ノートルダム・ド・パリ(牧阿佐美バレエ団)

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00年10月7日(土)

文京シビックホール

 

振付・台本: ローラン・プティ  振付指導: ルイジ・ボニーノ

原作: ヴィクトル・ユーゴー

音楽: イヴ・サン=ローラン

装置: ルネ・アリオ
衣裳: イヴ・サンローラン

エスメラルダ: 志賀三佐枝   カジモド: 森田健太郎   フロロ: 小嶋直也   フェビュス: 正木亮羽

千葉るり子, 諸星静子, 内古閑智子, 大畠律子, 横山薫, 金澤千稲, 岩本桂, 坂西麻美, 田中祐子, 平塚由紀子, 鈴木規緒美, 佐藤朱実, 清水美貴, 土田さと子, 柴田有紀, 根本佳奈, 酒向葉子, 笹生佳也, 橋本尚美, 小西さくら, 藤田淑, 櫛方麻末, 館野若葉, 橘るみ, 山井絵里奈, 奥田さやか, 吉岡まな美, 野本康子, 渡辺悠子, 駒崎友紀, 本島美和, 山中真紀子
京谷幸雄, 山内貴雄, 加茂哲也, 鷲崎桂一, 飯田伊奈美, 根岸正信, 岡田幸治, 山本成伸, 佐藤崇有貴, 塚田渉, 秋山聡, 保坂A.慶, 伊藤隆仁, 京當雄一郎, オリバー・リドー, ダシツレン・トールガ, 武藤顕三, 徳永太一, 西岡裕典, 三國典央, 引地裕介, 
本多実男, 中村一哉, 前田文博

 

文京シビックホールでバレエを見るのは初めて。
交通の便がいいのは何よりですが,客席前方の傾斜が緩く,前の方の頭で視界が妨げられてしまい,残念でした。

舞台のほうも,初演の新国立劇場より舞台が狭いので,コール・ドの人数やセットを省略し,ダンサーの動きもかなり変えての上演で,迫力がかなり減っており,残念でした。その上,オケピットがあるのにテープ演奏なので,これも不満。まあ,経費などいろいろな要素があるでしょうから,再演してくれたこと自体に感謝していますが。

エスメラルダの志賀さんもカジモドの森田さんも,初演のときは「がんばって挑戦している」感じだったのですが,この日は「自分の役を踊っている」ように見えて,たいへんよかったです。
森田さんは,登場のときから愚鈍で卑屈な感じがありますし,その後,エスメラルダに出会って(変な言い方ですが)人間らしくなっていくところも,ブラヴォーでした。
志賀さんは,(登場する男性のすべてを虜にする)色気は足りないものの,心優しいジプシー娘で,ほろりとさせるものがありました。

この二人の,2幕のパ・ド・ドゥは,とてもよかったです。
エスメラルダがカジモドを一人の人間として見ていて,彼に対して優しい(あるいは愛おしい)気持ちを持っていることが伝わってきましたし,彼の保護下にあることで,最後は安心しきって眠りにつくのも感動的。カジモドも,最初はおどおどしていて,段々嬉しそうに,幸せそうに踊るようになっていって,見ていて暖かい気持ちになれました。
この凶々しい作品の中で,唯一の心温まる場面ですよね。
このパ・ド・ドゥは,ガラで見るより,全幕で見たほうが断然いいです♪ 客席からも,大きな拍手がわきました。

小嶋さんのフロロは,初演のときは冷酷な悪役でしたが,この日は,かなり無気味なストーカー。ビデオで見たローラン・イレールのような懊悩とか妄執という感じはないのですが,背後霊の如く「怪しい」感じがすばらしい♪♪
彼は日本人ダンサーの中でも感情の表出をしないほうですが(苦手としている,と書いたほうが公正かもしれませんね),フロロを踊る上ではその個性が生きて,一種,爬虫類を思わせる気持ちの悪さ。見事でした。
もちろん,技術的には申し分ありません。

草刈さん以外のソリストが総登場するコールドは見事でしたし,軽薄な恋人フェビュスの正木さんは,背が高くて容姿がいいのが結構でした。(少しスレンダーになって,以前の体型に近づいたかな?)

総じて,いい公演でしたが,近いうちに,もっと広い舞台で,オーケストラを伴って再々演してほしいなー,と思いました。

さて,この日はプティ御大は来ていないようで,客席には,代理らしきボニーノ氏の姿がありました。その隣には,スカラ座日本公演を終えたばかりのムッル氏(牧でのカジモド初演者)と,カルティエのイベントのために来日したというルグリ氏の姿も・・・。2人は,「別に知り合いもいないしー」状態だったのかしらん,休憩時間にはロビーでお茶を飲んでいました。ファンの写真撮影の依頼に快く応じていましたが,皆さん,なぜカメラを持っていたのでしょうねえ??

(02.3.6)

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