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  全部、好きだけどね。



 「アモーレへの料理スパイスは、ぜぇんぶ俺の愛情で♪ Amore piu alto a Lei!(極上の
  愛を君に)」
 昨日というか、ほぼ今日の明け方まで睦み合った疲れのまま、今だ蒲団から出て来れない
菊の為、せっせと作るのはイタリアンランチのフルコース。
 アンティパストからドルチェまで、全部フェリシアーノの手料理だ。
 料理好きの兄、ボヌフォワに手ほどきされるまでもなく、元々食べる事が好きなフェリシアーノ
は、作るのも大好きだ。
 それが愛しい恋人の為となれば、尚の事。
 「仕込みは、昨日菊に手伝って貰ってちゃーんとにやって置いたからね。本当、楽だわー」
 フェリシアーノと同じく食い意地が張っていると豪語して憚らない菊も、料理が大好きだ。
 何時だってプロ顔負けの和食を作ってくれる。
 長く生きてますから、これぐらいはできないとねぇ、と日本特有の謙遜をしてみせる彼女だが、
長く生きたからといって、皆が皆料理上手と言う訳でもない。
 確かに、一番長生きの王は中華料理の達人だ。
 八大料理系統を全て完璧ともいえる鮮やかさで作ってのける。
 その中でも得意とするのが広東料理だというのは、きっと菊が大好きだからに違いない。
 彼は、菊を、我の妹々! と呼んで人目を憚らずに甘やかしまくっている。
 恋人であるフェリシアーノに対する牽制は、それはもう凄まじい物だ。
 これってきっと、嫁姑! とルートヴィッヒにこっそり愚痴れば、菊を恋人にしているんだから
我慢しろと、頭に拳骨を食らったものだ。
 敵は身近にもいる。
 モテまくりの恋人を持つんだから、仕方ないといえばないのだけれど、愚痴ぐらいは許して
欲しい。
 他にも、ボヌフォワ、アドナン、カリエドなどの長寿組は、やっぱり料理上手だ。
 兄ちゃんは、フランス料理のレシピに恐ろしく長け、アドナンは、自慢のトルコ料理を存分に
振るう。
 カリエドのオリーブオイルによる、トマトとニンニクの炒め物は、何でそれだけの食材で、
そんなに繊細な味が出せるのかと、首を傾げるくらいに凄い。
 スペイン料理も奥が深かった。
 しかし、そこまで考えると浮んでしまうのが、カークランドだ。
 彼も老大国と言われる国の象徴だが、料理上手とは程遠い。
 しかも、料理好きだから余計に不憫だった。
 センスがないのは、持って生まれたものだからね! 仕方ないんだぞ! と切って捨てた
のは、ジョーンズだったが、カークランドも彼にだけは言われたくもないだろう。
 「紅茶を淹れるのは最高なんだけどねー。一緒に出てくるスコーンがねー」
 いただきます! とお呼ばれ先の彼の家。
 薔薇に囲まれたガーデンで菊と二人で口にした途端。
 がりって言ったのは忘れられない想い出だ。
 お菓子を食べる時の擬音じゃないでしょう?
 「スコーンといえば、菊。スコーンも好きなんだよね」
 プレーンに始まって、レーズン入り、ナッツ入り、ドライフルーツ入り。
 最近は自国アイテムとのコラボも考えて、黒胡麻入りに、きなこ入り、抹茶入りなんてのを考案
中。
 カークランドに味身をさせたら、彼。
 複雑な顔してたな。
 さすがは、菊だ。美味いぞって、褒めてはいたけどね。
 教えた自分より、全然美味しいのをちょちょいって作っちゃうから。
 実は彼が兄ちゃんと仲が悪いのは、料理上手の兄ちゃんに嫉妬してるんじゃないかって話
もあるくらい。
 しみじみ不憫で可哀相だよね。料理好きの料理下手。
 「……って、何だって俺は。アーサーのことばっかり考えているんだろ?」
 たぶんそれは、彼が菊にベタ惚れで、略奪愛情等って態度をフェリシアーノにだけ見せるから
だろう。
 菊の前では紳士然としてる癖に、フェリシアーノの前では、ばりばりの海賊モードになる。
 目つきからして違うんだ。
 あの感情の切り替えの鮮やかさだかならば、菊並に老獪かもしれない。
 「ま。俺だって。いざ戦闘になったら海戦は苦手でないし? 何より菊に愛されてるから、負け
  やしないけどさ」
 お互い菊の前では猫を被ってしまう似た物気質だから、余計に気になるのだろう。
 けど。
 「今は、菊の為のランチ作りに集中しないとねー」
 アペリティーヴォ(食前酒)はスプマンテ。
 菊は発泡ワインが大好きなんだ。
 今回は定番のアスティ・スプマンテにする事にした。
 イタリアオススメの発泡ワインだ。
 麦わらのやわらかい金色に、透明で繊細な泡は長い時間持続する。
 良い発泡ワインの特徴と言われる泡の肌理細やかさと持続性が抜群だ。
 味と、芳香はムスクにも似たモスカート(マスカットの一種)特有のそれ。
 甘口で口あたりが良いので菊もきっと、気にいるはず。
 アンティパスト(前菜)は、カップレーゼ。
 モッツアレラチーズの上に新鮮なトマトを乗せて、刻んだバジルをたっぷり乗せる。
 上から塩、胡椒、レモン、オリーブオイルをかけて出来上がり。
 イタリア料理のお手軽前菜の一つだ。
 チーズはロヴィーノに、トマトはカリエドに送って貰った逸品を使っている。
 味見をしながらやはり本場モノは違うと切実に思った。
 プリモ・ピアット(主菜・一皿目)は、スープでミネストローネ。
 ミネストローネは料理を作る際、余った野菜をたっぷり入れて、ことこと煮込む手抜きレシピ。
 ホールトマトを通常よりがっつり入れるのがフェリシアーノ流。
 セコンド・ピアット(主菜・二皿目)魚料理は、ホタテのソテーレモンソース。
 ホタテの貝柱を綺麗に洗って、バターとオリーブオイルで両面をソテーして軽く振った白ワイ
ンが飛んだらOK。
 ホタテを取り出してから、残った物にレモン汁をたっぷり入れて、ソースにする。
 その際、塩胡椒をお好みで。
 肉料理は、牛フィレ肉のグリル、フィレンツェ風。
 ほうれん草をたっぷり使うので、野菜が一緒に取れる肉料理のポイントは高いのです! と、
これまた菊のお気に入り。
 肉を変えればバリエーションも豊富なので、その辺りも気にっているようだ。
 肉を両面で焼いた後に、卵とパルミジャーのと混ぜてといた物を肉にかけて、オーブンで焼き
上げる。
 ほうれん草は別に炒めておく。
 手間が掛かる料理だが、下準備はすんでいたし、菊の喜ぶ顔を見れば、苦労など遥か彼方
へ飛んでいくと言うもの。
 コントルノ(副菜)はタコとセロリのサラダ。
 菊と二人の時だけしか楽しめない逸品だ。
 何せタコを食べる国は、日本とイタリアを除けば中国と地中海の一部の国ぐらいだと思う。
 以前ルートヴィッヒに出したら、真っ青な顔をして後ずさりされてしまったくらいだ。
 美味しいのに、勿体無いよね? と菊とはよく話をする。
 茹で上げたタコ、オリーブ、イタリアンパセリ、タマネギを好みの大きさに切って混ぜ合わせ、
ドレッシングをよくよく絡ませれば仕上がりなのだが、これも菊の好みで、カエンペッパーを加
えてあった。
 ドルチェは、バナナのザバイオーネ。
 卵黄、砂糖、牛乳で作ったソースをバナナにかけて、ココアパウダーを振り掛ければできあ
がり。
 数分でできる簡単ドルチェの一つだ。
 きんきんに冷しておくと特に美味さが増す。
 カッフェは、エスプレッソマシンで、たっぷりと抽出済。




                                    続きは本でお願い致します♪
                              絶賛料理描写展開中でごめんなさい。
                               ついつい書いてしまうんですよねー。
 



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