ルジマトフ&レニングラード国立バレエ
〜華麗なるクラシックバレエ・ハイライト〜

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05年8月13日(土) 文京シビックホール

05年8月14日(日) 神奈川県民ホール

 

第1部

『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥ 

音楽: R.ロヴェンショルド     振付: A.ブルノンヴィル

エレーナ・コチュビラ, アルチョム・プハチョフ, レニングラード国立バレエ

コチュビラのシルフにはびっくり。
一見あどけないけれどコケティシュな笑顔で,ものすごーく妖艶。本人(いや,本精?)には邪気はないのでしょうが,存在そのものが危険すぎる感じ。男を誘って道を誤らせる「魔物」系妖精に見えました。
この若さでこれでは,先が思いやられる。じゃなかった,末恐ろしい。いいや,やっぱり違うな。末頼もしい。

プハチョフは,すてきでした。プロポーションはいいし,ノーブルだし。
この方の唯一の欠点は,王子衣裳とお顔立ちのギャップを心眼で補う必要があることだと思いますが(ハンサムだったらキーロフに入っていたのではなかろうか?),こういう一般人の衣裳(?)だと,こういう人がいてなんの不思議もないですから,安心して「すてきだわ〜」に終始できます。

うん,額の秀でた知性派の青年で,皆から一目置かれる村一番の秀才なのよ,きっと。家柄もいいし,10年後には村長さんの後継者だな,と誰もが思っているわけ。
そういう人が急に妙な振舞を始めて,あげく出奔するわけだから,そりゃ周りも驚きますわな。(全幕でも,是非見たいです〜)

踊りは,コチュビラは「ここまで脚を上げんでも?」という気がちょっとしたし,プハチョフは「やっぱりブルノンヴィルとは違うかも?」でしたが,2人とも上手できれいでした。
コール・ドは,うーむ,この作品ではいつも「悪くはないがさほどではない」のですよね。今回も同じでした。

 

『春の水』 

音楽: S.ラフマニノフ     振付: A.メッセレル

エレーナ・エフセーエワ, マラト・シュミウノフ

『スポーツのワルツ』に替わるマールイ・ガラの定番演目。(え? 違う?)
前よりアクロバティック風味がより強くなっていたような? 特に,投げ下ろす系(?)が派手でした。

エフセーエワはほっそりしてきれいになりましたね〜。
身体能力の高さはそのままで,ポーズの美しさが増した感じだから,難しそうな技がとっても効果的。
シェミウノフは前よりサポートが上達したみたいで,「う,怖い」が減りました。見映えは,もちろん,ここのカンパニーのナンバーワン。

全体としては「若さの勢い」があってよかったと思います。

 

『タイスの瞑想曲』 

音楽: J.マスネ     振付: V.サリンバエフ

オクサーナ・シェスタコワ, ドミトリー・シャドルーヒン

きれいなモダンバレエ。
振付は,気をてらわず,音楽の雰囲気に合っていてよかったと思いますが,ちょっと盛り上がりに欠けたかな。(2回目はちょっと飽きた)

女性は薄い水色のレオタードに短いスカートがついた衣裳。男性は同じ色の長袖ユニタード。男性のこの形の衣裳を着こなすのは難しいのだなー,と改めて思いました。

なお,最終日は,シェスタコワの3演目出演の関係でしょう,上演順が『春の水』と逆でした。

 

『眠りの森の美女』よりフロリナ王女と青い鳥のグラン・パ・ド・ドゥ

音楽: P.チャイコフスキー     振付: M.プティパ  演出:N.ボヤルチコフ

タチアナ・ミリツェワ, アンドレイ・マスロボエフ

ミリツェワは,色気漂うフロリナでした。
私は,耳に手を当てて鳥の声を聴く仕草をもっと強調して,かわいらしく踊ってくれるほうが好きなのですが,うーん・・・好みの問題なのかな。
きれいだったと思います。

マスロボエフには「だ,だ,大丈夫か?」と心配になりました。
2日とも,ちょっと踊っただけで(アダージオの前半で)辛そうに見えてしまったし,ソロは決死の力技の趣。
ミリツェワが彼にはちょっと大柄すぎるのかもしれないけれど・・・たぶん,体調不良だったのではないか,と。(夏バテでしょうかね?)

 

『バヤデルカ』より影の王国

音楽: L.ミンクス     振付: M.プティパ  演出:N.ボヤルチコフ

ヴィクトリア・テリョーキシナ(13)/オクサーナ・シェスタコワ(14), ファルフ・ルジマトフ, レニングラード国立バレエ

24人のコール・ドが簡略な坂を下ってくるところから始まりましたが,どうもここの音楽(テープ演奏)が速すぎたような気がします。ダンサーが身体を伸ばしたか伸ばさないかのうちに,次の動きに移らざるを得ない感じで,うっとりし損ねました。いえ,かなり興醒めしました。

3人のソリストは,ミリツェワ(衣裳替えの速さ! でも,ピアスも忘れず外してね),ステパノワ,コシェレワといういつものメンバー。
いつもどおりそれぞれよかったです。

 

テリョーシキナは,長い腕と脚が「正しく動く」という感じ。静謐に踊っていました。
美人とは形容しかねるキツめのお顔立ちでほとんど表情を変えないで踊るので,「・・・怖い」と思いましたが,よく言えば「威厳のあるニキヤ」に見えましたから,この役には合っていたと思います。

ただ,肩から胸の辺りでもっと表現してほしいなー,顔のつけ方や視線でもっと表現できるんじゃないかなー,とは思いました。『パキータ』の見事さから考えて,それができないバレリーナではないと思うので,「幻影」の表現としてそうしていたのかなー? それともニキヤはより難しくて余裕がなかったのかなー? うーん,どうなんでしょ?

 

翌日のシェスタコワは,テリョーシキナとは正反対という感じ。たいへん情感の濃い踊り方でした。
そうねえ・・・ちょっとジゼルみたいだったかな。今もソロルを愛しているし,許している。いえ,許すも何も最初からない,ずっと彼に憧れているニキヤに見えました。

彼女はいつもはガムザッティ役だし,今回のプログラムでも予定キャストには入っていなかったので,急遽の出演だったのでしょうか,ソロに不安定なところはありましたし,技術的パートナーシップではらはらするところもありましたが(←もちろん,ルジマトフとの共同責任。いや,主として彼の責任か?),物語性のある,すてきなニキヤだったと思います。

 

ルジマトフは,それはもう美しい。
なんかねえ,ほんと感心しますわ。なんでこんなに美しく踊れるんでしょうねえ。
跳躍の高さなんかは落ちているのですが,回転に「ん?」と思うところがないでもないのですが,でも,それはもう美しく踊る。
そして,立っているだけで美しいし,身体を反らしてポーズをとるだけで美しい。なにをしても,なにもしなくても美しい。
なんか・・・見る度に前より美しくなっているような気がして,感銘も受けたし,変な表現かもしれませんが・・・呆れました。

そして,それはもうドラマチック。
この方は,影の王国の上演だけでもドラマを作れるのだなー,と改めて感心しました。
それはもしかすると,こちらが彼の全幕を何回も見ているから,2幕までの姿を思い浮かべられるからかもしれませんが・・・でも,やっぱりそれだけではないと思います。

個性も踊り方も全く違うバレリーナと踊って,それを生かしながら,自分の個性も生かして,それぞれ全く違う物語を作り出すことができる,稀有な,奇跡のような「語る身体」の見事さ。
テリョーシキナとの「いくら悔やんでももう遅い」も,最終日の「夢の中での束の間の再会」も,それだけで見る価値のある,見事な舞台でありました。

(それでもなお,私が今ほんとうに見たいのはこれではない,1週間前に見た別の人のソロルなのだ,という苦い認識は残りましたが・・・うん,それは別の話ですよね)

 

第2部

『眠りの森の美女』よりグラン・パ・ド・ドゥ

音楽: P.チャイコフスキー     振付: M.プティパ  演出:N.ボヤルチコフ

エレーナ・エフセーエワ, ドミトリー・シャドルーヒン

エフセーエワは,ほんとに垢抜けてきれいになりましたね〜。
以前は庶民的なお姫様だなー,と思って見ていたのですが,今は(貴族的とはいかないまでも)ちゃんとご大家のお姫様に見える。爽やかな少年ぽさは残っているので,結婚式の「若妻」感まではもう一歩,かな。でも,このままでもいいような気もするしなー。
踊りも安定していましたし,笑顔全開もよいですね〜。

シャドルーヒンもよかったです。
少し細くなったような気がするし(その代わり,少し老けた?),ソロも上達しているように見えました。(又は好調?)
「性格よさそう」すぎて,私のイメージする「ノーブル」とは違うのですが,終始笑顔で優しそうな新郎でありました。

彼はサポートが上手だし,エフセーエワはサポートされるのが上手だし・・・というわけで,技はなかなか派手。
フィッシュダイブもどき(? 女性がピルエットしたまま横抱きにするのではなく,ピルエット後ちょっとリフトしてからフィッシュに下ろす)を披露していましたし,最後の決めポーズも普通よりオーロラが危険そうな形(というのもなんだが)でした。

 

『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥ

音楽: A.アダン     振付: J.コラーリ, J.ペロー, M.プティパ

鹿野沙絵子, ドミトリー・ルダチェンコ

鹿野沙絵子は,新国立のコール・ド時代に「きっとソリストになるわ〜」と思っていて,果たしてコリフェに昇進したのですが,その後登録ダンサーになってしまって,どうしちゃったのかなー? だった方です。
あらまー,こんな形で再会(?)するとは。

パートナーのサポートのせいもあってか,軽やかさが足りなかったような気はしますが,ていねいな踊り。
雰囲気的には,なにか苦しさに必死に耐えているようなジゼルで,かなり和風の趣でした。うーん,「和風」とはちょっと違う。・・・演歌でもないし,浪花節でもない。ええと・・・歌舞伎かな。そう,夫のために苦界に身を沈める武家の女房とか,若君のために自分の子を身代りに差し出す乳母とか・・・そういう種類の貞女の雰囲気がありました。

新国立で見ていたときは,むしろバタくさい(←死語?)お顔立ちが印象的だったのですが,ふーむ,民族性ってあるのですねー。あ,容姿だけの話ではないですよ。雰囲気とか踊り方の印象の話ね。

ルダチェンコのほうはですねー,うううむ・・・頼りないというかなんいうか・・・容姿はいいのですが,全然アルベルトをやっていない。最初のほうで,ジゼルを求めて舞台上ですれ違う・・・という動きが,「うろうろしている」としか見えないし,その後も,場面の意味と関係なく,ただ踊っているだけ,という印象。サポートもよくなかったですし,かといって,ソロが見事かというとそうではないし・・・。

「演技もできないくらい消耗しているアルベルトというのもスゴイですなー」などと面白がっていてもいいのですが・・・どちらかというと,「やる気あんのか?」と怒りたい気分になりました。

 

『白鳥の湖』第1幕2場よりグラン・アダージョ

音楽: P.チャイコフスキー     振付: M.プティパ, L.イワノフ  演出:N.ボヤルチコフ

エレーナ・コチュビラ, ミハイル・ヴェンシコフ

ヴェンシコフを「この人」と認識して見たのは初めてだったのですが・・・いやー,実にいいですなー♪
「ロシア風にバレリーナを立てる王子」とは違うと思いますが,たいへん「王子」らしい雰囲気を持っていますし,また,表現に興味深いものがありました。

サポートも演技も(メイクも?)たいへん「濃い」もので・・・そうねえ,マラーホフを思い出すような種類の濃厚さ。ほとんどサポートしかないこの場面で,あれだけナルシスティックに自分を売り込めるのはすばらしいと思いますよ〜。
カーテンコールで「バレリーナより一歩下がる」心がけが皆無なのも,(好みかどうかは別として)このバレエ団では誠に貴重な資質でありましょう。

この場面だけでは踊れるのかどうかが不明ですが,サポートは破綻なくできるようですから,次の機会にソロもある役を踊るのを,楽しみに待ちたいと思います〜。

コチュビラは美しかったです。
彼女もパートナーも若いからでしょうか,ためらいながら王子に段々心を開いていく・・・といった物語性は薄いのですが,この場面だけの上演として見れば,「きれいね〜。すてきだわ〜」と思える,よい踊りだったと思います。

 

『海賊』よりパ・ド・トロワ

音楽: P.チャイコフスキー     振付: M.プティパ, 演出:N.ボヤルチコフ

イリーナ・ペレン, ミハイル・シヴァコフ, マラト・シェミウノフ

アダージオの振付(コンラッドとアリの役割分担)が見慣れたものと違いました。(ルジマトフが踊るときはアリがするリフトをコンラッドが担当するなど)
私にはかなり違和感があって,「ええいっ,なんでここでコンラッドがうろちょろするのだっ」などと怒りたくなりましたが(わはは,踊っているのはルジマトフじゃないのにねえ。恐るべき刷り込みですなー),たぶん,この3人が踊るコンサート・ピースとして再演出してあるのでしょうから,それぞれの個性を生かしてあってよい,と誉めるべきなのかも。

ペレンは,精彩がなかったと思います。華やかさはあるのですが,動きが重い感じでしたし,そのせいか容姿から受ける印象も「なんか,いつもほどきれいでないなー」という感じ。
土曜日はキャスト表に載っていた『バヤデルカ』がテリョーシキナに変更になって,最終日のニキヤもプログラムに名前さえなかったシェスタコワが登場したことなどから推測するに,たぶん,今回の彼女はかなり不調だったのではないでしょうか?

シヴァコフは,控え目で折り目正しいアリでした。
よく言えばノーブルだったと思うし,奴隷だから控え目でいいのかもしれないし,踊りもきれいに決まっていたと思いますが・・・もっと「俺を見ろ」が欲しいような。
・・・・・・もしかして彼って,本来王子をこそ踊るべきダンサーなのかしらん?
いや,かわいいから,これはこれでいいとは思いますけどー。

一方のシェミウノフのほうは,「俺を見ろ」は十分すぎるくらいありました。
でも・・・私が思うに,彼は「踊れない」ダンサーです。彼の能力に合わせたオーダーメイドの振付だから,大きな身体が生きてダイナミックに見えるけれど,テクニックもコントロールも全然物足りない。
いや,かっこいいから,これはこれでいいとは思いますけどー。

 

『パキータ』

音楽: L.ミンクス     振付: M.プティパ

ヴィクトリア・テリョーキシナ(13)/オクサーナ・シェスタコワ(14), ファルフ・ルジマトフ, レニングラード国立バレエ

13日のテリョーシキナが,すばらしかったです〜♪ 

なんて言えばいいのかしら・・・ひと言で言えば「高雅」になるでしょうか・・・高貴で格調高い美しさでした。誤解を恐れず極端な言い方をすれば,「これが本来のクラシックバレエだ」と思ってしまうような,見識の高さが感じられる踊り。決して派手ではないけれど,周りとは一線を画して「厳か」と言いたいような輝き。

正直言ってびっくりしました。
毎日マリインスキー劇場の演目をチェックする中で最近けっこう名前を見るなー,とは思っていたし,ルジマトフが選んで連れてくるのだから,と楽しみにしてもいましたが,第1部でニキヤを見た限りでは「なるほど,期待の新人だな」としか思えなかったので・・・。
うーむ,こんなにすごいとは。

踊りも見事。「たくさん回る」とか「速く回る」などではない,「正しく回る」という意味での見事さ。グラン・フェッテで派手な技など見せないのに,あれだけ輝かしく見せられるのは立派なことだと思いますし,ステップも跳躍(高かった!)も,一つひとつの動きが揺るぎなく美しい。

見せ方は,かつてキーロフにいたクナコワに似ていたような気がします。
パキータ特有の腰の辺りに手を置いて肘を張る動きや,顔のつけ方や視線の使い方に,そんな感じを受けました。(笑顔までエラソーなのも似ているかも〜)

この日のルジマトフは踊りが好調。いや,絶好調?
髪を切った効果で若く見えたこともあったとは思うのですが,容姿だけでなく踊りまで若返ったようで,びっくりしました。

なんというか・・・最近の彼の古典は,なんか「悟りの境地」に入ったような感じだったのですよね。それはそれで「さすがだわ〜。美しいわ〜」なのですが,でも「跳んで回って」方面などに「たいへんそうだなー」があったのも事実です。
ところが,まー,どーゆーことなんでしょ,この『パキータ』では,それはもう元気いっぱい。舞台中を駆け回って(?)おりました。しかも,悩殺ポーズを披露したり,かっこよく手を差し出したりはいつもどおりなわけですから,それはもう・・・。

ふーむ,テリョーシキナ効果でしょうかね? 
若くてお気に入りのバレリーナを紹介できるのが嬉しかったのかな? というより・・・自分が指名したパートナーといっしょに,自分が表現したかった舞台が見せられて,嬉しかったのかもしれませんねー。
もちろん,ごく単純に,体調がよかったのかもしれません。『パキータ』の衣裳はかなり身体の線がわかりますが,1月に見たときより,たくましい感じに見えましたから。(いや,それでももちろん,とっても細いですけどー)

双方すばらしかったので,この日の『パキータ』は見事な上演となりました。(二人で重なるようにして同じ動きを見せるシーンの美しかったこと!)
数年前に見たヴィシニョーワ/ルジマトフの『パキータ』もとても魅力的でしたが,あれは「燃え上がる」スペイン風だったよなー,今日のは「純白に輝く」ペテルブルク風なんだよなー,などと思ったりして。

 

14日のシェスタコワもとてもよかったです。

私は彼女の愛らしさの表出(あの首を傾げる仕草とか・・・)と色気の表出(あの流し目とか・・・)が苦手なので,見る前は自分の反応をかなり案じていたのですが,杞憂に終わって安心しました。
この作品に関しては,彼女のアプローチは私の好みと違っていなかった・・・ということでしょう,たぶん。

ヘアスタイルなどもお嬢さん風でなく若奥様風にこしらえて,見せ方の雰囲気も,変な言い方ですが「プリマらしく正攻法で勝負」という感じ。
安定した技術,パートナーとのアイコンタクト(かけあい?)のうまさ,たおやかな美しさ,そしてこのバレエ団のプリマとしての貫禄・・・さすがでした。

ルジマトフのほうは,立ち姿も踊りもポーズも何もかも,ひたすらかっこいい。
踊りは前日のほうが勢いがあったような気がしますが,この日は,細部の「キメ方」がすばらしかったと思います。

それから,なんといっても,コーダのマネージュ♪ 
高さがかつてのようではない替わりに(?),大きさ(距離?)とスピード感がすごかった。(失礼ながら,この人って今でもこんなに速いマネージュができたのか! と感心したりして)
そして,回りながら笑顔全開なのよ〜。いや〜ん,いったいどうなっちゃってるの〜,と悩殺されてしまいましたよ。

全体としては,そうですねー,テリョーシキナとの舞台が「プリンシパルの競演」ヴァージョンで,この日は「ラブラブな恋人どうし」ヴァージョンという感じ。(舞台の両端でポーズをとりながら,互いを指名しあう(?)シーンの高揚感!)
見ていて幸せな気持ちになれる,よい上演だったと思います。

 

コール・ドはとってもよかったです〜。
ゴールドの衣裳が皆さん似合っているし,踊りはきれいだし,「これぞクラシックバレエだわ〜」という感じ。

4人のソリストもそれぞれチャーミング。
ヴァリアシオン順でキャストを書き留めておきます。1人目の黒髪の美人は見分けられなかったのですが,2人目(キューピット)はシシコワ,3人目は,13日がロバノワだったそうで,14日がヴィジェニナ。4人目はミリツェワ(大活躍!)でした。

中でも,『ドン・キホーテ』での持ち役をそのまま踊ったシシコワの愛らしさに感心。
彼女は,キューピットを踊るくらいだから身長も低いし,プロポーションもこのバレエ団の中では決してよいとは言えないと思います。全体で踊っているときには,失礼ながら「ちょっと太めでちっちゃな人がいるなー。お顔もちょっとおばさんだしー」という感じ。でも,このヴァリアシオンになるとほんとにうまいっ。ほんとにかわいいっ。
実に見事な職人芸だと思います〜。

そうそう,ヴァリアシオンの話。
今回は,テリョーシキナもシェスタコワも,通常パキータ役のダンサーが踊るのとは違うヴァリアシオンを踊りました。最初にグラン・ジュテ(あれ? 女性の場合もそう呼ぶのかな?)を見せるもので,それぞれ,とてもよかったです。
そこまでは私もわかったのですが,友人の説明によると,どうやら最初のソリストのヴァリアシオンが,普通は主役が踊るものだったようです。(ふーむ?)

 

全体としては,もちろん楽しかったです。
土曜日は,1週間前の日本バレエフェスティバルを引きずっていて気分の切替えがうまくいかなかったのですが,日曜日は,大いにエンジョイしました。
ルジマトフが元気にクラシックを踊っているのが見られたし,テリョーシキナという収穫もあったし,嬉しい公演でありました。

(05.08.21)

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