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  これからやでぇ。



 「ちょ! こら。フェリシア! もぅ! 貴方って人はどうしてそんなに、私に懐きたがるんです
  か」
 「ヴェ? だって、菊ってばすっごく良い匂いがするんだもん!」
 酔っ払ったフェリシアーノのスキンシップが激しくなるのは何時もの事で。
 本田の着物の襟元を暴き首筋の匂いをふんふんと嗅ぎながら、味見! と舌を這わせるのも、
同席した彼等には見慣れた光景だった。
 何時ものパターンでいくと、これまたいい感じに酔っ払ったルートヴィッヒがフェリシアーノの
回収に現われて、序でに本田の頭を酔いに任せた強さで思い切りなでこなでこし、満足気な
吐息をついて、ヴェーヴェーと奇声を発するフェリシアーノを引き摺って去ってゆくのだが。
 今日は珍しく、フェリシアーノの首根っこを捕まえた相手がカリエドだったのだ。
 「フェリちゃん? 何しとん」
 常よりまったりとした低い声は酔い故だと、深く考えなかった本田は、トーニョさーん、助けて
くださいよぅと大げさな管を巻きつつ、彼に手を伸ばした。
 カリエドは、黒砂糖の塊を奥歯で噛み締めるような甘い目で本田を見詰めると、指の先ですっ
と顎を撫ぜた。
 愛でられている、という感じがして満足気に喉を鳴らした本田は、だから惚けていたのかも
しれない。目の前で起こった突然の惨事に全く対応できなかった。
 正気の状態でも、カリエドを止められた自信はない。それだけ、唐突過ぎた。
 本田からフェリシアーノを引き離したカリエドは、そのままフェリシアーノの身体を背中から
がっちりとホールドした上で、利き腕を高く持ち上げると、ばきっつと、有らぬ方向に捻じ曲げ
た。
 「ヴェ?」
 きょとんとしたフェリシアーノも、一体何が起こったのかわかっていないようだったが、
次の瞬間、大きく目を見開いて、骨を折られた痛みに絶叫を上げた。
 「フェリシア!」「フェリ?」
 フェリシアーノの声に反応したのは二人。すっかり彼の保護者化して久しいルートヴィッヒと
兄のロヴィーノ。
 「ちょ!」「ああ?」
 しかし、自体を把握するのは悪友トリオの内二人。ボヌフォワとバイルシュミットが早かった。
 「……トーニョ、さ?」
 本田はただ、呆然と彼を見上げるしかできず、その名前を紡いだけれど。
 「ん。どしたん。かーいい顔して。菊はどんな顔してもええけど。今みたい無防備な顔は、
  めっちゃ好っきやなぁ」
 カリエドは嬉しそうに本田を見詰めるだけだ。フェリシアーノの腕を捻じ曲げたままで。
 「ほら、トーニョ。離したげて! 離してやって! フェリに悪気はないんだってば!」
 「フェリちゃん相手に、昔に戻ってどうすんだよ! こんのど阿呆!」
 背後から回ったバイルシュミットがカリエドの動きを封じ、フェリシアーノの正面に立った
ボヌフォワが極力丁寧に、拘束を解き始める。
 本田は知らないカリエドの大暴れをしていた時を知る二人のコンビネーションは絶妙で、
フェリシアーノの身体は早々にカリエドの鬼畜な所業から逃れる事が出来た。
 「ヴぇ! ヴぇええっつ」
 カリエドから解放されたフェリシアーノは、しかし激しく泣きじゃくった。
 自分には優しいカリエドの暴力にショックが大きいだろうし、痛みも酷いに違いない。
 悪意を以って直に傷付けられれば、国の化身とて治りが遅くなる。
 何より人間にしてみたら無限にも見えるその治癒能力は、本人の意志が強くされるのだ。
 泣き喚くフェリシアーノを治癒の為ソファに運んだルートヴィッヒは、すっかり酒の抜けた
青白い顔でフェリシアーノの骨折に適切な処置を施して行く。
 ボヌフォワもそこに加わって、代わりにロヴィーノが胸の前、腕を組んで怒り心頭の声音
をカリエドにぶつける。
 「お前なぁ! 酔っ払うのもいい加減にしろよっつ!」
 「あややー。ロヴィーノ。何をそんなに怒ってるん? お前こそ、酒飲み過ぎやなぁ」



                                    続きは本でお願い致します♪
                                   冒頭からすっとばしてますよ。

               ヤンデレじゃなくて、天然悪なカリエドさん……かな?



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