眠りの森の美女(レニングラード国立バレエ)

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2008年1月5日(土)

東京国際フォーラム ホールA

 

作曲: P・チャイコフスキー

台本: I.フセヴォロスキー

振付: M・プティパ     改訂演出:N・ボヤルチコフ

美術: V・オクネフ     衣装: I・プレス

指揮: アンドレイ・アニハーノフ     管弦楽: レニングラード国立歌劇場管弦楽団

オーロラ姫: イリーナ・ペレン     デジレ王子: アルチョム・プハチョフ

リラの精: エレーナ・コチュビラ     カラボス: アントン・チェスノコフ

王:  マラト・シェミウノフ     王妃: ナタリア・オシポワ     式典長: イーゴリ・フィリモーノフ    従者: アレクセイ・マラーホフ

《妖精》
優しさの精: アナスタシア・ロマチェンコワ     元気の精: エルビラ・ハビブリナ     鷹揚の精: タチアナ・ミリツェワ     呑気の精: エレーナ・ニキフォロワ     勇気の精: アリョーナ・ヴィジェニナ

4人の王子: ミハイル・シヴァコフ  デニス・モロゾフ  ミハイル・ヴェンシコフ  ニコライ・コリバエフ 

ファランドール: エレーナ・ニキフォロワ  デニス・トルマチョフ

フロリナ王女: アナスタシア・ロマチェンコワ   青い鳥: アントン・プローム

《宝石の精》
ダイアモンド:  タチアナ・ミリツェワ
金・銀・サファイヤ: ナタリア・パルフョーノワ  エルビラ・ハビブリナ  ユリア・カミロワ

白い猫: ナタリア・リィーコワ   長靴をはいた猫: ニキータ・クリギン     赤頭巾ちゃん: アレクサンドラ・ラトゥースカヤ  狼: アレクセイ・マラーホフ

 

今年最初のバレエは,恒例のレニングラード国立『眠りの森の美女』から♪
・・・だったのですが,なんとまー,途中で眠ってしまうという,もったいない事態になってしまいました。

いつもどおり行きの新幹線の中で睡眠補給したにもかからずこのような事態になった原因は,席があまりにも悪く,舞台が見えにくかったことのように思います。
11列目のセンターだったのですが,国際フォーラムのホールAは,よりによって11列目までが完全にフラット。椅子の幅が広くて前列とずらして配置してあるとはいえ,あれではなんともならんわ。前の列の方,その前の列の方,その前の・・・で,舞台の1/4くらいしか見えない感じで,しかも舞台の真中が壊滅状態。

プロローグはがんばって隙間から覗いたのですが,ローズアダージオがほとんど見えなかった時点で気力が尽きました。
「じたばたしてもしゃーない。見えるもんだけ見て,あとで文句を言お」と思って背中をゆったりと椅子につけて・・・その結果安らかな眠りが訪れたのでありました。(オーロラより先に眠っちゃったわけですね。あはは)

2幕後の幕間に申し出たところ,丁重&迅速な対応で「ずっと後ろだけれどよく見える」席に換えてもらえました。
多少遠くたって舞台全体が見えるほうがずっといいわ〜。視界が開けて,気分すっきり〜。1幕が終わったところで言えばよかったわ〜。寝ぼけていたのが敗因だったわ〜。
というわけで,3幕は楽しみました。

 

ペレンのオーロラは去年に続いて見ましたが,笑顔がいっそう自然になり,頬紅の描き方もいっそう自然になり,肝心の踊りも好調。よかったです。
グラン・パ・ド・ドゥは(パートナーの不調のせいもあったのかなぁ?)去年のほうが伸びやか〜に踊っていたように思いますが,垣間見ただけの幻影の場面がとてもすてき。
そもそもの美しいプロポーション・可憐な容姿・華やかな雰囲気に加えて匂やかな情緒が感じられて・・・「触れなば落ちなん」風情とでも申しましょうか・・・いや,そこまで積極的な感じではないな・・・えーと,「この女性を見過ごしはできない」と王子が思い込むのは実にもっとも,という艶やかさでありました。

プハチョフについては,サポートもソロも若干不調だったのではないでしょうか? 「いつもはもっと端正だよねえ。こんなふうに「ん?」があちこちに出るダンサーではないよねえ」という感じでした。
まあ,この辺は,よい舞台を見せてもらえばもらうほど要求水準が上がってくる・・・という面もあるでしょう。エレガントですし,「真中を踊るべき人」的存在感もますます身についてきたし,よかったと思います。
なお,頭髪方面の改善が必要だということになったようで,カツラを着用して登場しました。ちょうど5年前くらいに戻った感じかしらん? 本来のヘアスタイルと違和感がないのが結構でした。

リラはコチュビラでしたが,彼女は美しいですよね〜。首も腕も脚もほっそりと長く,見事なバレリーナ体型で,ポーズも踊りも美しい。「眼福」という感じの美しさ。それに加えて,目鼻立ちがくっきりしているからかしらん? メイクがキラキラ紫系だったからかしらん? かなーり色っぽい印象でした。
「母性的」とか「優しさ」という形容詞とは縁遠いですし,「妖艶」がリラ向きの要素かどうかには多少の疑問符がつきますが,コシェレワともペレンとも違う個性があるのはよいことですよね。もう少しで「品高い」や「威厳ある」リラになりそうにも思いましたし。

青い鳥のパ・ド・ドゥは,ロマチェンコワ/プローム。私はもっと軽やかなほうが好きですが,堅実な感じでよかったです。いつも組んでいるだけあって,パートナーシップもよかったですし。
ダイヤモンドのミリツェワは悪くないのですが,少々地味。宝石の中で一際輝く存在として,踊りか舞台上の華か容姿か・・・なにかで「おお♪」と思わせてほしいなー。
そうそう,プロローグの呑気の精(カナリヤ)と2幕のファランドール(村娘)を踊ったニキフォロワの笑顔が,とっても愛らしかったです〜。

コール・ドは「若くてきれい」なバレリ−ナが増えました。というか,「容色はイマイチだが安定していて,いつもあの位置にいる」方たちが消えました。伝え聞くルジマトフ新芸術監督の改革の一環なのでしょう,おそらく。
現時点では,「見た目が上がった以上にコール・ドの機能が落ちた」と思います。揃っていないし,一人ひとりもなんだかバタバタして見えましたし・・・残っているフィルソワやモストヴァヤの苦労が偲ばれますが・・・でも,とにかく,容姿が向上したあのコール・ドが舞台を重ねていけば・・・と期待させてもくれました。

 

いや,それにしても,あの席はヒドかったなぁ。
国際フォーラムは,この数年はお正月に1〜2回通っていて,前方席の段差のなさとその後ろの傾斜の緩さ,後方席の舞台からの遠さには慣れているつもりだったのですが・・・あそこまでフラストレーションがたまる席は初めて。
主催の光藍社の,バレエ公演を営業として成立させる能力にはすばらしいものがあると思いますし,そのためにはあのキャパシティある会場で興行を打つことも必要なのだろうとは思いますが,ああいう席をS席として売るのだけはやめてほしいものです。「金返せ」ものですよ,まったく。

・・・というわけで,睡魔に負けた自分のせいもあるとはいえ,かなーり不満足な気分の初バレエだったのでした。(とほほほ)

(2008.01.13)

 

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