ロミオとジュリエット(リヨン国立バレエ)

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01年6月2日(土)

赤坂ACTシアター

 

振付:アンジェラン・プレルジョカージュ

ジュリエット:マイテ・セブリアン・アバッド(たぶん)

ロミオ:ミケル・トゥ・ジョング(たぶん)

マキューシオ:オマール・ゴルドン(?)

ティボルト:ピエール・アドヴォカトフ(たぶん)

ベンヴォーリオ:ミケル・トゥ・ジョング(?)

乳母:メイデル・フェイソン(?), ジェリー・タルディ(?)

 

プレルジョカージュ版を初めて見ました。
わかりやすく,感動的で,よかったです。(予想していたより,普通のバレエ)
以下,特に印象的だったところを。

 

いつも腕組みをしている,強圧的な二人の乳母(「養育担当官」とでも呼んだほうがよさそう。)

登場シーンでの,両手でバランスをとって平均台を渡るかのようなジュリエットの動きは,彼女の置かれた状況(支配階級の非人間的な生活)を象徴していたのかしら?
その同じ動きを中断して,ティボルトを突き飛ばし,舞台から走り去ったとき(通常の演出では,パリスとの結婚を拒絶する場面),彼女は,その属する社会にとって,裏切り者=抹殺されるべき者になった・・・と,見た後に思いました。

虐殺されるマキューシオ。
ティボルト以外は顔を隠した,武器を持った一団が,素手のマキューシオを嬲り殺しにする場面は,今も世界の各地で起きている,権力者と警察(あるいは軍隊)による,人々に対する暴力を想起させるものでした。
彼の死に憤ったロミオは,民衆蜂起の先頭に立つのか? それとも,ティボルトを暗殺するテロリストになるのか?
・・・と思ったら,そういうことはしないで,ひたすら愛に溺れているんですねえ,このロミオは(笑)。

「仮死薬」としての赤い布。
ジュリエットの目の前で,その用法と効果(布にくるまると仮死状態になり,取り除くと息を吹き返す。)が実演され,さらに,彼女自身も体験してみる,という親切な演出!
そして,そうとは知らずに,激情のあまり,ロミオがその布をはぎとったから,ジュリエットが目覚めるという場面の切なさ・・・。

墓地の場面での二人の踊り。
ジュリエットが死んだロミオの指を口でくわえて腕を持ち上げる動き。
椅子に彼をすわらせて,(だらりとたれる腕が切ない。)その膝の上に乗り,揺すぶり,そして,床の上に身を投げて,激しく転がる動きの繰り返し。
最後は,彼の膝の上に乗り,手首を切る・・・。

そして,そのとき,中空の廊下には,冷たくその二人を見下ろすティボルトの姿が・・・。
二人の愛は,こんなに絶望的な状況の中にあったのね・・・。
ちょっと通俗的というか,「いかにも」ではありますが,とても感動的でした。

(01.11.11)

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