メニューに戻るホームに戻る




  そんなの、いんね。



 「あ、れ?」
 ぱちりと目を開ければ、見慣れない天井。
 綺麗な木目の天井は何時も見慣れた自宅の天井よりも幾分白っぽい。
 何より自分はいま、広いベッドに眠っていた。
 自宅では勿論畳の上に蒲団を敷いて寝ている。
 「しまった! また、やってしまったんですね」
 飛び起きれば肩から滑り落ちたタオルケットの下は、全裸。
 「ひいいっつ!」
 余りのはしたなさに、視線を彷徨わせれば、ベッドから出なくても手が届くテーブルの上。
 きちんと畳まれた本田用の部屋着があった。
 「なんかもう、どこから突っ込めばいいのかわかりませんよ!」
 半泣きで愚痴りながら服に袖を通す。
 暖房で温められた服は素肌に心地良かった。
 下着から順番にきっちりと支度をして、ベッドの下に置かれたもこもこのスリッパを履く。
 「きっと、キッチンですよねー」
 一人呟いて、幾度となく向かったキッチンへと足を運ぶ。
 本田の手には少し重いドアを開ければ、そこにはマメな恋人が、手際も良く朝食を作って
いる。
 どうやら、既に終わりかけらしい。今回もまた、朝食作りの手伝いができなかった。
 「おはようございます……」
 「起きたんか? まだ、起きねんなら、起こそか、思ってだ」
 「すみません。また、熟睡してしまったみたいで。朝食の支度もお手伝いできませんで
  した」
 「気にしいな。すぐさ、できる」
 難しい顔が、益々難しくなる。
 これが、心配なんかするな。
 全然気にしていない、と言う意味の表情なのだとは、なかなかわからなかった。
 大きな掌が、一瞬、空中で止まり、そっと頭を撫ぜらる。
 「座っとぎ」
 「……はい」
 せめて、コーヒーを! とか、何か手伝う事はありませんか? と聞こうとも思ったのだが。
 オキセンスシェルナの背中が、それを激しく拒否している。
 普段は一緒にキッチンに立つのを嫌がらない方だが、本田がまだ起き抜けで寝惚け気味だと
思っているのだろう。
 彼が側で寝ている時は何時でもそうだから。
 大人しく、本田の為にとオキセンスシェルナがわざわざ作ってくれた小さいイスに腰をかけ、
料理をする姿を眺める。
 オキセンスシェルナは料理上手の料理好きだ。
 そうとは見えないが招待客をもてなすのも大好きらしい。
 以前に、仲の良いヴァイナマイネンが苦笑しながら教えてくれた。
 怖がらないで招待に応じるのは、北欧メンツと本田さんぐらいですよ、あ。
 あとシー君ですね。
 と。
 付き合いが深くなればなるほど、彼の懐の深さを知るのだが。
 何よりあの、独特の迫力ある外見と強い眼力が邪魔をして、オキセンスシェルナを付き
合いにくい相手だと判断する方は多かった。

 まぁ、そうでもなければ、私の恋人になんか、なって下さらなかったでしょうけどね。

 告白は、オキセンスシェルナの方からだった。
 うちさ、こ?
 と言われて、ああ、これがティノさんから聞いていた噂の、好意ある相手に向けられる、
お前も俺の嫁になればいい攻撃ですね? と思った本田は、自分に好意を持ってくれた
のがとても嬉しくて、はい、喜んで! と大きく頷いて答えたのだ。
 まさかそれが、本田だけに向けられた愛の告白だなんて思いもしなかった。
 大体言われた場所も世界会議があった、ドイツだったのだ。
 会議が終わって皆が雑談している時で、周りにはまだまだたくさんの国の化身が残っている、
そんな状況。
 オキセンスシェルナを除く北欧組が、彼の後ろで全員同じ格好で固まってしまった。



                                    続きは本でお願い致します♪
                                 うー。すーさんは本当難しい……。
                       でも男前なすーさんは大好きなのでガンバリマス。
             尚すーさんの言葉は、相馬弁を参考にさせて頂いております。
                       マイすーさん辞典は、まだあ行です。とほ。



                                       メニューに戻る
                                             
                                       ホームに戻る