それ以外の興味ある本を紹介します

上海摩登
この本は1930年代の上海を当時の漫画、
写真、映画という切り口で描いた非常に面白
い本です。特に漫画については,当時の上海
の人々の生活の表情が非常に良く伺える
貴重な資料です。映画については30年代の
上海映画の状況を良くとらえた資料です。
また阮玲玉については別に1章をさき、その
生涯と特にその死の社会的な意味について
記しています。
なおこの本は中村 愿氏の所蔵していた1930
年代中期の上海の雑誌を元に海野 弘氏が
再構成したものです。用紙にもこだわりがあり、
非常に面白いが反って一部の図版がみにく
いのが残念です。
冬樹社(日本)
海野 弘  編
ISBN なし
1985年8月初版
定価2400円
香 港
これは基本的には香港旅行のガイドブックなの
ですが,その視点が極めて特異なため取り上
げました。この本には香港のショッピングガイド
などは書かれてはいません。ここで多くのスペ
ースを割いて書かれているのは1942年から
45年までの3年間に日本軍の行った犯罪行為
とその跡が何処にあるかというガイドです。
確かに時代は60年以上も前であり、すでに
こういうことを話す時代は終わったという人はい
るかもしれませんが、少なくとも基本的な知識と
して持っていなくてはならないと思います。
梨の木舎(日本)
和仁 廉夫  著
ISBN4-8166-9601-6
1996年9月初版
定価1854円
タイガーバームガーデン
新潮文庫からでていたタイガーバームガーデン
のビジュアル本です。多分日本で出ている唯一
の本だと思います。カラー写真満載で非常に
楽しいものになっています。香港の部分は
一部が取り壊された後の撮影のようですが、
シンガポールの部分とあわせて大変楽しい本
になっています。残念なのはそのサイズから
写真が小さいこと、香港とシンガポールの区別
がされていないこと,そして個々の像についての
解説がほとんど無いことですが...
とにかく見て楽しい本です。
新潮社(日本)
谷川 晃一
ねじめ 正一 共著
ISBN4-10-102111-2
1987年3月初版
定価480円
凝裸儒(こらーじゅ)的
中華天地

最後は中華世界をビジュアルで紹介している
島尾伸三,潮田登久子夫妻の本を一冊。
この夫妻は1970年代後半から中国、特に
広東,香港を中心とした色々なビジュアルを
採取し出版されています。この本ではないの
ですが私が本当に中華ビジュアルに関して
興味を持ったのはこの方の著書からです。
多分どの本を読んでもハズレはないと思います
し、いまではもうはるか昔のなってしまった80
年代以前の中国の貴重な写真や資料も色々
とのっています。
三交社(日本)
島尾 伸三
潮田 登久子 共著
ISBN4-87919-546-4
1994年1月初版
定価1680円