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  揉んで上げるぞ!



 久しぶり! と訪ねて来たウィリアムズを自宅に迎え入れて、コーヒーを淹れてやる。
 本田のことで話があると言われれば、どんなに忙しくとも時間を裂かない訳にはいかない。
 「で? 菊に関する話って何?」
 「……ちょっとね。言いにくいことなんだけど……」
 ソファに腰も深く座り込んだウィリアムズは、何故か何時も側にいる、クマ次郎さんだか、クマ
吉さんだか、呼ぶ度に名前が違うクマのぬいぐるみの中に顔を埋めている。
 「俺相手に焦らしプレイなんかするんじゃないぞ!」
 「……誰が兄さん相手に、そんなプレイしなきゃならないのっつ」
 「ええ? じゃあ、誰か相手にならするんだい? マシューが焦らしプレイなんて!」
 ちょっと驚きだが、以前ウィリアムズからメイプルローションプレイの楽しさを延々語られた事
がある。
 大人しい奴ってーのは、案外SEXに奔放だったりするものか! と思ったものだ。
 「……僕はさぁ。慣れているから良いよ? けどさ。本田さんにまで、そんな傍若無人ていうか、
  突拍子もないっていうか、脊髄反射な反応っていうか。まぁ、酷い物言いをするのはどうか
  と思うんだよね」
 ぬいぐるみを盾にして、そっと目線を上げての咎める口調に、その内容。
 「何で君にそんな事を言われなきゃならないんだい? 俺は菊のヒーローで恋人なんだぞ! 
  そりゃもう、彼女の事は。えーと……真綿で包み込むみたいにして、大切にしているんだ
  からな!」
 「……アル……その日本語的表現使い方が、違うよ……僕は、彼女に愚痴というか……や。
  相談か。そう、相談をされたんだ」
 「菊が! 君に? 何で恋人の俺に相談しないっつ!」
 それはやはり。
 年下の恋人では頼りなくて相談に値しないという事か。
 だとしたらジョーンズより更に歳若いウィリアムズに相談するのは話が違う。
 つまりは、ジョーンズ自身が年齢なぞ関係なく相談に値しないとでもいうのか。
 「そりゃ、アルに関する相談だもん。しないでしょ」
 「へ?」
 「大体ね。アルが無神経すぎなんだよ。何で本田さんに『俺の好みは巨乳なんだぞ!』とか、
  『胸の小さい女性には性的興奮なんて抱けないね。むしろそれ、犯罪じゃないか!』とか、
  言う訳? 本田さんが……その……胸の大きさを凄く気にしていらっしゃるのを、まさか知
  らないとは言わせないぞ!」
 「はぁ?」
 それは、ただ単にジョーンズの嗜好の話であって、本田は関係ない。
 本田が巨乳であっても貧乳であっても、ジョーンズは本田が変わらずに好きだ。
 むしろ、そういう本来の嗜好なんか歯牙にもかけないほど、本田に溺れているんだと。
 そんなつもりで日々、使っていたのだけれど。
 何故、菊はそんなに胸の大きさなんかに拘るんだろう?
 「意味がわからないよ!」
 「……僕は、兄さんの無神経さがわからない……自分の好きな相手に、好みじゃないって言
  わ  れて、ショックを受けない女性なんかいないよ! ましてやあんなに繊細な方なのに!」
 「や。菊もマシューも誤解をしているぞ? 俺は、そんな己の嗜好なんて、全く気にしないくら
  いに、菊が好きなんだって……」
 「アルがそんなんだから、本田さんは、身体に負担の多いサプリメントなんか使おうとするん
  じゃないか! 王さんにも相談して、漢方も考えていらっしゃるらしいし!」
 ジョーンズの言い訳なぞ、聞くもないとばかりに畳み掛けられる。
 話によれば、ウィリアムズだけでなく、王にまで相談しているという。
 彼女の兄的立場にある奴だし。
 確かに漢方について聞こうとするならば、彼より適任な存在は有りもしないだろうけれど。
 「だから、菊は何で俺に相談しないんだっつ!」
 「だから、ね?」
 「そんなに、胸が小さいのを気にしているんなら、俺が揉んで大きくしてやるんだぞ!」
 「へわ?」
 「よし。そうなったら、善は急げって奴だな。マシュー。後片付けと戸締りは任せたからな!」
 「ちょ! まっつ! 人の話を聞けぇ! あるふれっどぉおおおお!」
 ウィリアムズが、何だか絶叫していたが気にしない。
 結局ジョーンズの言うとおりに動いてくれる弟なのだから。
 「本当に、菊ったら、水臭いじゃないかっつ! 今すぐ行くから待ってるんだぞ!」
 元々と性格もあるが、女性の心の機微なぞ読む必要もない程に、モテまくっていたのが
ジョーンズの敗因だったのかもしれない。
 ジョーンズは、本田を大いに激怒させ、更に落ち込ませる羽目になるとは想像もできずに、
一番早い飛行機で日本へと飛んだ。

 「……アルフレッド。貴方、今。何時だと思っているんです?」
 施錠がされていたドアをどんどんと叩き続けていれば、仏頂面の本田が姿を現わした。
 セクシーな着物姿は何時見ても眼福の一言に尽きる。




                                    続きは本でお願い致します♪
                       何かこう、アル君が凄い人になってますがが……。
                       頑張って菊さんも、バランスの取れる素敵な人に、

                            してしまいたい所存です。




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