01年6月16日(土),17日(日)
東京文化会館
作曲: P.I.チャイコフスキー
演出・振付: テリー・ウエストモーランド(プティパ/イワノフ版による)
美術: ボブ・リングウッド
指揮: 堤俊作 管弦楽: ロイヤルメトロポリタン管弦楽団
16日 17日 オデット/オディール 田中祐子 上野水香 王子ジークフリート デニス・マトヴィエンコ 逸見智彦 王妃 千葉るり子 フォン・ロットバルト 森田健太郎 パ・ド・トロワ 坂西麻美,吉岡まな美,正木亮羽 橋本尚美,平塚由紀子,正木亮羽 村娘 岩本桂 家庭教師 山内貴雄 王子の友人 金澤千稲,平塚由紀子,佐藤朱実,柴田有紀,橋本尚美,笠井裕子,相羽源氏,佐藤崇有貴,塚田渉,保坂A.慶,京當雄一郎,邵治軍 金澤千稲,坂西麻美,佐藤朱実,柴田有紀,吉岡まな美,笠井裕子,相羽源氏,佐藤崇有貴,塚田渉,保坂A.慶,京當雄一郎,邵治軍 大きな白鳥 坂西麻美,平塚由紀子,橋本尚美,吉岡まな美 小さな白鳥 金澤千稲,佐藤朱実,柴田有紀,橘るみ パ・ド・カトル 大畠律子,岩本桂,相羽源氏,邵治軍 佐藤朱実,柴田有紀,相羽源氏,邵治軍 チャルダッシュ 橋本尚美,山内貴雄 スパニッシュ 坂西麻美,吉岡まな美,佐藤崇有貴,正木亮羽 ナポリターナ 岩本桂,京當雄一郎 橘るみ,京當雄一郎 マズルカ 金澤千穂,酒向葉子,櫛方麻未,山井絵里奈,塚田渉,保坂A.慶,徳永太一,菊地研 各国の姫君 平塚由紀子,鈴木規緒美,柴田有紀,奥田さやか,笠井裕子,渡辺悠子 平塚由紀子,鈴木規緒美,橘るみ,奥田さやか,笠井裕子,渡辺悠子 オデットの影 柄本奈美
なんと! 森田さんが,ロットバルトで登場するとは!
鷲鼻をつけて出てきたのですが,貫禄がありましたー。(でも,ちょっと笑っちゃった。ごめんなさいね,森田くん)
演出は,ロイヤル系のウエストモーランド版。(主役の二人は,死後,結ばれる。)
この演出で一番好きなのは,花嫁候補が,キャラクターダンスを踊る各国の姫君という設定になっていること。
踊るのは全員いっしょの1曲だけなのだけれど,王子と絡むときに,お国ぶりの振りがちょっとずつ入っていたり,回りのそれぞれのお供が「ウチのお姫さまこそ」と,その都度盛り上るのが,見ていて楽しいし,衣装がお揃いでないのが,とても好き。(キーロフや新国立を見る度に「ミスコンテストじゃあるまいし」と思ってしまうのは,私だけ?)
それから,黒鳥のパ・ド・ドゥで,グランフェッテの後で音楽を止めないで,たたみかけるように王子の回転に続くのを久々に見て,とても気持ちがよかったです♪
さて主役ですが,「男前」タイプのバレリーナ,田中さんのオデット/オディールはどんなかなー,と期待していたのですが,わりあいオーソドックスで,ちょっと残念。いや「正統派で,よかった」のではありますが。(←何を期待していたのだろうか?)
でも,黒鳥のパ・ド・ドゥの最中に,窓の外にオデットの影が現れて,ロットバルトがあたふたしているときに,王子に「あなたはあっちを向いていなさい!」と決然と命じ,とって返してオデットを追い払うところが,やっぱりかっこよかった〜♪
マトヴィエンコさんは,4月の新国立劇場での「眠り」がとてもチャーミングだったので,楽しみにしていたのですが・・・
ううむ・・・おとなしい王子と言えばいいのかしら? あるいは,マザコンの王子?(ごめんねー)
手を差し伸べたり,跪いたりといった,ちょっとした仕種がたいへん美しいですし,グラン・アダージオの懸命のサポートは微笑ましかったですが,全体に存在感が薄かったような・・・? ソロも,「眠り」のときに比べると,今一つでしたし。
調子が悪かったのでしょうか? それとも,ゲストで来てジークフリートを踊るには,若すぎるのかしら?
17日の上野さんは,まあまあかな。
オデットは,腕の動きに情緒がないなあ,と思わないでもなかったですが,初々しく,かつ,コケティッシュでもあって,魅力的。白鳥の女王らしく,毅然としたところも見せていました。
オディールのほうは,ポアントでのバランスが得意なようで,「見せる」踊り。客席もおおいに盛り上りました。
今回のお気に入りは,逸見さん♪
全幕主役を初めて見ましたが,歩き方が美しく,なかなか風格のある王子で,感情表現にも説得力があり,たいへん失礼ながら,びっくりしてしまいました。
彼の舞台はたぶん何十回も見ていて,柔らかいジャンプやさわやかな色男ぶりはよく知っていたのですが,こんなに立派なジークフリートだとは・・・。うーん,灯台もと暗し。(ちょっと違うか。)
踊りも表現も優しげで,ヒロイックな感じはないのだけれど,ウエストモーランド版の王子は,ロットバルトの翼をもぎ取ったりしないで,オデットの後追い心中をするような柔弱な人柄(笑)なので,そこも,ふさわしかったような気がするし。
それから,パ・ド・ドゥが,とても上手。
いや,技術的に上手なのかどうかはわからないのですが,上野さんは,一人で踊っているときより,彼と踊っているときのほうが,断然魅力的に見えましたから,たぶん彼の力が大きい(あるいは,二人のパートナーシップが優れている)のだろうと思います。
コール・ドは,踊り方がシャープすぎて,白鳥向きではないとは思うのですが,見事に統率がとれているので,これはこれで美しく見えます。
特に,「小さな4羽の白鳥」の揃い方は,ただ事ではない! 私は,この踊りはたいして好きではないのですが,思わず,身を乗り出してしまいました。
舞踏会の場面では,ベテランの山内さんが,1幕で王子の友人から家庭教師に格上げされてしまった鬱憤を晴らすかのように(笑),チャルダッシュではじけていたのが印象的。
長身のスペインも,かっこよかったです。坂西さんと吉岡さんは,大きな白鳥と16日のパ・ド・トロワも踊っていましたが,特に,坂西さんは,最近,さらに伸びやかーに踊るようになっていて,とってもすてき。
全体として,とっても感激したというほどではないけれど,久しぶりに牧の「白鳥」を見て,やっぱりいいわー,逸見王子も見られたし♪ と思える舞台でした。
(01.11.11)
04.01.01から