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  君臨され、満たされる。It reigns, and it is filled.




 「さて、と。そろそろ仕上がった頃か?」
 ルートヴィッヒは、読んでいた本から顔を上げると時計を確認した。
 一時間ほど集中して読んでいた本というか、マニュアルは『日本男子を上手く調教する方法
百選』。
 箱に入った上製本の表紙に書かれたタイトルの下に続く著者名には、ギルベルト・バイル
シュミット、と記されている。
 「全く兄さんは、凄いな」
 今でこそ不憫の名を冠する一人が楽しすぎる兄だが、嘗ては鉄血政策を唱えた国の化身。
 鉄である兵器の操作方法は勿論、血である兵士の心を掴むのに事の他長けた男だった。
 ルートヴィッヒがマニュアルに頼るようになったのも、バイルシュミットが優れたマニュアル
を多岐に渡って与えてくれた影響が強い。
 そして、今。
 ルートヴィッヒが閉じた本は、裏マニュアルと言われるモノで、ルートヴィッヒの為にバイル
シュミットが作った世界各国の化身対策用のマニュアルだった。
 仲の良い化身ほど容赦なく赤裸々で、えげつない対策内容が事細かに書かれている。
 バイルシュミットの悪友を自負するカリエドやボヌフォワが知ったらどんな顔をするだろう。
 二人ともバイルシュミットに勝るとも劣らぬ老獪な化身なので、鼻で笑って終わらせそうだが、
ルートヴィッヒの恋人である本田は違う。
 あの、表情がないと言われる真っ黒い瞳を大きく見開いて後。
 物悲しげに睫を震わせて目を伏せるに決まっている。
 本田はバイルシュミットに、昔から今に至るまで変わらぬ敬愛を捧げているのだ。
 まだルートヴィッヒの背が本田の腰程度だった頃と比べて、根本的な変化は皆無と言っても
大袈裟ではないはずだ。
 だから。
 ルートヴィッヒに、こんな畜生の調教よりも遥かにハード内容が書かれた本を、ルートヴィッヒ
がバイルシュミットに、本田と恋人になったんだ! と告白したその日に渡していたと知ったの
なら、酷く悲しむだろう。
 付き合い始めの当初は、本田を悲しませたくなかったので言うつもりはなかったが、最近は
丁寧に説明するのも悪くないと思い始めている。
 嘆き悲しむ本田の姿はどうしようもなくルートヴィッヒの嗜虐心と庇護欲をそそるのだ。
 「本は、きちんと仕舞って置こう。本田に見せるにしても、タイミングを見計らわないと駄目
  だからな」
 幾度も目にしている割に劣化の少ない本を箱に入れる。
 所定の隠し戸棚に仕舞い終えたルートヴィッヒは、ピッチャーにたっぷりと水を入れて、寝室へ
向かった。
 自分の寝室へ入るのに無論ノックはしない。
 ばたん! とエーデルシュタインが居たなら、
 ドアはもっと静かに開けるものです。お下品ですよ!
 と言った感じのお小言が飛んできそうな勢いで扉を開け放つ。
 寝室の中央。ベッドから少し離れた所に本田が居た。
 目の中に入れても痛くないと真剣に思っている愛らしくとも大切な恋人は、ドアに尻を向け四つ
ん這いの格好で絨毯に這い蹲っている。
 「う! うううっつ!」
 そうして、ルートヴィッヒが入ってきたのに気が付いたのだろう。
 唸りながら身体の向きを変える。
 本田の口には真紅のボールギャグが付いているため、顎から舌が垂れ流された涎で酷く汚れ
ていた。
 今度はアングルワーダーも悪くないな、と思いながらルートヴィッヒは表情を変えぬまま、
本田の顎を掴んで、ぐいっと上げさせる。
 本田はらしくない媚を売って、ルートヴィッヒの掌にその頬を擦り付けてきた。
 お陰で本田の頬までもが己の唾液に塗れてしまった。
 「良い子にしてたか? 何回射精した? 絨毯は汚していないだろうな?」
 「ううー! うううっつ。うううう、う!」
 呻き声だけだが、ルートヴィッヒは返答が理解できる。
 「そうか。良い子にしてたか。三回もイけたのは本田にしては悪くない数値だ。絨毯を汚さな
  かったというのなら、どうやって射精した? さぁ、俺に見せてみろ」
 本田は瞬きの回数で、わかりました! の返事をしてから、のそのそと四つん這いのままで
部屋の隅に移動する。
 そこには銀色の盥が一つ置かれていた。
 中には、白い液体と黄色っぽい液体が入っている。
 本田は盥を自分の性器の下に配置してうつ伏せになり、尻を高く上げながら性器を握って、
苦しそうにルートヴィッヒを見上げた。
 「なるほどな。小便まで一緒にするとは、良い思いをしたようだ。しかし、それだけでは量が
  少ないだろう。後は、どうやった?」
 興奮で口に溜まった唾液を盥の上に落とした本田は、今度は仰向けになった。
 既に天を向いてそそり立ち、先走りすら滲ませている性器を握り締めて、腰を浮かした。
 「ほぅ。また随分淫乱な自慰だな。腹どころか、顔まで汚したんじゃないのか。己の精液で」
 「うううっつ!」
 「よしよし。わかった。そんなに興奮しなくていい。まずは、その唾液を綺麗にしよう。キスを
  する気がイマヒトツ失せるからな」
 本当はそんな事思っていやしない。
 ただ、本田のしょーんと叱られた犬のように落ち込む様が見たいだけだ。



                                    続きは本でお願い致します♪
                       ちょっとはドSっぽいルトさんになったでしょうか?
                  ギルはもっと酷い設定にする予定は未定です。



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