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  終わらない、愉悦



 「やぁっつ。駄目っつ。もぉ……ほんとう、に……だ、めっつ」
 再開された突き上げに、本気の悲鳴が上がる。
 「嘘……まだ、いける。だって……菊の、中」
 「ひゃんっつ」
 「こんなに吸い付いて、くる。離したくないって……言ってるよ?」
 もう三度は中に出された。
 口腔にも一度。
 本田に至っては、手で一度。
 口腔で一度。突き上げられて、二度。
 更には、射精しないで絶頂など何度イったかわからない状態だというのに。
 「おねがいっつ。もぉ……怖い、よ」
 ひん、と情けない声が漏れたが、ここまで来たらそんな所に羞恥を覚えてなどいられない。
 「ナニが、怖いの……何も。怖いことなんてないよ?ほら、泣かないで?」
 伝った涙を下から舐め上げられて、眦にキス。
 反対側も丁寧に、同じ所作が繰り返される。
 世の男の誰もが惚れた相手の涙には弱いと言うが、カルプシもその例外ではない。
 突き上げは止まり、触れるだけのキスが飽きる事もなく降らされた。
 「だって、もぉ。イきすぎ、だよ」
 「そう?」
 「イくの、怖いよ。壊れそうで」
 「こういう時は、壊れてもいいんだ。すぐ、元に戻る……何時も、そうだよね?」
 顔中に降らされるキスが止まる事はない。
 しかも、己の太股の上へと本田の身体を抱え上げたカルプシは、ゆったりと腰を揺らめかす。
 「だめ。だめだよっつ。へらくれす、くんっつ」
 激しくはない、むしろ眠りを誘うような単調なくらいの動き。
 本田がこうしてとろとろと甘やかされる交接を好むのを承知で、カルプシは動き続けるのだ。
 「大丈夫……揺れるの、好きだから」
 前後左右に振れる腰。
 時折くるんくるんと回されて、視界も回る。
 「こっちでは、もぉ、イけないかもしれないけど……」
 「きゃっつ」
 ある程度の角度と硬さを保った己の性器に触れられて、上がった悲鳴は少女の様に甲高
かった。
 何度も射精を繰り返した性器は、どうしようもなく感じるけれど、射精にまでは至らない状態
になっている。
 触れれば感じるのに、イけないそれは、そのまま中での絶頂に変換されてしまうのだ。
 「中では、まだまだ……イけるから……大丈夫……」
 くい、と腰が引かれ、その巨大とも言える性器の先端が、入り口付近にある本田の感じる
場所をいやらしく突付く。
 何度吐き出しても萎える事のない性器に、限界はあるのだろうか。
 カルプシと抱き合うようになって随分経つが、彼から終わりにしようと言い出された事は一度も
ない。
 大半は本田が必死に逃げるか、失神するまで行為は続けられるのだ。
 「へら、くれす…く、んは……まだ?」
 「俺?俺は、平気。まだまだ何度でも……出せる、よ」
 嬉しそうに微笑まれて。
 やっぱりこの蕩けるような笑顔が大好きだと思う。
 本当に本田は、心の底からカルプシが大好きなのだ。
 今まで誰も愛した事がない訳ではなかったけれど。
 この腕を失うくらいならいっそ、滅んだ方が良いとまで思う激しい愛情を抱いたのは彼が初め
てだ。
 「ね?だからもっと……菊も、溺れて……」
 それなのに、彼はもっと溺れろ、壊れても大丈夫と、本田を唆す。
 言葉が足りないのだろうか、それともまだ、したりないというのか。
 二人きりの時間はほとんど抱き合っている状態だというのに。
 蜜月というには随分長い時間付き合っているはずだが、結局会えない時間の方が多いから、
そのせいなのかもしれない。
 絶対的な二人の時間が足りていない、という現状。
 カルプシはマメな性質だし、恋人をめろめろに甘やかしたがる傾向にあるが、お互い特殊
過ぎる立場だ。
 この先、不変ともいえる長い時間を過ごしていくだろうけれど、今、もっと会いたいと思って
いるのは本田も同じだ。
 だからこそ、負担になると思ってもできるだけ、カルプシを受け入れようと努めているのだが。
 「あ、あああっつ。もぉ。も、ぉ」
 「んーゆらゆらに戻そう、か?」
 「違うのっつ。ゆらゆらじゃなくって」
 「んん?」
 すりっと頬ずりされたので、そのまま首筋に縋りついた。
 耳朶を噛みながら極力小さな声で囁く。
 「入り口に、ある。菊の、いいトコ……いっぱい…いっぱいっつ!突き、上げてっつ」
 「……菊のオネダリは、本当。可愛いね」
 こんな年寄りを捕まえて、どこが可愛いのかと真剣に問い詰めたくなるが、問い詰めてしまっ
た日には生真面目に、尋ねたこちらが恥ずかしくて居た堪れなくなる甘い言葉を際限なく紡い
でくれるのが、簡単に想像ついてしまうので、実行した例はない。
 「ここ、だよね」
 ずずっと、一度だけ奥底まで突き上げられる。
 足先まで痺れる快感がどこからともなく湧き上がった。
 「ああんっつ、そこっつ」
 よくてよくて、うんうんと何度も大きく頷く。
 「腰押し付けて。首に、掴まって……しっかり」
 「ん。ひ!あああああ。んっつ、くうんっつ」
 対面座位の体位で腰骨をがっつり掴まれて、抜き差しがされた。
 「菊は、くるくる、担当、だよ」
 「へら、くれ、す、わ。とんとん、たんとーだよ」
 くるくるは回転、とんとんは上下運動。
 露骨な淫語よりも幼児が使うような擬音が何故か興奮する。
 「あ!とんとんっつ。いいっつ」
 「くるくるも、じょーず」
 眦にキスがされて閉じていた瞳を開ければ、SEXの最中、男ってーのは、こんなに艶っぽく
て蕩けそうな顔をするんだと、しみじみしてしまう喜悦の表情があった。
 勿論自分では見ることなどないが、本田は自分で見たら反省する気も起きない、恥ずかしい
表情を晒しているに違いない。
 「っと、はやくっつ」
 「こう?」
 「うん。もぉ、イっても……いい。イき、たい」
 「中で、イってくれるんだ?イった時の菊の中は。すっごく良い。もっと。ずっと。イってくれれ
  ばいいのに」
 「ひ、う。はあっつ!」
 行為にというより言葉でイってしまう。言葉攻めに陥落する性癖なぞ、全くなかったのだが。




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                        鬼畜より変態より、ただ甘くなって困った作品。
                           〜前提にないいと、鬼畜は難しいのかも。




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