新国立劇場バレエ研修所 第1期修了公演

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03年2月14日(金)

新国立劇場中劇場

 

コン・ブリオ

音楽:R.ドリゴ  振付:H.トマソン

伊藤友季子, 斎藤美帆, 本島美和
小嶋直也, 逸見智彦

ええと・・・小嶋さんが出ている上に逸見さんまでいたので,研修生までは注目できないという本末転倒な状態だったのですが・・・3人ともきれいに踊っていたと思います。その一方で,パフスリーブと釣鐘型の膝丈のチュチュという衣装に象徴される「花のようなふんわりした雰囲気」は足りないかなー,ハタチ前後では難しいのだろうなー,これからなんだろうなー,とも思いました。

男性については,そういう「ふんわりした雰囲気」という点で,逸見さんのほうがこの作品に合っているのだろうと思います。逸見さんはバレリーナといっしょに(バレリーナ以上に?)お花を咲かせている感じですが,小嶋さんは・・・なんか蜜蜂みたいでした(うふふ)。衣裳が茶色いしー。あ,でも,2人おそろいですから,やっぱり個性の違いですね。
最初と最後が『ショピニアーナ』とか『パ・ド・カトル』のように同じポーズの静止画風なのですが,こういう場面は脚が細くて背丈がある逸見さんが分がいいみたい。
踊っているときは,小嶋さんがきれいです。なんでこんなに上手なんでしょー,という感じ。賛助出演だからでしょうか,いつもより抑え目に踊っていたと思いますが,躍動感とスピード感が突出していました。(それがこの作品に必要かどうかは別として)

この作品は牧阿佐美バレエ団のレパートリーで,たしか小嶋さんが初演メンバーだったと思います。そのとき見逃したので,今回見られて嬉しかったです。抽選に当たって,ラッキーだったわ〜♪

 

牧校長のあいさつと会場内の講師紹介

司会の方がいて出演者と演目の紹介などをしていました。
牧阿佐美校長のお話は,最初の8か月くらいは「7人しかいないので,教える側の目が届く」ということが研修生のプレッシャーになって校長としても心配であったこと,全員そろって修了の日を迎えられてたいへん嬉しいこと,等。

続いて自作自演作品について説明したのですが,昨年12月に「自分で音楽を選び2分程度の作品を振り付ける」という課題を出したのだそうです。7人ともいい作品だったけれど,上演時間の関係で,個性的なものを選んで2日間で2つずつ発表することにしたということでした。
唯一トウシューズを使ったこと(田中若子『歌に生き 恋に生き』),音楽的であったこと(伊藤友季子『リベルタ』),唯一のモダンであったこと(葛岡絵美『アメリ』),マイムを使用した作品であったこと(本島美和『私のワンピース』)

 

歌に生き 恋に生き

音楽:G.プッチーニ(歌劇『トスカ』より)

振付・出演:田中若子

ううむ・・・あまりにも有名なアリアを使ったせいもあるのかもしれませんが,率直に言って音楽を生かしていない(音楽に負けている)作品に思われました。

 

リベルタ

音楽:G.F.ヘンデル(歌劇『リナルド』より)

振付・出演:伊藤友季子

音楽の雰囲気をよく表現していましたし,アラベスク(?)など横向きのポーズを使って,ご本人の魅力(プロポーションのすばらしさ♪)を観客にアピールできるいい作品だと思いました。

 

『海賊』よりパ・ド・ドゥ

振付:M.プティパ  音楽:R.ドリゴ,L.ミンクス

今村恵, 貝川鐡夫

今村さんは,かなり緊張していたのではないでしょうか。動きが硬くて(こんなことを書いたら失礼かもしれませんが)気の毒な感じでした。『パキータ』ではもっといきいきして見えましたから,やはり古典のグラン・パ・ド・ドゥというのは難しいのでしょうねー。
堂々とした感じはありましたから,今後舞台経験を積んで,伸び伸び踊れるようになってほしいです。

貝川さんは,脚が上がる(開く)のですねー♪ ア・ラ・スゴントなんて100度くらいあったような感じで「おおっ」と思いました。
日本人ダンサーでこんなに足が開く方は珍しいのではないかなー。背がとても高いし,ノーブルな雰囲気もあるので,これを生かしてもっと上達してソリストを目指してほしいです。跳躍は回転に比べて「?」なので,こちらもよろしく〜。

 

ビデオ上映「2年間を振り返って」

 

パキータ

振付:M.プティパ  音楽:L.ミンクス

葛岡絵美, 奥田慎也
第1ヴァリエーション 斎藤美帆
第2ヴァリエーション 田中若子
第3ヴァリエーション 宇地原舞衣
第4ヴァリエーション 本島美和
伊藤友季子, 今村恵

皆さん若くて元気がいいので,『パキータ』という演目にふさわしい明るい感じが出ていて,よかったです。

葛岡さんは破綻なく主役を踊りきって立派だったと思います。グラン・フェッテも(軸足の位置は動きましたが)きちんと32回転して大きな拍手がわきました。

奥田さんはいつもどおりチャーミングな笑顔で踊っていました。率直に言って,新国立で主役を踊るには技術的に不足があると思うので,こういう機会に明るく頼もしいパートナーぶりを見られて楽しかったです。

この作品の中で印象に残ったのは,斎藤さんと本島さん。
斎藤さんは指先まで神経が行き届いた踊りで,すぐプロとしてやっていけそうな感じでした。
本島さんは,踊りは荒削りだと思うのですが,華とパワーを感じました。若いころの酒井はなさんみたいかも。(いや,酒井さんは今も若いが)

 

全体としては,要するに「発表会」レベルなわけですが,そういう趣旨の催しで無料ですから,もちろん全然不満はないです。
オーケストラはありませんが,衣裳や装置もきちんとついていますし,『パキ−タ』は日本ジュニアバレエ出身者によるコール・ドも登場して,本格的な上演で楽しめました。

皆さんこれからどうするのかわかりませんが(新国立のオーディションを受けるのかな?)立派なバレリーナになってほしいですー。

(03.2.16)

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