メニューに戻るホームに戻る




  謝罪は、しません。



 「いらっしゃいませ、本田さん」
 「お邪魔します、香さん」
 玄関先、丁寧に腰を折って本田を迎え入れたのは、先の国際会議以来三ヶ月ぶりに会う香。
 わざわざ盛装で出迎えてくれるのが彼らしい。
 絹で丁寧に織られたのだろう黒い長枹の足元には、銀色の龍の刺繍が生き生きと施されている。
 着る者次第では野暮にも見える衣装だが、香は実に粋に着こなしていた。
 「……何を飲まれます?」
 リビングに通されて、薦められたソファに座れば香が首を傾げた。
 「中国茶でも紅茶でも、香さんのオススメなら、何でも」
 一番困る答えとわかっていても、優しい香は頷いてくれる。
 「それでは、Teaを。カークランド卿に贈って頂いたので、美味であると思われます」
 まるで本田の答えがわかっていたかのように、既にセットされた銀色のティーセットがテーブル
の上に置かれる。
 ティーカップは何故かカークランドが、これは菊用だからな!と贈ってくれたというウェッジ
ウッドのサムライ。
 日本をイメージして造られたのではないかと思うティーカップは、日本の襖柄の代表としても
有名な、藍の市松と刺し子などによく使われる麻葉のアレンジらしい。
 シンプルな風合いは本田の好みにもあった。
 「ああ。良い香りですね。少し花の香りがします」
 「Roseの香り付けを少しだけしてあると、おっしゃっていました。貴方がお好きだからだと」
 確かにそんな話をした気もするが、随分前の話でたったの一度きりだ。
 「私なんぞに、そんなに気を使って頂いて、ありがたいことです」
 「……カークランド卿は、貴方に感謝しておられますから」
 「感謝?」
 こちらが、お世話になっているという自覚はあれど、お世話した覚えなぞ何もない。
 はて、と首を傾げれば、感情の起伏が薄い香の口の端に微かな笑みが浮ぶ。
 「どうぞ。お召し上がり下さい」
 「ああ。ありがとう。あ!君の分は私が」
 「本田さんの手を煩わせるまでもありませんよ」
 手を出そうとする側から、手際の良い所作で香は己の分の紅茶も淹れる。
 中国茶にしろ、紅茶にしろ王さん直伝、カークランドさん直伝の業は何時見ても華やか且、
艶やかだ。
 過去にはその手のコンテストで優勝しているという話も頷ける。
 「……お待たせしました」
 「はい。では一緒に」
 「「頂きます」」
 そこまで本田に合わせる必要など全くないのだが、香は本田に倣って手を合わせてから
ティーカップに口をつけた。
 「飲み口も優しいですね。喉越しもすっきりしていますし」
 「本田さん好みの、絶妙の配合だそうです」
 頭の中、ぽんとカークランドの姿が浮ぶ。
 別にお前の為に作った訳じゃないんだからな!ただ、紅茶は奥が深いという事を示した
かっただけなんだぞ!
 音声までついてきてしまった。
最初は戸惑った彼の態度も、ツンデレという表現が生まれた時には、それだ!と、思わず
手を打ってしまったほどに慣れていた。
 今回の紅茶も本田の為にと研鑽を重ねてくれたのだろう。実に好みの味に仕上がっている。
 「香は、どう?」




                                     続きは本でお願い致します♪
               ご本家様で、香港さんの人名が出てなかったと思うので、捏造で。
                  そして、ギャル男ちっくなしゃべりがわからないので、好みで。
                                        色々とごめんなさいです。



                                       メニューに戻る
                                             
                                       ホームに戻る