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  Devotion



 「ちょ! 王さん。駄目ですよっつ」
 「何が駄目あるか! 我の好きにさせるよろし!」
 「貴方の、その。アレな性癖は十分承知してますけど! 今は駄目ですってば!」
 完全な徹夜を三回数えて、ようやっと仕事から解放された王としては、何より先に、恋人と
なって久しいにも関わらず、なかなか会えない本田と睦み合いたいと思うのだが。
 「湯を使わせて下さいっつ。どーしてもご飯より先に致したいって、おっしゃるんなら!
  お風呂が先ですっつ!」
 本田は、仕事を終えた後。食事を取りたい、もしくは風呂に入りたいと暴れるのだ。
 「我が構わんと言っているあるよ?」
 「私が構うんです! だって、耀さん……足……舐めるじゃないですか……」
 王が接吻よりも先にする事がそれ。
 まずは、本田を椅子に座らせ、靴を脱がせ、靴下を脱がせて足先へ口付ける。
 本田が止めなければ、足先から踵までをしゃぶりあげるのが、王的には譲れないスキンシッ
プの一つだった。
 「当たり前ね! それが我のスキンシップあるよ!」
 「うううう。そんなスキンシップいりませんよぅ」
 がっくりと肩を落とす本田の身体を、ひょいと軽々抱え上げた王は本田の身体を揺り椅子に
運んだ。
 藤でしっかりと編み込まれた揺り椅子は、長く本田のお気に入りだ。
 まだ、王の手を借りねば座れなかった頃からずっと慣れ親しんでおり、そこに座ればすうっと
寝入ってしまうほどにリラックスできる、数多ある王の家の中でも、本田が好む居場所の一つ。
 「ああ、駄目。やっぱり眠い……」
 「寝てても良いあるよ? 我は我の好きにするある」
 すぐ近くに当たり前のように設置してある足台を引き寄せて、本田の足を乗せる。
 今回は仕事で来ていたので、革靴だ。
 洒落た艶のある茶色の靴は、恐らくイタリア製だろう。
 彼の国の化身と本田は格別に仲が良い。
 大半の純粋な、もしくは下心のある贈り物を、丁寧に断ることが多い本田だが、例外はいる。
 それが、フェリシアーノ・ヴァルガスとルートヴィッヒの二人。
 特に、ヴァルガスの方は、物を贈るのが好きな性質のようで、本田は何時でもそれを、嬉し
そうに、どこか申し訳なさそうに受け取っていた。
 その都度、ヴェー! 菊迷惑なの? 嬉しくなあぃ? 
 と捨てられた子犬のような目で、見詰められれば、王以上に可愛い者に弱い本田は、大きく
息を吸って、
 いいえ? そんな事ありませんよ。何時も素敵なものをありがとうございます、フェリシア。
 と誰もが見惚れる笑顔で奴を安心させるのだ。
 我にも、少しは。
 あんなに、甘い顔を見せればいいのに、と見るともなしに視界に入れては毎回、奥歯をぎり
ぎりいわせている。
 「ん? 新しい靴だったあるか」
 革靴を脱がし、むわっと香った独特の匂いを思い切り吸い込んでから、靴下を脱がせば踵
が少し赤くなっている。
 「二度目ですね。ついつい素敵な靴なので、勿体無くて履けないんですよ」
 「我が贈った靴はよく履いているね?」
 「履きやすいですし、慣れてますし、遠慮もないし」
 「……最後が余計ある」
 でも、まぁ。
 悪い気はしない。
 お互いの上司が絡まない仕事ならば、本田は必ず王が贈った靴を履いてくるのだ。
 そして、家に入ってからは更に王の好みに合わせた靴に履き替える。
 本田の足を小さくして置く為に王自らが縫って作った靴を。
 「ん! 耀さん。ちょっと、染みます」
 踵にねろねろと舌を這わせれば、痛みにだろう。足先が丸まった。
 「塗り薬は塗るあるよ。痛み止めはどうするある?」




                                    続きは本でお願い致します♪
                     何だか、ブラックシリーズを引きずっているみたいで、
                                        変態ちっくな出だしに。
               王さんのキスは、軽いくせに、菊をめろめろにするといいなぁと
                                妄想しています。




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