白鳥の湖(キーロフ・バレエ)

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音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

台本: ウラジーミル・ペギツェフ, ワシーリー・ゲリツェル
振付: マリウス・プティパ, レフ・イワーノフ
改定振付: コンスタンチン・セルゲーエフ

装置: イーゴリ・イワーノフ
衣装: ガリーナ・ソロヴィヨーワ

指揮: ボリス・グルージン  管弦楽: キーロフ歌劇場管弦楽団

  11月22日(オーチャードホール) 12月9日(フェスティバルホール)
オデット/オディール ヴェロニカ・パールト ウリヤーナ・ロパートキナ
ジークフリート王子 ダニール・コルスンツェフ イーゴリ・ゼレンスキー
王妃(王子の母) アレクサンドラ・グロンスカヤ エレーナ・バジェノワ
王子の家庭教師 ピョートル・スタシューナス
道化 キリル・シーモノフ アントン・ルコフキン
悪魔ロットバルト ニコライ・ゴドゥノフ
王子の友人たち ナターリヤ・ソログープ,エルヴィラ・タラーソワ,ドミトリー・シメオノフ イリーナ・ジェロンキナ,ユーリヤ・カセンコーワ,ドミトリー・シメオノフ
小さな白鳥 タチヤーナ・ネキペローワ,スヴェトラーナ・イワノーワ,ヤナ・セーリナ,ユーリヤ・カセンコーワ
大きな白鳥 アレクサンドラ・イオシフィディ,クセーニヤ・ドゥブローヴィナ,ナターリヤ・ソログープ,ヤナ・セレブリャコーワ アレクサンドラ・イオシフィディ,ヴェロニカ・パルト,ナターリヤ・ソログープ,ダリア・パヴレンコ
2羽の白鳥 クセーニヤ・オストレイコフスカヤ,ナターリヤ・ソログープ ヴェロニカ・パルト,ダリア・パヴレンコ
スペインの踊り ガリーナ・ラフマーノワ,アレクサンドラ・イオシフィディ,イスロム・バイムラードフ,ワシーリー・シチェルバコーフ
ナポリの踊り ポリーナ・ラッサーディナ,マキシム・フレプトフ
ハンガリーの踊り エレーナ・バジェノワ,アンドレイ・ヤコブレフ アレクサンドラ・グロンスカヤ,アンドレイ・ヤコブレフ
マズルカ オリガ・バリンスカヤ,エカテリーナ・ミハイロフツェワ,ガリーナ・ヤブロンスカヤ,エカテリーナ・コワリョーワ,セルゲイ・サリコフ,ドミトリー・シャラポフ,ソスラン・クラーエフ,イーゴリ・ニキーティン

 

00年11月22日(水)

オーチャードホール

今回もキーロフは何回もキャスト変更をしでかしてくれたわけですが,個人的に一番ショックだったのは,この公演。なにしろ,ルジマトフが当日になって脚の不調で降板してしまったのですから。
いっそ見にいくのをやめようかとも思ったものの,休暇はとってしまったし,パルトもコルスンツェフも見たことがないダンサーだし,翌日は新国立の『ラ・バヤデール』(ブロンズアイドル♪)を見るから交通費を使うのは同じだし・・・というわけで見にいきました。
オーチャードホールの通路後ろ3列目というとても見やすい席がとれていたのが,こうなってくると悲しかったです(とほほ)。

 

1幕1場。

王子登場。
コルスンツェフは,長身,スマート,脚もきれい。黒髪と東洋系の容貌で雰囲気も地味なので「☆王子さま☆」という感じではありませんが,優雅な落ち着きを見せているので,ジークフリート王子は似合っていました。特に手の動きがきれい♪

ワルツ。
コール・ド・バレエの上半身の動きの美しさ,そして皆長身でプロポーションの美しいこと,ああ,キーロフはやっぱりいいですー。

装置はちょっと古びているような・・・。一度新調したような記憶があるのだけれど,気のせいかしら?レニングラード国立と混同してしまったのかな?

ジークフリートと王妃の場面は比較的あっさり。「あら,何,その頭にかぶっているものは?」というやりとりがないし,花嫁選びも命じなかったように見えました。はてな? 弩のプレゼントは,王子は自然な感じで喜んでいました。コルスンツェフが分別ありげに見えることも手伝って,健全な母子関係の印象。

道化のシモノフが,演技も踊りも達者でよかったです。

 

1幕2場

オデット登場。
パルトは,美人で女らしい体型。特筆すべきは胸の谷間があること。(バレリーナでは珍しいわよねえ。)非常に色っぽい感じの不思議なオデットでした。確かに男性を惹きつける魅力はあると思うのですが,オデットとはちょっと違うような・・・。
身長もありますし,グラマラスな感じなので,この人を平然とサポ−トしているコルスンツェフは立派だなあ,と思いました。(同時に,脚が不調のルジマトフがこのバレリーナと踊るのを避けたのは賢明な判断かも,とも思ってしまいましたわ。)

白鳥たち。
仰天しました。トウの音が大きい,うるさい,耳障り(怒)。先日地元で見た「国立サンクトペテルブルク・アカデミー・バレエ」というカンパニーよりはマシですが,この足音では詩情もなにもあったもんじゃないと思うんだけど・・・いったいなぜなの? 私の席の位置のせい??
足音が気になるせいか,踊りのほうもバタバタしているように見えて・・・(悲)。

 

2幕

オディール。
パルトは大人の色気を感じさせるので,妖艶な黒鳥かな,と思ったのですが,あまり魅力がなかったです。技術的にも不安的で,フェッテははらはらしました。

ジークフリート。
やはり地味ですし,おおっと思うようなテクニックでもないですが,きれいに踊っていました。跳躍の着地音が大きいのが残念。

ロットバルト。
白塗りで不気味なメイクで・・・これじゃあ一見して悪魔だよ(笑)。
行き過ぎではないでしょうか。あんな姿の人に連れられて現れたのでは,オディールはいかにも怪しいわけで,王子以下全員が騙されるのに説得力がないです(怒)。

王子は,花嫁候補が登場して初めて,自分が結婚しなければならないのを知ったように見えました。(王妃が,ここで初めて結婚のマイムをするので。)演出の変更があったのでしょうか? そうだとすると,王子が登場したときに平静なのは理屈にあいますが,セルゲーエフ版は,湖畔の場面の最後にオデットを舞踏会に誘っていて,だからこそオディールに欺かれるのか思っていたのですが・・・?
真実が明らかになったときに,王妃に抱きつかないのも珍しく思いました。やはり,健全な母子関係ということなのかな?

この場面は,装置が変わったのでしょうか。(見覚えはあるような・・・?)王妃の腰を下ろす場所が上手ではなく中央奥でしたが・・・?
衣裳も,スペインなどは多少変わっていたかもしれません・・・?

 

3幕

オデットとジークフリート。
悪くはなかったですが,強い印象もない。淡々と話が進行した感じでした。

白鳥たち。
1幕2場と印象変わらず。あの足音は勘弁してほしい(泣)。

 

というわけで,全体として楽しめない公演でした。コルスンツェフはステキだったけれど。
まあ,こちらの精神状態もあったとは思います。

(02.7.6)

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白鳥の湖(キーロフ・バレエ)

00年12月9日(土)

フェスティバルホール(大阪市)

 

東京で絶賛の嵐だったロパートキナの「白鳥」を見ることができました。

なるほど,見事ですね〜〜。
役を自家薬籠中のものにしていると言ったらいいのでしょうか,あらゆる動きが考えられていて,うまい。しかも,美しい。
オデットの腕の動きは白鳥のはばたきそのもの。その全身の表情は,悲しみに満ちていながら毅然とした女王でもある。オディールは妖艶でありながら品を失わない見事な誘惑者。(ただ,フェッテは苦手のようでした・・・あれで盛り上がれる客席は,私には理解しがたいなー。悪名高き手拍子まで出たのよ。)

と頭では思うのですが・・・私は,何だか心が動きませんでした。見事だと誉めるのに何のためらいもないですが,感動しなかったのも事実。「すてき♪」とか,「うわぁ!」とか思えなかったのよねえ。
これは,好みというか,(変な表現かもしれないが)相性の問題でしょう,たぶん。

 

ゼレンスキーは,お芝居も感情表現も踊りも,以前より洗練されていて,立派なジークフリートでした。
その代わり,多少以前の豪快さが失われたような気もしますが・・・でも,いい方向への変化だと思います。

オディールが正体を現した後の演技が印象的。最初,呆然として,何が起きたか理解できない様子。それから,ふらふらとオディールのいたほうに行って,もういないのに気付いて事態を掌握。王妃に決然と別れを告げて去っていく様子が,たいへんヒロイックでした。

王妃と王子の関係については,やはりどうやら演出が変わったようです。
王妃はこの日はバジェノワだったのですが,東京のグロンスカヤと同じく,王子や家庭教師をとがめませんでした。「立派の王になりなさい」,「早く嫁をもらいなさい」なんて言わないで,あら,しょうがないわね,かわいい息子よ,という感じでしたし,王子は,舞踏会の場で結婚を命じられてあわてふためく感じ。
(この変更がいいのか悪いのかは・・・なんともいえないなー。今までのマザコン風王子にも感心しないけれど,なぜ王子が森に行くのか事情が不明になったような気もするし・・・どうなんでしょ?)

 

道化のルコフキンは,たいへん小柄,技術的には東京のシモノフのほうがよかったですが,愛嬌があってかわいらしいので,私は気に入りました。

パ・ド・トロワの男性は,東京に続いてシメオノフ。ううむ・・・私,この方の腕の使い方はキーロフのダンサーとは思えないくらいチマチマしていると思うのだけれど・・・この役にキャスティングされているということは期待の若手なのでしょうか・・・?

白鳥たちはあいかわらずの盛大な足音。とほほほ,ですわ。
でも,1幕1場は美しいですし,キャラクター・ダンスは,さすがキーロフで楽しかったです。特にスペインの4人が迫力があって見事でした。

 

ロパートキナの名演のため,客席はたいへんな盛り上がりで,スタンディング・オベーションもありました。

(02.7.7)

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