ジュエルズ(パリ・オペラ座バレエ団)

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03年3月23日(日)

東京文化会館

 

振付: ジョージ・バランシーン

音楽: ガブリエル・フォーレ,イーゴリ・ストラヴィンスキー,ピョートル・チャイコフスキー

装置・衣裳: クリスチャン・ラクロワ

音楽監督・指揮: ポール・コネリー

初演: 1967年4月13日,ニューヨーク・シティ・バレエ/ニューヨーク・ステート・シアター
パリ・オペラ座初演: 全3部として2000年12月15日。『ルビー』は『カプリッチョとして1974年に初演

 

エメラルド

エリザベット・モーラン, ウィリフリード・ロモリ

クレールマリ・オスタ, カール・パケット

メラニー・ユレル, ミリアム・カミオンカ, クリストフ・デュケーヌ

ヴェロニク・ドワノー, ファニー・フィアット, サンドリーヌ・マラシュ, ミリアム・ウルド・ブラーム, アレクサンドラ・カルディナル, ルシー・クレマン, レイラ・ディラク, セリーヌ・パラシオ, ソフィア・パルサン, ポリーヌ・ヴェルデュザン 

初めて見ました。
音楽はフォーレ。
NBSのサイトでの作品紹介によると,「19世紀前半にフランスで開花したロマンティック・バレエへのオマージュ」だそうですが,はあ,そうなんですか,ううむ・・・。違うと主張する気はないが今ひとつ腑に落ちんなー?

膝丈のグリーンの衣裳が美しかったです。全体にゆったりした静かな感じの音楽で,コール・ドのバレリーナたちは腕を波打たせる動きを多用して,ゆらゆら〜,と踊っていました。気分が盛り上がる作品ではないけれど,余韻は残る感じというか・・・。例えば,『セレナーデ』と共通する感じかな。

モーランはちょっと動きが重いかな,という気もしましたが,おっとりと優しげな感じが音楽の雰囲気にあっていてよかったです。
オスタは,前髪を不揃いに切り下げた髪型のせいか「優雅さが足りないのでは?」と思ってしまったのですが,ソロの「シシリエンヌ」がよかったです。軽やかに動きながら上手にアクセントをつけて,ちょっと淋しげな音楽の雰囲気を表現していました。
それから,パ・ド・トロワの1人ミリアム・カミオンカの柔らかな腕の動きがいいなー,と思いました。

男性は,ええと・・・踊り以前に3人とも白いタイツが似合っていなくてがっかり・・・。チケット代金の分気合を入れて予習した結果,パケットは金髪美男子だとか,デュケーヌはスジェだがノーブルなダンサーだとか知識があって期待していただけに,ショックが大きい・・・。いや,そういう形容自体はたしかに当てはまっていたとは思うのですが,ううむ・・・白タイツがぁ・・・。(←しつこくて申し訳ない)
中では,細心のサポートで,モーランとのデュエットで愛のある雰囲気を作り出したベテランのロモリが一番よかったです。

 

ルビー

エレオノーラ・アバニャート, ジェレミー・ベランガール

ステファニー・ロンベール

ヴェロニク・ドワノー, ファニー・フィアット, ミリアム・カミオンカ, サンドリーヌ・マラシュ, ミリアム・ウルド・ブラーム, アレクサンドラ・カルディナル, ルシー・クレマン, レイラ・デュラク, ジュリアーヌ・マティ, セリーヌ・パラシオ

ベルトラン・ベレム, ステファン・エリザベ, マロリー・ゴディオン, エマニュエル・ティボー

この作品を見るのは2回目。
赤い衣裳で,ストラヴィンスキー音楽に振り付けた,駆け足やギャロップなどバレエと違う動きを多用した楽しい作品。これは,「アメリカ的」というのが素直に納得できました。

まず,キャスティングが見事♪
「女王様」役(?)の女性第2ソリストが大柄で,それにかしずく4人の男性コール・ドは小柄なダンサーを揃えてある。さらに,第1カップルも小柄なほうだし,女性コール・ドも,たぶん,背が低いダンサーたちが踊っていて,とても効果的でした。
他の日のキャストを見ても,この方針は一貫しているみたいで,なるほどー,と感心。

そして,パリオペのバランシンは見事だなー,と感じ入りました。
ソリストはもちろん,コール・ド・バレエまで見事な技術できちんと音楽に乗って,きれいに踊っている。コール・ドがこれだけ踊れるバレエ団は,世界中でパリオペだけなんじゃないかしらん。

アバニャートはコケティッシュを通り越した蓮っ葉な感じで,とても楽しめました。ベランガールはチャーミングでしたが,もうちょっとキレがほしいかな。ロンベールは魅力的だったけれど,「おいしい役」だからという感も。

毎年試験の度になぜ昇格できないのか論議を巻き起こすと聞くティボー(←これも予習の成果)が出ていたので注目したのですが,去年のルグリの公演に来ていたゴディオンのほうが魅力的でした。
彼って演技派だわ♪ ランニングの腕の振りなんか,他の4人(ベランガールを含む)が,「こういう振付だからやってます」という感じなのに対して,ほんとうに走っているみたいだし,しかもそれがちゃんとバレエなの。踊り全体も躍動感があってよかったと思います。白いタイツも似合っていたしー。(←こだわっている

 

ダイヤモンド

アニエス・ルテスチュ, ジョゼ・マルティネス

ナタリー・オーバン, ローレンス・ラフォン, ヴァネッサ・レガシー, カリン・ヴィラグッサ

ローラン・ノヴィ, クリストフ・デュケーヌ, エマニュエル・オフ, ジュリアン・メイザンディ

オロール・コルドリエ, ドロテ・ジルベール, アネモーヌ・アルノー, ノエミ・ジニアディス, 藤井美帆, カロル・メゾン, サブリナ・マレム, ジュリー・マルテル, モー・リヴィエール, カロリン・ロベール, ナタリー・ヴァンダール, ゲナエル・ヴォーティエ

ヴァンサン・コルディエ, グレゴリー・ガイヤール, キム・ヨンゴル, フロリアン・マニュネ, アレクシス・ルノー, セバスチァン・ベルト, オドリック・ベザール, アドリアン・ボデ, ジュリアン・コゼット, シリル・ミティリアン, エリック・モナン, アレクシス・サラミット

初めて見ました。
チャイコフスキーの音楽を使ったロシア・バレエ(帝政ロシアのバレエ)へのオマージュだそうで,なるほど,主役2人のパ・ド・ドゥは『白鳥の湖』を思わせる動きが随所にあるし,その中で女性がポアントで移動するところなどはちょっと『ライモンダ』を思わせます。プログラムによると,他の部分では『くるみ割り人形』や『眠れる森の美女』も引用されていたらしいのですが,そこまではわからなかったなあ・・・。

こちらは,『ルビー』とうってかわって,主役もコール・ドも背丈のあるダンサーが登場。
白く輝く衣裳も美しかったですが,ロシア風と言われて見てしまうと,少々コール・ドの体型が不揃いかなー,とは思いました。それが瑕になるとは思いませんでしたが・・・。

ルテスチュがたいへん美しかったです。
いかにもプリマらしい堂々とした品格と女らしい優しげな雰囲気を同時に見せて,しかも一つひとつの動きが明晰。おお,バランシンだな〜,と思えて堪能しました。今まで彼女を見た中で,一番印象的だったかも。

マルティネスは,踊りはきれいだと思うのですが,なぜ,あんなに跳躍の着地音が大きいんですかね? 音楽が静かだったせいだと思いたいですが,ううむ・・・? 

男性コール・ドの中のジュリアン・メイザンディ(←たぶん。コリフェまでは予習しかねましたわ)のプロポーションに目を奪われました。身長もありますし,腕や脚が長いのはもちろん,頭が小さくて首が長くて,しかも(衣裳の力もあるかもしれませんが)上半身はしっかりしている。もちろん,白いタイツもよく似合っておりました。(←しつこい?) お,コレは王子なのではっ? と思って見ていたせいか,動きも大きくてきれいな感じ。笑顔もチャーミングだったしー♪
すっかり気に入って,最後のころは主役カップルを疎かにして,彼に注目してしまいましたー。(すみません)

それにしても,最後の大団円的なところは,今ひとつ盛り上がらないでしまいました。
原因が振付なのか音楽なのかダンサーなのかは自分でもわかりません。きれいではあったのですが,なぜなのかなー???

 

と,「?」もなくはなかったですが,これはチケット代金との兼ね合いのせいもあるかもしれません。上演時間や装置の趣が,やはり全幕ほどの満腹感は与えてくれませんから。

でも,『ジュエルズ』全編を初めて見られて,満足できる公演ではありました。

(03.4.22)

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