バランシン・ガラ(キーロフ・バレエ)

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00年11月27日(月)

オーチャードホール

 

指揮:ボリス・グルージン  管弦楽:キーロフ歌劇場管弦楽団

客席ががらがらで,キーロフのファンとしては寂しい限りでした。「なぜ? 月曜とはいえ信じられない」と思いましたが,見た後では,まあその程度の舞台だったかなあ・・・と(笑)。

 

セレナード

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー《弦楽セレナード ハ長調》

振付:ジョージ・バランシン  指導:フランセス・ラッセル

照明:ジーン・ローゼンタール

ワルツ:ナターリヤ・ソログープ  ダニール・コルスンツェフ
ロシアの踊り:エルヴィラ・タラーソワ
暗い天使:ソフィア・グメローワ
エレジー:デニス・フィールソフ

悪いとは言いませんが,今一つ。
コールドの息があってないような気がしました。プロポーションや身体の使い方からくる美しさの問題はありますが,全体の上演のレベルとしては,牧やスタダンのほうがいいのではないでしょうか?

ザハロワの代役(高熱のためとのこと。)のソログプは,小柄ですが,柔らかな踊りできれい。
あの宇宙服のような衣装がおかしく見えないコルスンツェフのプロポーションは,すばらしーなー,と感心しました。

 

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー《「白鳥の湖」より》

振付:ジョージ・バランシン

ディアナ・ヴィシニョーワ  イーゴリ・ゼレンスキー

よかったです。でも,24日の「オールスター・ガラ」での絶賛の嵐を聞いていたのが悪かったのでしょうか,「そんなにまでいいか?」と思ってしまって,感激まではできませんでした。
ヴィシニョーワは,床の上でステップする脚の動きにお色気が漂うのがすばらしい♪

 

アポロ

音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー《ミューズをつかさどるアポロ》

振付:ジョージ・バランシン  指導:フランセス・ラッセル

アポロ:イーゴリ・ゼレンスキー
カリオペ:ダリア・パヴレンコ
ポリュヒュムニア:ヤナ・セレブリャコーワ
テレプシコール:ヴェロニカ・パルト
アルトーナ:アレクサンドル・グロンスカヤ

ゼレンスキーのアポロは・・・すみません,ルジマトフ教の信者の目には,つまらなく見えてしまうのよ・・・(笑)。
それは,見る側の責任でしょうが,記憶に残るそのほかの人(マラーホフとか堀内元とか)に比べても,どうも魅力がなかったです。彼は技術も存在感もある立派なダンサーだけれど,この役を魅力的なものにするには,爽やかでにこやかな普通のダンスールノーブルではない「ちょっと異常な何か」が必要なのではないかしらん?

アポロの出産シーンを初めて見られましたが,省略されがちなのもやむを得ませんねえ,あの場面では。
ポリュヒュムニア(無言劇)を踊った丸顔のセレブリャコワが個性的でチャーミング。小悪魔的というのかしら?

 

シンフォニー・イン・C

音楽:ジョルジュ・ビゼー

振付:ジョージ・バランシン  指導:ジョン・タラス,パトリシア・ニアリー

美術:イリーナ・プレス

【第1楽章】(アレグロ・ヴィーヴォ):
ソフィア・グメローワ/マキシム・フレプトフ
イリーナ・ジェロンキナ/ワシーリー・シチェルバコーフ,ヤナ・セーリナ/アントン・ピモノフ

【第2楽章】(アダージョ):
ウリヤーナ・ロパートキナ/イリヤ・クズネツォーフ
スヴェトラーナ・イワノーワ/アレクセイ・クラスノフ,エレーナ・クミル/イスロム・バイムラードフ

【第3楽章】(アレグロ・ヴィヴァーチェ):
エルヴィラ・タラーソワ/アントン・コールサコフ
ヤナ・セレブリャコーワ/ドミトリー・ヴェデネーエフ,ダリア・パヴレンコ/ドミトリー・プィハチョフ,

【第4楽章】(アレグロ・ヴィヴァーチェ)
マヤ・ドゥムチェンコ/ワシーリー・シチェルバコーフ
ユーリヤ・カセンコーワ/デニス・フィールソフ,タチヤーナ・ネキペロ−ワ/セルゲイ・サリコフ

私も,一応盛り上がりました。
衣装は,「水晶宮」色を帯びた「イン・C」と言えばいいのかしら,上品でとてもステキ。

でも,男性陣は問題が大あり(笑)。
まず,第1楽章のソリストの1人シチェルバコフが第4楽章のプリンシパルで登場するという人手不足に唖然。(大団円のときは,第1楽章のソリストは別の若いダンサーが登場)
踊りのほうも,跳躍のときに,つま先どころか膝が伸びていないダンサーがあちこちに・・・。これは,音楽についていけないから伸ばすヒマがない,ということかもしれません。一体なんなんだ,このメンバーは?!(怒) なまじ白いタイツがよく似合うから,余計腹が立ってくる・・・。
第2楽章のクズネツォフは,サポートは立派ですし,豪華な金髪をなびかせて微笑むところはステキだけれど,踊りにキレがない・・・。(たぶんバランシン向きのダンサーではないのでしょう。)
女性ソリストの中にも,あ,音楽にあわせるのがやっとだわ,という人もちらほら・・・

第2楽章のロパートキナは,なるほどー,でした。少々退屈することの多いこのパートが,(ロパートキナだと思って一生懸命見ているからかもしれないが)あっという間。96年に「バヤデルカ」などで見たときより情感も出ていて,見事だなあ,と感心。
それから,第1楽章のグメロワが,最後に4人揃っているところで堂々とした立派な踊りを見せて,おお,この人もプリマなのねー,と思いました。
男性の中では,第3楽章のコルサコフがよかったです。真っ赤なほっぺで,ポーズのキメとか,パートナーのエスコートとかが物慣れていないのも,とってもかわいい♪

 

全体的な結論・・・今回のキーロフのレベルには問題があるのではないでしょうか?
ソリストもコールドも本拠地のお留守番は必要でしょうけれど,2つに分けた結果がこうでは,全体のレベルも危ういのではないかと思ってしまいます。
まあ,でも・・・思い返せば,毎年『くるみ』を上演しにきていたころも,「今回のコールドは二軍なのではないか」とかファン仲間で文句を言っていたのだから,今回に限ったことではないのかも。
散々文句は言うのだけれど,これはキーロフだと思うからであって,普通の海外バレエ団の公演だと思えば,まずまずのものではありましょう。(ただ,ポアントの音の大きさは,やはり問題では?)

(02.2.6)

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