ファシリテーターという仕事
「ファシリテーター」という言葉を耳にしたことありますか? facilitate(ファシリテート)という英語があります。これは、「促進する」という意味の動詞。「ファシリテーター」は、「会話を円滑に進める役割の人」というような意味の言葉です。
 みなさんは、何らかのグループ活動をしたときに、歯がゆい思いをしたことはありませんか。せっかく集まっているのに一部の人の意見だけでことが進んでいくとか、あるいは「船頭多くして...」というように収集がつかなくなってしまったり・・・。実は、ファシリテーションとはそういう思いに答え、グループでの活動を健全に促すためのものです。つまり、参加者一人一人が思っていることを引き出し,表現できるようにお手伝いをし、いろいろ出てきた意見を参加者の合意を得ながらみんなで整理したり、そこから新たなアイデアを生み出せるように支援する役割をするのがファシリテーターです。



どんな場面で活躍するのでしょう?
活躍の場は、生涯学習や学校教育、福祉の現場から各家庭内でもあると思います.ただし、どんな場面でもあくまでその場の「当事者」の主体性を尊重しながらというスタンスで関わっていきます。

参加者との関わり方は?
*インストラクター:指導者・伝授タイプ
            :オリエンテーション・機器の使い方の説明・知識・技術の習得など
*インタープリター:解説者・仲介タイプ
            :他のものからのメッセージを解説するなど
*ファシリテーター:促進者・触媒タイプ
            :参加者自身の気づきを促すなど


どんな人がファシリテーターになるのでしょう?
 チーム活動が存在するところでは、必ずファシリテーターの役割を担う人が必要になります。明確にファシリテーターを指定する場合もありますし、自然とその役割を担っている場合もあります。一般的にはチームリーダーが、ファシリテーターになりますが、補佐役や他のメンバーがうまくチームをまとめ、ファシリテートしている場合もあります。
 従来の「まとめ役」「リーダー」「講師」と言われるような役割は、参加者に知識を教えたり、話し会いの内容を引っ張っていくことや決断を下すことが求められます。しかし、ファシリテーターはあくまで「支援者」という位置づけで、参加者の協働作業や議論がより創造的になるように、お手伝いする役割です。



例えば、ラベルワークを用いたファシリテーション
●手法と手順:各自、ラベル(付箋)に自分の考えを書いてもらい,4〜5人のグループになってラベルに書いた内容が似た意見を集め、整理していきます。こうすると大抵七〜八つの大きなカテゴリーと、どこにも集約されないラベル(意見)が出てきます。
 これらの関係を話し合いながら自分たちの思いを模造紙などに図解化します。
 模造紙には文字の羅列でなく、図や色も利用し、イメージしやすい形で表現します。
 あとはこれらのカテゴリーと単独のラベルの内容を見てさらに議論を深めたり、内容に優先順位をつけたり、誰が何をやるのか役割分担を話し合ったりします。

●ここでのファシリテーターの役割
 場をなごましながら、参加者が思っていることを質問することで引き出し表現させてゆきます。また、助言などをしてより具体的な考えや思いを出させグループ化していきます。
 出されたアイデアがどう他と結びついてゆくのかを一緒に考えながら進めてゆきます。時にはアイデアを出し、新たな構成を提案をします。全体的には参加者が対等な関係で議論できるような運営を工夫します。
 貴重な会議の場が、単なる情報伝達の場や時間つぶしの場になるのはファシリテーターが、その役割を充分に果たしていないと言えるでしょう。その意味でファシリテーターの役割は、きわめて重要といえます。


ファシリテーターに必要なこと・自分にもたらしてくれること
 ファシリテーションはあくまでも目的達成のために従事する手段であり、それ自体が目的なのではありません。その意味では、いわゆる「ファシリテーション手法」が前面に出され、あの方法でやれば間違いない、といわれることは危険です。むしろ、目的の達成のために本当に必要なことは何か、ということを常に考えることが求められます。
 目的が達成されたときに、「ファシリテーション(ファシリテーター)が良かったからこの目的が達成された」という声が聞かれるよりは、「みんなが力をあわせて目的が達成できて良かった」という声が聞かれるほうが健全なファシリテーションだったということになります。主役はあくまでも目的に取り組むメンバー一人一人であり、ファシリテーターはそのメンバーを支援する陰の役なのです。
 より良くファシリテーションしていくには 自己理解や他者理解が必要となります。
 自分の行動や、心理状態に気付き、それを言葉で表現すること、そして、それはなぜなのか?と考えてみること・・。グループの他の人が、どんな心理状態なのかを知ること、そしてそれはなぜなのか聞いてみること・・。
 そんなファシリテーターという体験を通して、自分が持っている“自分の枠”に気付 き、自分とは違う感じ方・考え方をする人の存在を知り、認め、お互いにより深い関わり合いもできていくのです。それは今、なおざりにされがちな人と深く関わり合うことのきっかけになるかもしれません。
 春。新しい人との関わりや、新しいつながりが生まれるこの季節。ファシリテーターという目新しいこの言葉が、ほんの少し、自分を変えてくれるかもしれませんね。

 参考:竹迫和代さん[ファシリテーター] 片山葉子さん[ファシリテーター]
    SMILE(聖マーガレット生涯教育研究所)


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