くるみ割り人形(牧阿佐美バレヱ団)

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2007年12月15日(土)

ゆうぽうとホール

 

音楽: P.I.チャイコフスキー

演出・改訂振付: 三谷恭三(プティパ,イワノフ版による)

美術: デヴィッド・ウォーカー     照明デザイン: ポール・ピヤント

指揮: デヴィッド・ガルフォース    管弦楽: 東京ニューシティ管弦楽団     合唱: 東京少年少女合唱隊

金平糖の精: 笠井裕子     雪の女王: 橋本尚美     王子: 森田健太郎     クララ: 辻香織

シュタールバウム氏: 逸見智彦     シュタールバウム夫人: 坂西麻美     フリッツ: 山田翔

ドロッセルマイヤー: 本多実男     ドロッセルマイヤーの甥: 細野生

祖父: 山内貴雄     祖母: 土田さと子     執事: 鷲崎圭一  岡田幸治

コロンビーヌ: 織山万梨子     ハレーキン: 清瀧千晴     ヴィヴァンデール: 安部里奈     おもちゃの兵隊: 上原大也

くるみ割り人形: 邵智羽     ねずみの王様: 徳永太一

スパニッシュ: 吉岡まな美  ラグワスレン・オトゴンニャム     館野若葉  貝原愛  藤井学  依田俊之

アラブ: 柄本奈美  保坂アントン慶

チャイナ: 森脇友有里  上原大也

トレパック: 中島哲也  伊藤隆仁  濱田雄冴

棒キャンデー: 青山季可  伊藤友季子  坂本春香

花のワルツ(ソリスト): 佐藤朱実  京當侑一籠     小橋美矢子  坂梨仁美  海寳暁子  徳永太一  今勇也  清瀧千晴

 

この日の最大の目的は小嶋直也さんの花のワルツのトップソリストだったのですが,膝の状態が悪化して直前降板。
かなーり盛り下がった気分で舞台を見ることになりました。

主役は普通によかったです。
橋本さんの雪の女王は,白と銀の衣裳がよく似合っていましたし,繊細な腕の動きがいかにも雪の世界らしい。
金平糖の笠井さんは,ちょっと不調かしら? それともこっちの気分のせいかしらん? 去年のほうが輝きがあった気はしますが,鷹揚で落ち着きのある主役ぶりでした。
森田さんの王子は,いつもどおり。立ち姿と脚のラインには不満が出ますし,ソロも私には物足りないですが,サポート上手の頼もしい王子でした。特に,クララとのパ・ド・ドゥを(憧れの王子様と言うより,保護者風でしたが)なんの不安もなく見ることができるのが特によかったです。

これには,クララ役の方の力もあったのかも?
この日のクララはお顔立ちも大人びていたし,演技もしっかり。会場で質問したら,「中学3年生? いや,高校1年だったかな?」というお返事で,やはり小学生や中学低学年の方の「教わったとおり」とは違いますね。
フリッツの方は3年連続で見ることになりましたが,年々踊りがしっかりしてきて,背も伸びてきていて,(当たり前でしょうが)成長しているなー,と。
当分の間はこのバレエ団の『くるみ』とつきあうことになるのでしょうから,この辺りも楽しみにしたいと思いました。

脇のダンサーでは,織山万梨子さんがコロンビーヌでデビュー。
01年に『くるみ』が三谷版に新しくなったときにクララ役で見たことがあります。その後,コンクールに入賞して海外に留学したのだったかな? 愛らしくてよかったです。
棒キャンディーは青山季可/伊藤友季子/坂本春香 という,このところ毎年見ているような? な顔ぶれでしたが,やっぱり伊藤さんはよいです〜。プロポーション美人で,清爽感のあるライン。

男性では,このところ見る度に誉めている清瀧さん。
ハレーキン(初役?)と花のワルツのソリスト(こっちは間違いなくデビュー)でしたが,端正でした。跳躍しているときの脚のラインが「きれいだわ〜」に見える男性ダンサーは,このバレエ団では(小嶋さんを除き)彼だけなので・・・というか,そういうダンサーはかなーり貴重なので,いつも誉めることになるのですよね。
サポートは上達中のようなので,次は上半身を増強して,リフト力をつけてください〜。

10月の『ガーシュイン・ドリームス』で「ちょっとお気に入り(になるかも〜)」だった上原さんにも注目したのですが(1幕はおもちゃの兵隊,2幕はチャイナ),もしかして彼ってかなりのテクニシャン? チャイナの最初のほうの,両手両脚を前方に投げ出す? 「く」の字型ジャンプはさほどでなかったですが,ほかの跳躍と回転は軽やかに決まっていました。
あとは,最近入団した(と思われる)オトゴンニャムさんがスパニッシュの真ん中で登場。背が高いのは貴重ですよね〜。

コール・ドはイマイチだったと思います。
日本のバレエ団のコール・ドの場合「揃わないとなんともならん」と思うのですが,その点がかなり・・・。
いつも思うのですが,このバレエ団のコール・ドは,中核メンバーは連日出演なのでしょうが,上手なほうはソリストキャストとの兼ね合いで日によって入れ替わるし,若手のほうも日替わりになるし,公演数は少ないし・・・で,新国立劇場みたいに公演ごとに不動のメンバーで準備しているカンパニーに比べると「イキがあっとらんなー」になってしまうようです。
運営上の必要性もあるのでしょうが,舞台上の成果をもっと追求していただきたいなー,と思いました。

クララの両親は,坂西&逸見。なんの不満もありませんです。
逸見さんは「目じりに皺が?」でしたが,それはそれで艶が出て結構でした。

 

恒例のキャンディー投げ。
森田王子は,当然主導権を握ってファンサービスに努めますが,遠投力を競うような衒いとは無縁。
最後の遠投は京當さんが担当。余計な気の持たせ方はしないで,さりげなく悠然と2階席に投げ込んでおりました。(いい肩だねえ,彼は)
そして,上原さんも健闘。「その衣裳で投げるんか?」という不似合いさでしたが,それは彼のせいではなく役のせいだ。2階投げも達成しておりました。

というわけで,おまけも含めてそれなりには楽しんだのですが・・・要するに「それなり」でありました。
・・・来年は,小嶋さんに元気に踊っていただきたいものです。

(2008.04.05)

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