メニューに戻るホームに戻る




  Longing



 「……お前。情熱的ってーか。未練がましいよな。むしろ、ストーカーレベルじゃね?」
 「ロヴィィ! それ酷すぎやで。他に言い方ないんかぁ?」
 「ねぇ。ってーか、むしろこれが柔らかい言い方だぜ、ちくしょーが」
 ぷう、と可愛く口を膨らませるロヴィーノの頬をぷにぷにと突付きながらも、見詰めるのは
愛しい彼の姿。
 基本的に凛とした風情の彼だが、今はカークランドとジョーンズの二人に挟まれて、困った
ように笑んでいた。

 本田が、誰とも付き合っていないのを知っている。

 肉体関係を持っている相手は何人かいるらしいのだが、そこに愛がないのだと、情報通の
ボヌフォワからしつこく聞かされていた。
 ロヴィーノ同様。
 ボヌフォワはカリエドが、本田に惚れて久しいのを本人曰く嫌というほど理解しているのだ。
 奴的には、これまた親しい友人である本田が、身体だけの付き合いをしているのを見て
いるのがとても切ないらしい。
 だったら、まだトーニョとラブってる方が健康的だし、俺の目にも優しいんだってば! 
と言うのだから、詳しくは聞かされなくとも、本田自身が本当は望まぬ肉体関係に縛られて
いるのだとわかった。
 「いい加減、告れ。こんなどーもねーのに、好かれる菊が、可哀相で我慢してたけど。俺も
  そろそろ愚知聞き係から抜け出してぇんだよ!」
 「愚知聞き係りって……あんなぁ、ロヴィ。お前の物言いは、常にきつすぎやで」
 「お前がきつくさせてんだよ、このやろー。俺だって相手選んでやってるんだ、ばーか」
 「ほんま? そないには、思えへんけどなぁ」
 「ふん。だったら、そこで黙って見とけ!」
 「え? ちょ! ロヴィー!」
 カリエドは何かしら、見えない彼のスイッチを押してしまったらしい。
 常日頃は間違っても近寄ろうとはしないジョーンズとカークランドの側に、ロヴィーノが大股で
近づいてゆく。
 どうやら、本田を助ける騎士の役目を果たす気になったようだ。
 「ロヴィーも菊が大好きやもんなぁ」
 本田が恐らく一番心を許しているのは、間違いなく王だろう。
 兄というのはそういうものだ。
 しかし、王とは一時期確執があったのと、お互いの性格が災いしてか、そうは見えないし
本人達の自覚も薄い。 
 自他共に認める本田が心を許す相手といえば、フェリシアーノとルートヴィッヒの二人が
筆頭に上がるだろう。
 次いで、それぞれの兄である、ロヴィーノにバイルシュミット。
 そして同列でロヴィーノの保護者的なカリエドの名前もあるにはあるのだ。
 本田の中でカリエドの置かれている場所は、かなり良い場所だという自覚はある、けれど。
 「それじゃあ、足りないんよ……」
 カリエドが本田に望むのは、それ以上の。
 最上の場所。
 ただでさえ、色々な面で魅力的なライバルは多い。
 特に、近年本田の感情は微妙だろうが近しい場所を確保しているジョーンズとカークランドの
存在が脅威だ。
 他のメンツにならばいざ知らず。
 この二人にだけは本田を取られたくないと切実に思う。
 「ま、思ってるだけじゃ、何も進まんってーのは、わかってるんや」
 だけど。
 動けなかった過去がある。
 それでも、今の地位は確保した。
 以上を望む癖、今を失うのも怖いジレンマがカリエドを執拗に縛り付ける。
 「誰かを失うのが怖い、なんて……年ばっかり食っても、なかなか。上手く出来へんなぁ」
 深い溜息を紡ぐ側から、ロヴィーノが本田の手首を引っ掴んでずんずんこちらへ近づいて
きた。
何とか奪還に成功したらしい。

 


                                    続きは本でお願い致します♪
                               頑張れ親分! ええとこみせたりや!

                 そんな気分で書いてますが、テーマは切望です。




                                       メニューに戻る
                                             
                                       ホームに戻る