ニューヨーク・シティ・バレエ
00年8月27日(日) マチネ
オーチャードホール
フォー・テンペラメント
音楽:パウル・ヒンデミット
振付:ジョージ・バランシン
照明:マーク・スタンレー
初演:1946年11月20日
指揮:リチャード・モアドック 管弦楽:新星日本交響楽団
テーマ
1.レイチェル・ラザフォード, ロバート・ライアン
2.イーシャ・アッシュ, エドワード・リアン
3.ジェニファー・ティンスリー, ジェイムズ・ファイエット
第1ヴァリエーション:憂鬱 MELANCHOLIC
セバスチャン・マルコヴィッチ
クリスチャン・スローン, ジェイニー・テイラー, フェイ・アーサーズ, グレン・キーナン, カーラ・コーブス, ローレン・トゥール
第2ヴァリエーション:快活 SANGUINIC
ミランダ・ウィーズ, フィリップ・ニール
メリッサ・バラク, アシュレイ・ボーダー, ミーガン・ペピン, サラ・リカード
第3ヴァリエーション:冷淡 PHLEGMATIC
アルバート・エヴァンス
エレン・バー, アマンダ・ハンクス, レベッカ・クローン, メリッサ・ウォルター
第4ヴァリエーション:癇癪 CHOLERIC
キャスリーン・トレイシー
アンサンブル
「バランシン見本市」という感じで,面白く見ました。
見ながら,「あ,これこれ」とか,「そうそう,こういうのってバランシンだよねー」とか思えて,以前パリ・オペラ座やスター・ダンサーズ・バレエ団で見たときよりも,自分の教養(笑)が増していることを確認できました。(だからどうした,と聞かれると困るが)
一方で,4つの気質の前に,3つの主題があったのを覚えていない自分の記憶力には「とほほ」。
1楽章の,マルコヴィチの長めの金髪とマッチョな身体がステキ。3楽章のエヴァンズの柔らかさも印象に残りました。
フィアフル・シンメトリーズ
音楽:ジョン・アダムズ(演奏はテープ)
振付:ピーター・マーティンス
衣裳:スティーヴン・ルビン 照明:マーク・スタンレー
初演:1990年5月3日
マリア・コウロスキー, ウェンディ・ウェーラン, チャールズ・アスケガ−ド, ニラス・マーティンス
イヴォンヌ・ボレ, アーチ・ヒギンズ
クリストファー・ボーマー, アーロン・セヴェリーニ, トム・ゴールド, エレン・バー, ポーリーン・ゴルビン, ダナ・ハンソン, ディーナ・マクブリアーティー, ジャレド・アングル, ステュアート・キャップス, ダリウス・クレンショー, スティーヴン・ハナ
エレーナ・ダイナー, マーティン・チコーネ, アンドレア・ヘッカー, ローラ・ポーラス, エリザベス・ウォーカー, ジェイミー・ウルフ
赤い衣裳で大人数のダンサーが登場して踊りまくる作品。
同じ音楽(たぶん)を使ったアシュレイ・ペイジの作品(英ロイヤルが上演)より面白いと思いましたし,私は物量作戦の作品は好きなので,なかなか楽しかったです。
でも,今後再び見られなくても,特に残念ではないかも〜。
ウエスト・サイド・ストーリー組曲
音楽:レナード・バーンスタイン
振付:ジェローム・ロビンズ
歌詞:スティーヴン・ソンドハイム
照明:ジェニファー・ティプトン 装置:オリヴァー・スミス 衣裳:アイリンーン・シャラフ
オリジナル台本:アーサー・ロレンツ
振付助手:ピーター・ジェナロ
初演1995年5月18日
ゲスト指揮者:ポール・シェミニャーニ 管弦楽:新星日本交響楽団
トニー:ベンジャミン・ミルピエ リフ:ニコライ・ヒュッベ ベルナルド:ジェイムズ・ファイエット
アニタ:ジェニファー・リンガー マリア:アルベリー・モーガン ロザリア:アマンダ・エッジ
ジェット団:
ジャレド・アングル, クリストファー・ボーマー, スチュアート・キャップス, カイル・フローマン, スティーブン・ハナ, ライアン・ケリー, セス・オーザ, アーロン・セヴェリーニ, ジョナサン・スタフォード
デナ・アバーゲル, サスキア・ベスコウ, マーティン・チコーネ, ローラ・ポーラス, キャリー・リー・リギンズ, レイチェル・ラザフォード, ジェニー・ソモギ, ジェニファー・ティンスリー, エリザベス・ウォーカー, ジェイミー・ウルフ
シャーク団:
アントニオ・カルメナ, クレイヴ・ホール, アダム・ヘンドリクソン, アーチ・ヒギンズ, アレクサンドル・イジリエフ, エドワード・リアン, アレクサンダー・リッター, ヘンリー・セス
フェイ・アーサーズ, イーシャ・アッシュ, エレン・バー, メリッサ・バラク, アンドレア・ヘッカー, レベッカ・クロ−ン, ディーナ・マクブリアーティ, イーヴァ・ナターニャ
歌手:ロブ・ローリー, ジョーン・バーバー, ステファニー・バスト, ドナ・リー・マーシャル, ホイットニー・ウェブスター
ダンス・ナンバー:
プロローグ/なにかがやって来る/体育館のダンス/クール/アメリカ/ランブル/サムウェア
決して悪くはなかったですが,ミュージカルに比べるとイマイチ・・・。
ダンスはもちろんミュージカル俳優より上手なのでしょうが,「マリア」も「トゥナイト」もないから物足りなくて・・・。私は本場ブロードウェイのミュージカルを見たわけではなく,映画と宝塚歌劇団の上演を見ただけなのですが,でも,宝塚のほうがずっと感動できました。
そういうわけなので,「とほほ。12年ぶりの来日で,チケット代のうち6,000円分がコレか・・・。せっかくロビンズを上演するなら,バレエを見せろよぉ」というのが正直なところです。いや,もちろん演目に入っているのは知っていましたから,あまり文句を言うのも大人気ないですし,これもバレエではありましょうが。
ジェット団はアングロサクソン系の容姿のダンサー,シャーク団はラテン系とアフリカ系の容姿のダンサーが配役されており,わかりやすくてよかったです。(なぜかマリアは白人でしたが。)
ダンスとしては,「体育館のダンス」がさすがバレエダンサー♪ の見事さ。
ダンサーは,ヒュッベ(リフ)とリンガー(アニタ)がステキ。ヒュッベは歌もなかなかで感心しました。
概ねミュージカルと同じように話が進みましたが,トニーは死なないようでした。というか,最後,乱闘でリフとベルナルドが死んだあと,トニーが「マリア!」と悲痛に叫ぶと,突如場面が抽象的な感じのシーンに変わり,何組かのカップルによる浄化された感じのダンス(音楽は「サムホエア」)になって幕になったのですが・・・はてな? ハッピーエンドなのですかね???
(02.11.28)
ニューヨーク・シティ・バレエ
プログラムA《オール・バランシン・プログラム》
00年8月27日(日) ソワレ
オーチャードホール
セレナーデ
音楽:ピョートル・イリッチ・チャイコフスキー
振付:ジョージ・バランシン
衣裳:カリンスカ
オリジナル照明:ロナルド・ベイツ 照明:マーク・スタンレー
初演:1935年3月1日 NYCB初演:1948年10月18日
指揮:ヒューゴー・フィオラート 管弦楽:新星日本交響楽団
エレーヌ・アレキソポウロス, ジェニー・ソモギ, ジェニファー・リンガー
ジェイムズ・ファイエット, フィリップ・ニール
アナンダ・エッジ, ディーナ・マクブリアーティ, キャリー・リー・リギンズ, レイチェル・ラザフォード
この作品は,いくつかのバレエ団での上演を見ていたので,バランシンの本家NYCBの上演をたいへん楽しみにしていました。きちんと揃った鋭いテクニックで,硬質で整然とした踊りが眼前に現れるに違いない,と。
ところが,良くも悪くも予想は大外れ。
とても不揃いでしたが,雰囲気がありました。男性ダンサーの体格が立派で(いわゆる「マッチョ」という感じ),宇宙服仕様の衣裳が似合うのもよかったです。
でも,一番印象的だったのは,袖に隠れて客席から見えなくなることを全く気にしない,大きな踊り方。おおらかというべきか,無神経というべきか? う〜む,アメリカ合衆国的と言うのが一番正しいかも〜。
デュオ・コンチェルタンテ
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:ジョージ・バランシン
オリジナル照明:ロナルド・ベイツ 照明:マーク・スタンレー
初演:1972年6月22日
ヴァイオリン:竹澤恭子 ピアノ:キャメロン・グラント
イヴォンヌ・ボレ, ニコライ・ヒュッベ
退屈でした。すみません。
皆さん絶賛のヴァイオリン演奏も私には「豚に真珠」で,お恥ずかしい限り。
シンフォニー・イン・3ムーヴメント
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:ジョージ・バランシン
照明:マーク・スタンレー
初演:1972年6月18日
指揮:ヒューゴー・フィオラート 管弦楽:新星日本交響楽団
I
ジェニファー・ティンズレー, キャスリーン・トレイシー, ウェンディ・ウェーラン,
トム・ゴールド, アーチ・ヒギンズ, ジョック・ソト
イーシャ・アッシュ, アマンダ・エッジ, ポーリーン・ゴルビン, ディーナ・マクブリアーティ, イーヴァ・ナターニャ, ジャドレ・アングル, アチュアート・キャップス, ジェイソン・ファウラー, カート・フローマン, カイル・フローマン
II
ウェンディ・ウェーラン, ジョック・ソト
III
総出演
いやー,面白かったですー。
女性ダンサーの勢いと迫力が舞台上に満ち満ちていて,ウーマンリブ発祥の地アメリカならではの表現であるなー,と感心。
最初のうちは,音楽はストラヴィンスキーだし,女性ダンサーのポニーテールと白いレオタード姿から,ベジャールの「春の祭典」みたいだなー,と思いました。で,見ているうちに,なんだかフォーサイス作品みたいだなー,と・・・。
で,思ったこと・・・バランシン作品ってクラシックバレエではないらしい。(笑)
いや,そうですよね,一般に「ネオ・クラシック」って言われているものね。でも,ここまで違うとは思っていなかった。テクニックというか,踊り方というか,ポジションの取り方というか,素人なのでよくわからないけれど,絶対違うと思いました。(びっくり〜)
シンフォニー・イン・C
音楽:ジョルジュ・ビゼー
振付:ジョージ・バランシン
衣裳:カリンスカ
照明:マーク・スタンレー
初演:1947年7月28日 パリ・オペラ座バレエ《水晶宮》 NYCB初演:1948年10月11日
指揮:ヒューゴー・フィオラート 管弦楽:新星日本交響楽団
《第1楽章》 アレグロ・ヴィーヴォ
ミランダ・ウィーズ/ニラス・マーティンス
レイチェル・ラザフォード/ジェイソン・ファウラー, ダナ・ハンソン/ジャレド・アングル
《第2楽章》 アダージョ
マリア・コウロスキー/チャールズ・アスケガード
アマンダ・エッジ/カート・フローマン, ポーリーン・ゴルビン/カイル・フローマン
《第3楽章》 アレグロ・ヴィヴァーチェ
エイビ・スタフォード/ベンジャミン・ミルピエ
デナ・アバーゲル/ヘンリー・セス, イーヴォ・ナターニャ/スティーブン・ハナ
《第4楽章》 アレグロ・ヴィヴァーチェ
ジェニファー・ティンスリー/アルバート・エヴァンス
ディーナ・マクブリアーティ/クレイグ・ホール, キャリー・リー・リギンズ/クリストファー・ボーマー
バランシンは(少なくともNYCBの踊るバランシンは)クラシックバレエではないという確信がますます強まった上演。(第一,チュチュが全然似合ってないしー)
なんというか・・・他のバレエ団の踊る『水晶宮』や『シンフォニー・イン・C』とは全く別の作品でした。
プリンシパルには,ポーズや動きを美しく見せて,男女の物語を語ろうという意図が全くない。コール・ド・バレエには,揃って動くことにより場の雰囲気をかもし出そうという気持ちが全くない。ひたすら,各ダンサーがそれぞれが速く大きく動いて,その結果,パワーとエネルギーが舞台を満たして,客席にも伝わってくる・・・。そうですね,例えば・・・運動会の棒倒し競技とか,ねぶた祭りの狂躁とか,そういう類のモノでした。
それはもう驚きました。
非常に興味深かったですし,こういう舞台も嫌いではないですが・・・ううむ,ううむ,ううむ・・・バランシンが意図したのは,こういうものだったのだろうか???(悩)
(02.12.4)