が散見されましたが,この日はばっちり。特に,バジルと友人のパ・ド・トロワのあとのキトリのソロで,脇からちょっとバジルがウエストをホール・ドしてキトリが一瞬静止する動きが鮮やかでした。

最近は毎公演主役を踊っている青山さんですが,今まで見た中では,キトリが一番お似合いみたい。
華が足りない感じはありましたが,溌剌と,歯切れよく踊っていました。ちょっと回転するときでも,パッセするほうの脚がきれいに膝上に上がっていて,気持ちがよいです〜。
脚に比べると,上半身が苦手なのか? それとも個性の問題なのか? ドルシネアは「もうちょっと姫らしくお願いしますね〜」でしたが,グラン・パ・ド・ドゥのテクニックは見事。フェッテの回転数だけでなく,ここでも脚がすぱっと上がるのですよね。菊地さんともども,大いに会場を盛り上げてくれました。

菊地さんは「この若さでここまでやれれば文句ないよね」という感じ。
回転は速く,しかも傾くことなく常に安定。跳躍は大きくダイナミック。色気はあるし,演技はいかにもバジルらしいし,主役オーラもばっちり。かっこよくて若々しいバジルでした。足りないのは,スペインらしい陽気さかな? でも,これは個性の問題ですし,それを補ってあまりある,ステージプレゼンスがすばらしい。

グラン・パ・ド・ドゥでは,結婚式らしい端正さを見せていたので感心しました。以前ガラで見たときは,「オレを見ろ」が炸裂していて,あれはあれでよかったのですが,うん,全幕ではこうあるべきですよね。かつ,見せるべき技は見事に見せて,ヴァリエーションのあとでは得意の? 「前髪かきあげ」も披露して,いやはや,大したもんですね〜。
あ,3幕の衣装はヘンでした。上半身はそもそもの牧の衣装で白いのに,タイツだけ黒で・・・プロポーションの問題から白いタイツを回避したかったのかもしれませんが,それなら上も黒にすればいいのにねえ?

 

さて,「前日以上」の3点目。シヴァコフさんのエスパーダ!!!
彼がこんなにかっこいいダンサーであったとはびっくりだわ〜,という感じ。5年くらい前? にもエスパーダを見たことがあるのですが,あのときの「なんかヌルい」や「ありゃ,マント・・・」とは全く違っておりまして・・・当たり前ですが,成長しましたね〜。

長身に白い衣装が見事に映えて,マント捌きも軽やかに。要所要所のポーズは鮮やか。いや,ほんとにかっこよかった〜。エスパーダはこうでなくっちゃね。
そうそう,ヘアスタイルもよかったです。後ろに撫でつけた前髪が踊るとはらりと額に落ちて,かっこよさ3割増し。(昨日の結婚式もこの髪型にすればよかったのにぃ)

 

田中さんの街の踊り子がすばらしかったです〜。
大人の存在感たっぷりで,ゲストの前でも姐御に見えるし,何より,マタドールたちが床に突き立てた剣を巡って踊るときの表情! あの踊りは,ただスカートを翻したり,脚捌きを見せるためのものではないのですね。闘牛士が牛と戦うように,踊り子も戦っているのですよね。広場での座興を超えた,ドラマ性溢れる踊りでした。(ああいう表現は初めて見たような気がする)

伊藤さんは,この日は1幕のキトリの友だちと森の女王。
1幕では,ガマーシュをおちょくる芝居でのいきいきした様子に「ほぉ」と感心。楽しそうな表情が小悪魔的に見えました。(同時に,街の踊り子は,やっぱりまだ早かったか,という気もした)
森の女王もよかったです。技術的に弱い感じはありますし,「女王」というほど貫禄はないですが,ドゥリアーダのお姫様? キホーテの見た不思議な夢の世界の中心で,品よく愛らしい美しさで輝いていました。

笠井さんは酒場の踊り子とボレロで登場。普通にはよかったのですが,彼女はチュチュの役のほうが魅力的かもしれませんねー。
ボレロのパートナーは中島さんでしたが,塚田さんに比べると「初役」感がありあり。踊りに不足はないのですが,見せ方に改善の余地ありなのでは? 特に,片手で女性の腰をホールドして上げるリフトがほとんどリフトになっとらんので,あれではいかんと思いますです。

この日は,ジプシーの男性陣が大幅に若返り,元気よく踊っていましたが,「かっこよさ」では前日の勝ち。中では,清瀧さん(彼は両日)と細野さんがシャープに踊っていてよかったです。
ジプシーの女は吉岡さん。田中さんのインパクトには及ばないものの,ドラマチックに踊っていました。

キューピッドは小松さん。現在のバレエ団には小柄なソリストが3人揃っていて,こういう役は彼女たちの日替わりキャストになるわけですが・・・今のところ,あまり見分けがつかないというか個性が感じられないというか。この中からプリマが出てくるのかどうか今後に期待,という感じでしょうか?

 

いや,それにしても,今回の最大の収穫は男性陣の魅力アップだよな〜,とこの日も思いましたです。一部入れ替わってのセカンドキャストということになるのでしょうが,マタドールもファンダンゴも,容色も踊りもかなりのレベル。新国や東バと遜色ない・・・いや,新国や東バよりかっこいいんじゃ?
この辺は身贔屓要素もあるだろうから確信は持てませんが,ここのバレエ団の男の子たちはいいですよ〜♪

と推奨しつつも,一抹の淋しさが。
男性ダンサーが充実したのにはいろいろな要素があるのでしょうが,バレエマスターである小嶋さんの力もあるのだろうと思います。たぶん,彼は優秀な指導者・・・とまで言えるかどうかはわかりませんが,有能な指導者なのは間違いないと思います。
それは私にとって嬉しいことですが・・・でも,それは即ち,彼が舞台に立つ機会を減らすことになるのだろうなー,今回出演しないのも理解できるなー,と思ってしまいました。

というわけで,ちょっと切なくはあるのですが・・・うん,楽しく盛り上がれる2日間でありました。
あ,そうだ。次回の上演時は,自前でかっこいいエスパーダを希望!

(2008.09.07)

 

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同じ商品のようですが,こちらは国内発売用で

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こちらは直輸入版だと思われます。

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