昔の香港、中国の映画雑誌についてご紹介いたします。
はるか昔の上海でも、多数の雑誌が発行されていましたが、さすがに
その頃の本は入手できていません。ここでは1950年代後半から60年
前半の雑誌をご紹介いたします。
これは1961年の「南国電影」です。
当時香港の映画界は邵氏公司と電影懋業公司の
二大映画会社が覇を競っていました。
それぞれが専属俳優を抱え、独自の映画雑誌を発
行していました。
これはそのうち新興勢力であった邵氏公司の発行
していた雑誌です。この頃のトップスターは表紙を
飾っている李麗華と林黛、楽帝を先頭に、張仲文、
丁寧らの女優陣と陳厚、趙雷といった男優陣でした。
全144ページ、カラーページも結構あるしっかりした
つくりです。当時の定価は1ドル50セント(港幣)で
した。

こちらは1963年の「国際電影」です。これはもう
一方の老舗電影懋業公司の発行していた雑誌です。
こちらは表紙の林翠をはじめ葛蘭、尤敏、白露明
などの女優陣が所属していました。
ちょうどこの頃例の「梁山泊輿祝英台」騒動がおきて
いたようで、本誌にも製作状況のグラビアと、いつ
完成するのかといった記事が載っています。
しかしこの映画の完成が遅れそれがきっかけとなり
電影懋業公司の没落にいたった事を考えると、皮肉
な時期の雑誌です。
全80ページ、やはりカラーページもあるしっかりした
ものです。定価は普通号なので80セント(港幣)で
した。

最後に、これは大陸で出版されていた「中国電影」
の1958年11月号です。当然ながら人民に奉仕
する芸術,という視点しかない雑誌であり、
まず冒頭はソビエト革命41周年を祝う記事から始っ
ており、写真もすべて白黒と為っています。同時期の
香港の雑誌等にくらべるとあまりにも貧弱な内容とな
っています。
すでに中華人民共和国成立後10年が経過し、この
数年後にはもっとひどい時代がやってくるのですが、
すでにエンターテイメントとしての映画はまったく
存在しないといっても過言ではない状況だったよう
です。
当時の定価は0.35元でした。