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  お前が悪い。



 
「……お前等さ。どーして、そんなに仲良い訳?」
 ポーカーで負けたので、夕食の買出しに行かされた。
 ルートヴィッヒの財布を持ち出したので懐は痛んでいないが、一人で持つには多過ぎる量を
頼まれたので、ひーひー言わせながら玄関を開けて荷物を持ち込む。
 騒いでも二人して出てこないから、嫌な予感がしてはいた。
 「けどよぉ。そりゃねぇんじゃねぇの!」
 リビングのソファで二人は仲良く寝入っていた。
 それはまぁ、まだ良いとしよう。俺様は心の広い師匠でお兄様だから。
 だけど、寝方は幾ら何でも問題だろう。
 菊はルートヴィッヒの胸に抱かれるようにして寝入っていたのだ。
 どうせ、ルトさんのむきむきが、あったかいのは、知ってますよぅ、とか言ってフェリシアちゃん
の真似をしているうちに、本格的な睡魔に襲われたのだろうと推測は出来るが。
 「腹が立つんだよ! お前等! 特に、菊!」
 菊はバイルシュミット自慢の恋人だ。
 目の中に入れても痛くないと、ルートヴィッヒだけには惚気ているが、他の化身達も、バイル
シュミットが菊にめろめろなのは良く知っている。
 そして、ボヌフォワ曰く、信じられないけど、菊ちゃんもギルにめろめろなんだよねん。
 との事。
 愛の伝道師と自ら名乗るボヌフォワは色事に強い。
 だから、その言葉も無条件に信頼できた。
 菊もバイルシュミットを心から愛してくれている。
 お互い愛の言葉など照れ臭くて滅多に言うものではないが、菊の想いを疑った事はない。
 が。
 ルートヴィッヒとフェリシアーノの仲は幾度も疑っている。
 家族のようなというには甘すぎるのだ。
 二人ともがそれぞれに。
 そして、菊も蕩けるような甘さを真っ向から受け止めていた。
 恋愛下手なルートヴィッヒはさて置き、恋愛に滅法強いフェリシアーノならば、菊の罪悪感を
刺激することなく関係を結んでいそうだ。
 菊にもフェリシアーノにも、怖くて直接聞けていないが。
 「ったく、幸せそうな面しやがって!」
 自分が愛されているのは疑わない。
 そして、ルートヴィッヒやフェリシアーノが愛されているのも疑わない。
 しかし、バイルシュミットは我侭を承知で菊には、自分だけを見て欲しかった。
 だからせめてもの意趣返しにと、真っ白いタートルネックのセーターを指で引っ掛けて引き
摺り下ろし、その華奢な首筋を存分に吸い上げる。
 「ん? んんんっつ!」
 じゅうっと、音がした段階で菊がぱちくりと目を開く。
 菊の僅かな身じろぎに反応したルートヴィッヒも同じように目を開いた。
 そして。
 「兄さん! ナニをやってるんだ!」
 案の定、想像していた罵声が飛んできた。
 「ふるへぇ!」
 まだ菊の首筋を甘噛みしながら返す声の強さに一瞬怯んだルートヴィッヒも、菊の、んっつ!
 と言う鼻から抜ける微かな吐息に頬を染めながらバイルシュミットの額を、ぺしりと叩いた。
 「菊が嫌がってる! やめないか」
 「菊は、嫌がってなんかいねーよ? なぁ、菊」
 指摘して、本人無意識のうちにバイルシュミットの髪に指を絡めていたのに気がついたらしい。
 「状況を考えて下さらない方は、だいっきらいです!」
 羞恥に頬が染まっていく様は大変可愛らしいかった。
 見ればルートヴィッヒも同じように菊に見惚れている。
 しっかりと腰に回した腕を解かない辺りが、やっぱり。
 菊を家族としては見ていない証拠だと思うのは、間違っていないだろう。
 「んじゃあ。状況考えればいいんかよ。このまんまヴェストの前でしてみっか? いっそ、
  ヴェストも交えて3人ですっか? 俺は構わねーよ。何だったら、この間のお前の新刊
  内容、そのままなぞらえても良いんだぜ」



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                                               しまった!
                                  菊が腐女子になってしまった!



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