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  嘘を、吐くな。



 「ねぇ、菊」
 「なんです?」
 一頻り抱き合った後。
 うつ伏せになって煙管に手を伸ばそうとした、本田の身体を驚くほど器用にひっくり返しながら、
フェリシアーノが覆い被さってくる。
 「こら! もぉしませんよ?」
 「ジョーンズ君が来るから?」
 「それも、ありますけど。実際、限界です」
 「嘘だぁ。ここは、まだ。大丈夫だって、言ってるよ」
 彼がこういった類の笑顔を浮かべるなんて、想像すらできない方々は多いだろう。
 ただ暗い微笑。
 指先で蕾の位置口を擽られれば、散々開かれて堪えが利かなくなっている箇所から、フェリ
シアーノの残滓が溢れ出てくる。
 「ちょ! フェリシア」
 「……凄いよね。こんなに孕んでるのに、ほら」
 「ん! くんっつ」
 指を入られて、背中が跳ねた。
 彼の爪先がイイ場所を刺したのだ。
 「まだ、欲しいって締め付けて……」
 鼻先を舐められて、彼が本気で続きをしようとしている訳ではない事を悟る。
 「拗ねないで下さい。ね? イイ子だから」
 ヴぇー! と奇声を上げて駄々を捏ねる彼は、自分よりもジョーンズが優先されるのを良しと
はしない、情人の一人。
 「冷たいよね。菊は」
 「私の、どこが?」
 「終わったらすぐ、煙草吸いたがるし。ジョーンズのコトばかり優先するし!」
 「こればかりは、仕方ないでしょう? 彼は夫で、君は愛人。そんな立ち位置でしょうに」
 「気分は、夫だよ。まぁ、ルートとだったら菊を共有してもいいけど。後は駄目!」
 ジョーンズの我侭に振り回されて、いい加減。
 疲れ切っていた本田の隙間に上手に入り込んできたのはフェリシアーノとカルプシの二人
だった。
 イタリア男の情熱と、SEX回数世界ランキングNO1の手練に流されるままに関係を結んだら、
フェリシアーノで足りない部分は俺が埋めるとルートヴィッヒが、あんのクソ子供を構うんなら、
あっしにしときなせぇ! とアドナンが加わった。
 我ながら、半端ではない淫蕩ぶりだ。
 「ヘラクレス君も、サディクさんも優しいですよ。君だって彼らの事は好きでしょうに」
 「うーわかってるけど! 好きだけど! それだけ菊とする機会が減るじゃない!」
 「お好きなだけ。しているでしょう?」
 特に君は、と。
 煙草を吸うのを諦めた代わりにキスを強請る。
 欲情に塗れない口付けも大得意のフェリシアーノは嬉々として本田が望む分だけの口付け
をくれた。
 「君には……本当に感謝していますけどね。私は必要以上にアルフレッドの機嫌を損ねる
  訳にはいかないのですよ」
 「……俺達と寝る事は、機嫌を損ねる要因にならないの?」
 「多少の刺激は必要でしょう。大体あの人だって、お兄さんと言うか親というかなカークランド
  さんと、弟のマシュー君と寝ているんですし。私だけ責められる義理はないです」
 幾らでも無償の愛を欲しがる男は、自分への好意にだけ貪欲だ。
 嫌悪すらも執着と受け入れて悦ぶブラギンスキとどちらが最悪なんだろう。
 「……何だかんだ言っても菊。ジョーンズが好きだもんね」
 「嫌いではありませんよ。私、結構お馬鹿好きなんです」
 「知ってる。じゃなきゃ。俺とはしないと思うし」
 「おや。貴方はお馬鹿じゃないですよ?きっと貴方が一番、私を理解してくれる」
 情人と言うよりも共犯者に近い感覚。
 心を満たす彼と、身体を満たすルートヴィヒが居れば、確かに本田菊としては他にナニモノも
必要ないかもしれないが。
 国としてはそうはいかない。世界最大国家の後ろ盾がなくては、色々と不穏なこの情勢。
 現状を保つのも難しくなってくる。
 「貴方は心の機微に聡いから」
 「……ジョーンズも聡かったら良かったのに」
 「そうしたら、きっと。貴方とこんな風にはなりませんでしたよ」
 「うん。でも、菊がそんな悲しい顔をすることもなかったと思うから」
 「っつ!」
 フェリシアーノとルートヴィヒ。カルプシとアドナン。
 もしくはジョーンズ以外の誰かを愛せれば良かったと、こんな時には思う。けれど。
 「……危く溺れそうになる所でしたよ。フェリシアは時々男前で困ります」
 本田は、ジョーンズを愛していた。
 彼の愛が決して自分だけに向かない事を承知で。
 兄と弟と手放せない彼ごとひっくるめて。
 正義のヒーローを本気で信じる馬鹿な子供を。
 「そーゆートコも見せておかないと、菊に飽きられちゃうかもしれないしねー」




                                    続きは本でお願い致します♪
                                まさかの伊日に、菊さん淫蕩フラグ。
                                下半身に節操ない菊も良いかなぁと。




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