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  Exorcist


 「……どうだよ、このやろー!」
 デジカメを手にして待ち構えていた本田の前に恋人であるロヴィーノが初めて見る姿で現わ
れた。
 「おい、菊……大丈夫かよ」
 目の前でロヴィーノが掌をひらひらしているという認識はあっても身体が動かない。
 本田はロヴィーノの姿に囚われたかのように見惚れていた。
 「……もしかして、あんまりにも似合わなねぇとかか? まぁ、実際柄じゃねぇって自覚は
  あんぜ。でもまぁ、これでも俺は一応資格持ちなんだよ!」
 「資格、取るの大変なんですよね?」
 「現在はまぁな。色々な規定があるし、資質も必要だ。エクソシズムを学ぶだけなら一般人
  でも大丈夫だけどよ。俺はほら、それこそエクソシストが一番活躍してた頃に任命されて
  っから大変じゃあなかったぜ」
 ふん! と、見る者によっては実に不遜な、だが本田にとっては好ましいだけの堂々とした
仁王立ちのロヴィーノは、エクソシストの衣装を纏っていた。
 足丈のマオカラースーツにも似たスータンは司祭色の黒。
 昔は司祭職の前にエクソシスト職があったので、その名残らしい。
 悪魔の好む漆黒の長衣に、深紅の帯を巻く。
 頭に乗せる帽子も緋色。
 基本的に緋色は司祭職の上、枢機卿に許されている色だ。
 そしてスルプリと言われる純白の上着を羽織る。
 白はこれもまた基本的に法王しか許されていない色。
 他のエクソシストがどういった格好をするか知らないし、エクソシストはカソリックの中でも
秘中の秘とされる存在なのでロヴィーノも硬く口を閉ざしているが、彼自身は、黒、赤、白の
三色を一身に纏うのだ。
 誰が見ても膝をつかずにはいられない独特の敬虔さを纏うロヴィーノの、圧倒される荘厳さ
に至っては、どう表現したらいいかわからない。
 本田も古来より神々と幾度となく交流を持った経験があるが、彼彼女等と対峙する時と
変わらぬ緊張感を覚えた。
 無論、デジカメの存在も頭からすっぽ抜けていた。
 思いだしていても撮影ボタンを押せたかどうか微妙だ。
 それぐらい見惚れてしまった。
 「……他の追従を決して許さぬ貴方の悪魔祓いの経験は、ロヴィーノ君を最高のエクソシス
  トにしたのでしょうね」
 「見もしねぇのに、生意気言うんじゃねぇよ。ばーか」
 「おや。でも実際そうでしょう? 私は貴方が努力家なのを良く存じておりますよ」
 へたれと言われつつも特殊能力に富んだ天才肌の弟は、しかしエクソシストにはなれなかっ
た。
 勿論資格は持っている。
 ただ、最前線で悪魔祓いをすることは金輪際ないだろう。
 フェリシアーノは霊媒体質と呼ばれる、霊体に憑かれやすい体質だ。
 儀式の最中に依頼主からフェリシアーノの身体に、その悪魔が乗り移ったというのだから
筋金入りと言っていい。
 霊媒としてならばこの上もなく優秀な人材になる訳だが、エクソシストには全く向かない間逆
の資質。
 対してロヴィーノは、イタリア全土のマフィアに干渉でき、それを許される冷静さと器量を持ち
合わせている。
 兄貴分にあたるカリエドと共に居るところばかり見ているとわからないが、実にその何事にも
臨機応変に対応できる度量がエクソシストに向いているのだ。
 例えば魔術に通じており、精霊眼を持つカークランドは、エクソシストにはなれない。
 彼は精霊や悪魔を愛しすぎる。
 人外の者に甘い彼は、それを祓う事が出来ないのだ。
 どころか憑いた存在に共感して悪魔との共同生活を薦めかねない。
 同じく魔術全般への対抗手段を持ち得るブラギンスキもまた、エクソシストにはなれない。
 彼が悪魔祓いの許可を得る事が出来たならば、恐らく迅速確実に悪魔を撃退するだろう。
 だが彼は、人の痛みに鈍すぎる。
 憑かれた人間が壊れるのを何とも思わずに儀式を遂行してしまう様子が眼に浮かぶようだ。
 依頼主はほとんどの場合、憑かれた人間が心身共に健常な状態で戻る事を何より切実に
望む。
 エクソシストに求められるのは、純粋に悪魔を祓う能力ではない。
 憑かれた存在を壊さずに悪魔を追い出す力なのだ。



                                    続きは本でお願い致します♪
                                  一度書いてみたかったんです。
                                       エクソシストなロマを!
   悪魔に憑かれたフェリとエクソシストなロマのがちんこバトルとかも見たいですねぇ。



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