RICOH GR Digital

リコーがフィルムカメラのビッグネームを復刻して放ったコンパクトディジタルカメラ、GR Digital。昔からカメラ好きだったのでRicoh GRのことは知ってたけど、GRというカメラに思い入れは無かった。単純にディジタルカメラ「GR Digital」の設計思想に共感して購入。
GR Digital (正面)

このカメラ、評判どおり写りが凄くいい。単焦点レンズの歪の無い素直な描写と、抜けるような青空の青は特に素晴らしい。同時代に売られていたコンデジは歪や片ボケなんて当たり前だったから、この歪の無い描写をみると心が洗われるようだった。

GRDは操作性も秀逸。背面にあるディジタルーズームボタンを露出補正にカスタム設定すれば、ワンアクションで露出補正が可能。D700もボタンを押しながらダイヤルを回す2アクションなので、ディジタル一眼レフよりも素早く設定が変更できる。ほとんどの人がディジタルズームなんて使わずに露出補正に割り当ててんじゃないかと思うけど、最初から露出補正ボタンにしておいた方がいいんじゃないかと思う。
GR Digital (背面)

GRDのマクロはかなり凄い。最短のレンズ前15mmまで寄ると、目ではよく見えないような小さなモノまで写る。あと広角マクロは画角の広さを生かして面白い写真が撮れるんだけど、ブツ撮りにはちょっと使いにくい。マクロモードに設定すると凄く近くまで寄れるんだけど、フィルム換算28mm相当のマクロは被写体に思っている以上に近づく必要がある。一番問題になるのが光で、光源とカメラの位置関係を工夫しないと被写体がカメラの影を被ってしまう。

コンパクトディジタルカメラながらマニュアル撮影が可能。だけど普段はプログラムオートで事足りてたので、マニュアルモードで撮ったことはほとんどない。何でシャッター優先オートを搭載しなかったのかは分からないけど、ディジタルカメラはISO感度を任意に変更できるので、絞り優先オートとISO設定の組み合わせでシャッター速度を出来るだけ速く撮影したりすることも可能。


高感度撮影は苦手。ノイズにはあまりうるさく無い俺も、常用しているのはISO 400まで。ISO 800はかなりノイジーなので、非常時のみ使うといった感じ。ただノイズリダクションは弱く、ノイズはザラついた感じで解像感はほとんど犠牲になっていない。コンデジにありがちな塗り絵のような絵ではないので、個人的にはノイジーなISO 800の画質も嫌いではない。モノクロのISO 800とか、高感度フィルムを使った昔のスポーツ写真チックで面白い。

最大のウィークポイントは液晶画面。液晶画面は視野が狭くて、正面から見ないと構図を決めるのが難しい。あと晴天の日中ではほとんど見えなくて、勘でシャッターを切ることもしばしば。GRDは現役で使ってた頃から液晶画面に不満を感じてたから、光学ファインダーを買うべきだったかな。光学ファインダーは最新モデルでも使いまわしが効くからね。

あとゴミの混入には悩まされた。リコーのサービスセンターでクリーニングしてもらった事もあったし、シンガポール出張中は自分で分解してクリーニングしたりもした。GRD IIIでは今のところゴミが気になったことは無いから、やっぱ初代GR Digitalはゴミに弱いんだと思う。
GR Digital 分解掃除

GR Digitalが発売された2006年はディジタルカメラが爆発的に普及した時期。当時コンパクトタイプのカメラはいわゆるバカチョンタイプばかりで、マニュアル撮影に対応できるカメラはほとんど存在しなかった。色々とウィークポイントもあるカメラだけど、意のままに写真を撮るための道具として唯一無二の存在だった。

<主要スペック>
撮像素子: 1/1.8型原色CCD 有効画素813万画素
レンズ: 焦点距離f=5.9mm (35mm判カメラ換算28mm) F2.4-11
レンズ構成: 5群6枚 絞り枚数7枚
撮影距離: レンズ先端から約0.3m〜∞
近接撮影距離: レンズ先端から0.015m
シャッター速度: 180, 120, 60, 30, 15, 8, 4, 2, 1〜1/2000秒
記録画素数(静止画): 3264×2448、3264×2176、2592×1944、2048×1536、1280×960、640×480
記録画素数(動 画): 320×240、160×120
画質モード: F(Fine)/N(Normal)/RAW
ISO感度: AUTO、64、100、200、400、800、1600
フォーカス: オートフォーカス/マニュアルフォーカス/スナップ/∞
露出調節: TTL-CCD測光 マルチ(256分割)/中央重点測光/スポット測光
露出補正: マニュアル補正(+2.0〜−2.0EV 1/3EVステップ)
ホワイトバランス: AUTO、固定(屋外/曇天/白熱灯/蛍光灯/手動設定/詳細設定)
記録媒体: SDメモリーカード、マルチメディアカード、内蔵メモリ(26MB)
撮影モード: プログラムシフトモード/絞り優先モード/マニュアル露光モード、シーンモード(文字/音声)、動画モード
液晶モニター: 2.5型 低温ポリシリコンTFT液晶 約21万画素
外形寸法 107.0mm(W)×25.0mm(D)×58.0mm(H) 突起部含まず
質量 約170g (バッテリー/SDメモリーカード/ストラップ含まず)
電源 リチャージャブルバッテリー (DB-60)
撮影可能枚数: 約250枚 (DB-60使用時)




RICOH GR Digital
Program AE, 5.9mm, ISO 64, 1/810sec, f3.5, 0.0EV


RICOH GR Digital
Program AE, 5.9mm, ISO 64, 1/570sec, f3.5, 0.0EV



RICOH GR Digital
Program AE, 5.9mm, ISO 64, 1/200sec, f3.2, -0.3EV



RICOH GR Digital
Program AE, 5.9mm, ISO 64, 1/84sec, f3.5, 0.0EV



RICOH GR Digital
Program AE, 5.9mm, ISO 64, 1/250sec, f3.5, 0.0EV



RICOH GR Digital
Program AE, 5.9mm, ISO 64, 1/250sec, f4.2, 0.0EV