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  ああ、綺麗だ。



 「いよぉ。菊ちゃん。元気?」
 「……貴方には一度、目上の者に対する言葉遣いを。ご教授差し上げた方がよろしいのかも
  しれませんねぇ」
 「そんな、つれないコト言いなさんな。仕方ないだろう。俺は君の愛の奴隷なんだし」
 にっこりと本田が作り上げた完璧な愛想笑いにとてもよく似た笑顔で、本田の手首を取り、
恭しくその甲に唇を寄せる。
 「愛する人には、ついつい、親しげにしたくなるもんだろ?」
 「……その、誰某構わず愛を振り撒く癖もいかがなものか?」
 「誰某、ではないんだけどね。俺も苦手な奴はいるし、好みじゃない奴は、頼まれでもしな
  きゃあ、口説かないぜ」
 今度は肩に腕を回して、耳朶に触れんばかりの位置に唇を寄せて、囁いてくる。
 さ すがに愛の本場。実に手馴れた誘いの仕草。
 ……誰かさんとは、大違いですね。
 「ん?なによ。俺のどこが不満なのよ」
 「全部」
 「ああ。愛しのアーサーじゃないからって、奴?」
 本田は、咄嗟にボヌフォワの唇を己の手で塞いだ。
 そして、きょろきょろと周囲を見回す。
 運の良い事に、こちらを気にかけている者はいなかったようだ。
 嫉妬深い恋人の、カークランドも含めて。
 「っつ!」
 しかし、ねろりと愛撫に近いいやらしさで、掌を舐め上げられて、彼の唇を叩くような音を
させてしまった。
 思いの外、いい音がして。
 聞きつけたうちの何人かが歩み寄ってくる。
 「法国!我の弟に何をするあるか!」
 すい、と本田とあまり背丈の変わらぬ王が、素早く二人の間に割って入りボヌフォワの前に
立ち塞がる。
 幼い風情の顔立ちは本田と変わらぬ王ではあるが、迫力は本田よりも数倍上だ。
 「本田さん。こちらへ」
 続いて王について来たのだろう香の腕の中に隠されるように、抱き締められた。
 髪の毛を撫ぜる仕草が慰めのそれで、思わず苦笑。
 「なーんにもしてませんよ?ほーんのスキンシップですよ?」
 「欧州の爛れた接触を菊に強要するな!」
 「えーうーあー。菊ちゃん。フォローお願い。俺。お前さんと話したいんデス」
 そのにやけた眼差しはカークランドに関わる内容だと知れて、本田は最近すっかり優しい兄
の立ち位置に戻った王を宥めにかかる。
 「ありがとうございます、哥哥。もう、大丈夫ですから」
 「本当あるか?まだ、頬が紅潮してるあるよ!」
 「少し、熱いですね」
 すりっと頬を寄せて香がその熱を確かめる。
 ボヌフォワのにやにや笑いは一層深くなった。
 「ソレは大変だ!さ。休憩室で横になるあるよ!」
 「……もう、大丈夫ですよ、哥哥。香も心配しすぎです。体温は何時も、貴方が低いのです
  から」
 王の手の甲を摩りながら、香に頬擦りを返す。
 本田菊、大忙しのスキシップ!そんな気分だ。
 「ボヌフォワさんには、これから。趣味の話題でちゃんと詫びて貰いますから」
 途端。
 二人が落ち込んだ。
 本田の趣味の話となれば自分達は参加できないからだ。
 ディープなものでなければ、香は何とかついてこれるが、王は全く駄目。
 「……菊のその趣味だけは、育て方を間違えたかとしみじみするあるよ」
 「すみません、哥哥」
 「私は……精進します」




                                    続きは本でお願い致します♪
                            しかし、英さんが欠片も出来てきませんな。
                          これから、それはもぉ、さくさく出てきますので。
                 変態の称号を穢さない為にも、英さんには頑張って頂きます。



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