Phragmipedium kovachii 作 Manolo AriasPeruflora 翻訳 熊虞蘭土 2月、Phrag. kovachii を買いました。そのとき、栽培法の教授を依頼すると、それについての英語版 CD を頂きました。その日本語版栽培メソッドです。お役に立てれば幸甚です。
Phragmipedium kovachii の生育条件このランの自然環境は、赤道から南緯 5度の海抜1900 m の草木が鬱蒼と繁る熱帯の丘の斜面だ。降雨は海抜800 m で始まるが、Phrag. kovachii に必要な熱帯雨林環境を生み出す雲が垂れ込めるのは1900 m 辺りだ。Phrag. boisserianum もこの自生地で発見されている。月間雨量は 60 cm から169 cmと 一定ではないが、相関的湿度は 80 〜90 % だ。湿度が低いと、柱頭を干上がらせてしまい、花にならない。このランは、5 mm 程度の石灰石に10 %ほど 赤土の混じった常に湿っている土壌の中に地生している。赤土の混入は30 cm ぐらいの深さまでしかない。地表はミズゴケで覆われている。この土壌の 80 % は炭酸カルシュームで、カリウムは 60 ppm 、リンは 1.6 ppm で、pH は 7.9 だ。 気温は日中 22 ℃〜24 ℃、夜間 12 ℃〜15 ℃だ。30 年に渡って計測されたこうした気温は年 2 ℃ぐらいまでは変化する。このランは東西に伸びる渓谷の南斜面 (北半球では北斜面に当る)にのみ自生し、陽射しは朝と午後少し当るだけで日中は殆ど日陰だ。2500 〜 5000 フット・キャンドゥルで充分らしい。蕾が出てから開花までに5ヶ月かかる ! このランは万作になれば年2回咲く。大抵は5月と11月に。花は、受粉しなければ、3週間は持ち、開花時の 18 cmから10 日後 には20 cm になる。開花時花弁は凹凸がなく平らだが、日が経つと波打ち、花の形は変化する。色は、大抵の写真で見られるように、殆ど白から感じの良い深紅色へと変わる。水 : 雨水だけで、 20ppm の溶質を含む。肥料養分 : 15-5-15 @ 200ppm湿度 : 80%以上光 : 2500fc (fc : フット・キャンドル)通風 : 1日20時間気温 : 日中23℃、夜間12℃
Phragmipedium kovachii の栽培殆どのフラグミ同様、 Phrag. kovachii の栽培に当って、水質は重要だ。伏流水とか雨水を利用して、通年コンポストを一定に湿らせておくべきだ。植込み材は 目詰まりせず通気性が良くなければならない。ミックスコンポストの半分ぐらいは5ミリくらいに粉砕した花崗岩を使用し、それに、刻んだ木生シダ、木炭、パーライト及び少量の樅の樹皮などを加えている。 砕いた貝殻や卵の殻も5 %ほど混入している。
Phragmipedium kovachii の自生地Phrag. kovachii は、アマゾンとサン・マルチンのペルー領域で、サブ・アンディーン盆地の北側の海抜1600〜1950 mの熱帯雲霧林に自生しているのが発見された。 kovachii が地生している地質学上の下層土は白亜質の石灰岩だ。年間雨量は1000〜1500 mm だ。夏の平均気温は26℃で、冬は18℃だ。自生地の土壌は殆どが有機物の混じった砕けた石灰石で形成されている。
自生地の土壌及び水質の測定値 ○ ペーハー 弱アルカリ性 : 7.9○ 電気伝導率 0.41dS/m (deci Siemens per meter ; デシ・シーメンス)○ 炭酸カルシューム : 85.7%○ 有機質 : 1.5%○ リン : 1.9 ppm○ カリウム : 60 ppm○ 自生地の水質 : pH 6 〜 6.5 E. C. 20 ppm (百万分率)
自生地で、Phrag. kovachii は東西に走る渓谷の南西に面している崖の上に自生しているのが発見された。そのため、この植物は正午から日没まで 雲に遮光された薄陽を受けるだけだ。午後には殆ど毎日雨が降り、長いが適度な夕立となる。第2原生地には長い時を経た大株が生々(せいせい)と繁茂していて、全体で、約2500〜3000株はあるとみられる。 また多くはないが実生も見つかった。自生地には時速60mの適度な風もある。
Phragmipedium kovachii のフラスコ管理理想的には栽培環境の温度は安全上 21℃以上にしてはならない。24℃以上になると葉先が数分で褐色になり、これが上部の葉に起こると側芽の生長が無い限り苗は危篤状態に陥り生長しなくなる。フラスコは室温21℃に保つべきだが、室温を上げたければ (実際は生育度を助長するが) 24℃まで徐々に上げていく。根は苗の最も大切な部分で、我々の経験では21℃で逞しく生長する。フラスコは温度の激変に晒してはならない。これは腐敗や葉焼けの最もよく起こる原因だからだ。 電球とフラスコは 30 cm も離れていればよい。日に10 時間光に当てて。
Phrag. kovachii のフラスコ出しと苗の管理フラスコ出しは苗が自力で生き抜くのに充分な根を持ったタイミングが望ま しい。 Phragmipedium kovachii の苗にとって大切なことは他のランのフラスコ出しと全く同じだ。根が沢山あればあるほどそれだけフラスコ出しのストレスに耐えられる。一旦フラスコから出したら、苗は最初の数週間は大切に扱わねばならない。温度は 26 ℃以上にはせず、18 ℃以下にもしない。苗は殺菌消毒を行い、初めの1ヶ月間は週1度この処置を繰り返す。理想的なコンポストは鉱滓綿だ。保湿性と通気性が優れているので。バーク、ミズゴケ半々の組み合わせも好結果をもたらしてくれる。我々は Phrag. kovachii の苗や Phrag. besseaeを最初の1年間は18 ℃の一定の温度で栽培する。苗は 50 % 以上の日光に晒してはならないし、通風はゆるやかに一定にしておく。葉は、給水後、長時間、濡らしておいてはならないが、根は常に湿っていなければならない。
Phragmipedium kovachii のインターネット情報
ペルーの蘭屋さん・ Contact Peru Flora の電子メールアドレス; contact@peruflora.net
もう一軒の蘭屋さん・ Centro de Jardineria Manrique の HP ; www.phragmipediumkovachii.com美しい画像を見ることができます。
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