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  逃げられて、泣かされる。
   They are made to cry because it can run away.




 「お、ねがいですっつ。もぉ、ゆるしてください。わたし、を。かいほうして、くださいっつ!」
 ロヴィーノの腕の中、拙い風情で言葉を紡ぐ本田の瞳は真っ赤だった。
 良く似た瞳をしている男の顔を思い出し、更にはその男は本田に唯一絶対の敬意を向けら
れている相手だということまでも連鎖で気付かされ、ロヴィーノは深い溜め息をつきながら泣き
喚く本田の身体を深く穿つ。
 「ひぃっ! うっつ」
 歯を噛み締め悲鳴を堪え、痛みに耐えてほろほろと涙を流す様は愛らしい。
 そう惚れこむのはきっと、ロヴィーノだけでもないのだろう。
 「ロヴィくっつ。ロヴィーノ、くっつ」
 舌足らずにロヴィーノの名前を紡ぐ唇は真紅。
 バター色の肌に真っ黒い髪。
 今は赤くなっている瞳は事の他綺麗で、鮮やかなコントラストはロヴィーノを甚く満足させる。
 「駄目だ」
 幾度となく懇願されたその問いにロヴィーノは、飽きる事も無く簡潔で完璧な否定を与える。
 「お前は、俺の手の中でずうっと鳴いてればいいんだよ。このやろー」
 本当は真綿で包み込むようにして愛したかった。
 長くを生きてきてこれほど誰かにのめり込んだのは初めてだ。
 ロヴィーノが体現できる全ての優しいもので満たしたかった。
 今でもそうしたいという気持ちが何処かにはある。
 だがそうするには本田についた寄生虫どもがうるさすぎた。
 多少意味は違えど本田の近くに居た化身達は皆本田に執着していたから、それを出し抜く
には奴等をぶつからせておくべきだと推察。
 念入りに画策して、気がそれた隙に本田を監禁するしか彼を独占する方法が思い浮かばず、
結局。
 誰にも言わずにその通り実行した。
 「ロヴィくっつ」
 必死な涙目の中にそれでも憎悪が見えないのが、何よりロヴィーノの罪悪感を煽った。
 後悔は決してすまいと誓ったはずなのに。
 「……愛してるんだ。何でもしてやる。ここから解放する以外のことなら何でも……だから
  俺を……俺だけを愛してくれ」
 瞼の上に唇を落とせば怯えたように痙攣する。
 しかしそのまま唇を押し付けていれば程なく痙攣は治まり、連動してた震えも静かになって
ゆく。
 「お前が考えている以上に、この監禁生活はお前の今までの生活に支障がないようにでき
  てる……俺の味を覚えたらちゃんと説明もしてやる……だから」
 「あ! や! や! や! や、あああっつ」
 「そんな悲しい声を出さないで……早く俺を覚えやがれ」
 年の割りにSEXに慣れていない体はロヴィーノを拒否するばかり。
 三度注いで倍をイかせて、どうにか身体が解れてきた所。
 最初のSEXは徹底的に少なくとも本田が失神するまでは続けるつもりでいる。
 「ロヴィくっつ」
 「だから……泣くなって言ってんだよ、こんちくしょー」
 容赦なく腰を突き入れながら、顔中にキスの雨を降らせれば時々、何かに耐えかねたの
かのようにキスに答えてくる。
 意識を失っても暗示がけをすれば、釣り橋効果も手伝って順応性の高い本田は今の状況
を受け入れるだろう。
 諦めた風に瞼を閉じた本田の眦に唇を寄せながら、ロヴィーノは、酷く醜いと自覚がある
微笑を浮かべた。

 『調子は如何ですか?』
 電話向こうの相手はフォンヴォック。
 発信先を絶対に知られずに連絡を取る方法について教えを請うた。
 マフィア絡みでどうしても必要なんだ……と言えば、なるほどわかりました、と呆気ない
くらい簡単にその方法を丁寧に教えてくれ、こうして経過の心配までしてくれる。
 国としての交流は少ないが、個人的にはいい奴だと今回の件で知った。
 「おかげさまで順調だ。テストも済んだから近くに本格稼動させつつもりでいる」
 『それは何よりです。何か問題が出てきましたら遠慮なく一報下さいね』
 「助かる」
 起こりそうな問題点を先回りして丁寧に幾つか教えてくれたフォンヴォックは話が途切れた
時に少し歯切れも悪く尋ねてくる。
 『……あの……今、本田さんが何処にいらっしゃるか、ご存知ですか?』
 「本田? 菊がどうかしたのか!」
 今俺のベッドで熟睡してるぜ? と頭の中で呟きながら驚いてみせる。
 『いえ! どうかしたとか言う訳でなく……そのイヴァンさんが行方を知りたがっていまし
  て……』
 「……お前も大変だなぁ」
 ブラギンスキの本田への執着は有名だ。
 本田は奴を毛嫌いしているので、ブラギンスキの歪んでいるが純粋な情愛を真っ向から
理解もせず生理的嫌悪から拒絶している。
 少々不憫だな、と思わないでもないが本田に執着が強いブラギンスキは、用心しなけれ
ばならない化身の一人だ。
 ロヴィーノは大仰に溜め息をついて言葉を続ける。



                                    続きは本でお願い致します♪
               
          珍しい絡みを書いている自覚はあるのですが、
     パソ関係で最強スキル!……と思ったらフォンさんしか思いつきませんでした。

              しかし、自分ロヴィ菊の監禁モノ、好きすぎるよな……。



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