くるみ割り人形 (ワガノワ・バレエ・アカデミー)

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04年7月11日(日)

イズミティ21

 

音楽: ピョートル・チャイコフスキー

振付: ワシーリー・ワイノーネン   改訂振付:アルティナイ・アスィルムラートワ

マーシャ: オーリガ・イェーシナ(8年生)     王子: アンドレイ・カスヤーネンコ(8年生)

マーシャ: エカテリナ・デビチンスカヤ(3年生)   フリッツ: ビクトル・レベデフ(3年生)
ドロッセルマイヤー: ピョートル・ルサーノフ(教師)
道化: アントン・ブィーコフ(8年生)   人形: スベトラーナ・ベック(6年生)   黒人: フィリップ・スチョービン(7年生)

ねずみの王様: パーベル・マスレンニコフ(7年生)   
雪の精: スベトラーナ・ロバーノワ(8年生), マリア・レベジェワ(8年生)

スペイン: アンナ・ラブリネンコ(7年生), アンドレイ・ウシャコフ(7年生)
アラブ: ナタリア・サビェーリエワ(8年生)
中国: アリーナ・トロスチャネツカヤ(8年生), アントン・ブィーコフ(8年生)
トレパック: ヴァレーリア・マナーコワ(7年生), エレーナ・シリャコーワ(7年生), パーベル・コスチン(8年生), アナトーリ・マールテンコ(6年生)
パ・ド・トロワ: マリアム・ウグレヘリゼ(2年生), エレーナ・チェルノワ(3年生), アレクサンドル・ヤコブレフ(4年生)

一部省略されていましたが,キーロフが上演するときとほぼ同じ構成で上演されました。プログラムにはアスィルムラートワの改訂振付と記載されていましたが,はて,どこか改訂されていたかなー? という感じ。

 

1幕

ドロッセルマイヤーは教師が踊りましたが,それ以外は(マーシャの両親なども含めて)全部生徒の出演。大人の役を上級生が踊って,マーシャたち子どもは,低学年の生徒。フリッツはじめ男の子は男子生徒の出演で,女の子たちはちゃんとトウシューズでした。
笑ってしまったのは,マーシャとフリッツ以外はカツラをかぶらされていること。子役の頃から,主役とその他大勢は扱いに差があるのね〜。

小さな子どもたちがとっても愛らしかったです。上級生のほうは,「無理してる」感じは強かったですが,しかたがないことですよね。
マーシャのソロは,振付自体は大人の上演と同じだと思いますが,脚をあまり上げないのですね。年齢に応じた身体の使い方ということでしょうか。

 

2幕

ねずみは上級生の男子が踊っていたようです。くるみ割り人形や兵隊たちは,低学年〜中学年の生徒さんだったんじゃないかな。女の子もいたみたいでした。
マーシャ役がプロのバレリーナのような演技ができるわけではないですし,会場の関係からかツリーが大きくならなかったこともあり,場面の不気味さが感じられなかったのが残念でしたが,ねずみ役の皆さんが元気いっぱいでとってもよかったです。演技の問題はありますが,踊りの勢いから言えば,キーロフや新国立よりいいと思います〜。
それから,「おおっ」と思ったのは,マーシャがほんとにシューズを脱いで,ネズミの王様に投げつけたこと。トウシューズでその後にパ・ド・ドゥを踊るのではこうはいかないもんねえ。

暗転して(大人の上演だと王子だけが入れ替わるところで),マーシャとくるみ割り人形(王子)が上級生に替わりました。考えてみればマーシャもここで替わるしかないわけですが,ちょっとびっくり。
続いてのパ・ド・ドゥは,難しいリフトはなくしてあったし,この幕の最後もリフトは省略しての上演でした。(あれは難しそうだからなー)

雪の場面は,もちろん上級生女子の出演。キーロフだとこの最中にマーシャと王子も舞台に登場してジュテの連続を披露するのですが,それはなかったです。(新国立もない)
えー,それから雪が降らなかったですね。足もとが滑ると危ないからでしょうか。それとも経費節減でしょうかね。

 

3幕

最初のほうの,船に乗って海底に着いて蝶々と戯れていたらコウモリに襲われて・・・というところは省略。いきなりお菓子の国の場面になりました。
この場面は,当然ながら上級生中心でしたが,パ・ド・トロワ(葦笛)は定石どおり下級生の出演。トレパックが4人(男女二人ずつ)だったのと,下級生らしき小姓(?)が何人か立っていた以外は,見慣れた踊りが続きました。グラン・パ・ド・ドゥも,カヴァリエを含めて5人がかりのリフトから下ろす大技を含めて,全部大人と同じだったんじゃないかな。それから,アラブの音楽はかなり速めだったかも。

最後,暗転したあとマーシャが目覚めるシーンは,当然1幕の下級生が演じたので,不自然さがなくてよかったです。

 

出演者

マーシャのイェーシナは,飛び抜けて華があるという感じではないですが,癖のない美人でしたし,主役らしい落ち着いた雰囲気もありました。脚は上がるし回転にも勢いがあり,「おお,このコは踊れるなー」という感じ。

王子のカスヤーネンコは,スレンダーできれいなプロポーションですし,手の差し出し方などは「さすがワガノワ」で優美なのですが,細すぎて上半身の筋肉が足りないみたいで,サポート関係ははらはらしました。まあ,これはカヴァリエで踊っていた生徒たちもそうですから,これからですよね。

この日一番気に入ったのは,1幕で道化,3幕では中国を踊ったアントン・ブィーコフという8年生。
道化を見て跳躍の高さと余裕に感心したので,チャイナを楽しみにしていたところ,期待を上回る見事さ♪ 身体を「く」の字にして両足と両手を打ち合わせる技の連続がそれはもう鮮やかで,しかも(手に持った扇と足を打ち合わせているのかしらん,それとも,もしかすると両手を打っているのかしらん) ぱん! と音がするのよ。こんなの初めてだわ〜。
4回ずつ両方向で計8回見せてもらいましたが,全部きちんと形が決まって,いや〜,すばらしかったです〜。

あとは,トレパックがはつらつとしていてよかったかな。

コール・ドは,踊るので精一杯という感じでコール・ドとしては機能していなかったと思いますし,特に男女が組む場面では「うん,難しいよね。がんばって」が続出しましたが,発表会としてはもちろん上手ですし,それぞれの身体の使い方は,たいへんきれいで優美でした。
なにが優れているのかよく知らないけれど,ワガノワの教育ってすばらしいわ〜。

 

というわけで,「ブィーコフくん,出世してね〜」もあって悪くなかったのですが,うーん・・・1万円は高いとは思いました。
おまけに,キーロフと新国立で山ほど見ている『くるみ割り人形』なんだもん。キーロフの地元公演は(最近は滅多に来ないけどー)1万5千円くらいでオーケストラつきですし,新国立のほうは(絶対来ないけどー)1万円を切るわけですからねえ。

それでも地元に来れば見てしまうけれど・・・うーん,もっとほかのモノを見せてもらったほうが嬉しかったかも。とは言え,バレエコンサートで『海賊』パ・ド・ドゥなんか見せられたら,盛大に文句を言ってしまいそうだしなあ・・・。ま,結局のところ,学校公演というのは私向きの催しではない,ということでしょうかね。

(04.8.14)

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