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 オリジナル 高城学園
 
 高城学園=霊能者専門養成学園。
 サイキックファンタジー要素てんこもり学園モノ。
 綾瀬の欲望のままに書き綴られるシリーズ。

登場人物

 桐ノ院和臣(きりのいん かずおみ)
 ……高城学園中で最高権力を保持するお人。冷静沈着。
   眼鏡の似合うクールビューティー。ただし、晶にはめろ甘。
   18歳。

 南条晶(なんじょう あきら)
 ……可憐なと称される黒髪黒目の美人さん。
   直江を失ったことにより自我を喪失。後。
   それを克服し、敬愛する兄をも切り捨てて、別人格に成り果てた。
   現在は誰をも寄せ付けない孤高の存在になりつつある。
   15歳。

 二部構成になっておりまして一部、二部と設定がだいぶ変わります。
 『類似品』は、二部の設定で。

 
 直江を失い、兄をも捨て。
 人格を根底から変えてしまった晶はゆっくりと大切な人間全てを己から引き離し。
 末は月読を慰める為に、彼女と二人死ぬまで、月読が住まう地下階層に隠遁しようと心に
誓っている。
 しかし、大切にしてきた人の己への執着は半端な物ではなく、あまりそういった感情がない
と思っていた己の大切な人々への執着もまた尋常ではなかった。
 中でも、出会った瞬間から自分だけを見つめてくれた桐ノ院への思いは自分でも戸惑うほ
どで……。
 とまぁ、そんな状態の晶話(苦笑)


 
 
類似品
 
 

 「晶……晶…大丈夫、ですか?」
 程よく濡れたタオルで顔全体を拭き清められて、目を開く。
 どうやら気を失っていたらしかった。
 「大丈夫だ。心配ない」
 「……良かった。何時もより長い時間失神していらしたので、どう、されたのかと」
 「安心すればいい。貴方の腕の中で、私が死ぬ事はないだろうから」
 一瞬、虚をつかれた色を乗せ、次には悲哀を。
 そして最後には、何時も通り憐れみに満ち満ちた、それでも甘く優しい慈しむ眼差しを浮かべ
て、私の額に口付ける。
 私の毒には反応をしないままで。
 「……何か、飲まれますか?」
 「きつい炭酸水」
 「また、ですか?」
 「氷はいらない。でもよく冷えた物を」
 「……わかりました。その後で何か、召し上がって下さいね?」
 「……ああ」
 目線を外して肯定すれば、ほっとした気配。
 後、すぐさま私の要望を答えるべく台所に消えた。
 数時間にわたるSEXの前も、そういえば食事をしていない。
 以前は、散々した後に。
 はくはくと和臣お手製の食事を美味しく食べたものだったけれど。
 今はそれも、余り多くは喉を通らなかった。
 口にすれば、美味しいのだろうとは思う。
 過去に堪能した記憶があるからだ。
 しかし今の私は、食を楽しむ舌も、何かを食べたいと言う欲求もなくなってしまっている。
 誰もが欲しがる和臣手製の食事を、そんな人間が食べていいものでもなかろう。
 たとえ和臣自身が、私以外の誰にもその腕を振るいたくはなかったのだとしても。
 「晶、持って来ましたよ。まずは、身体を起こしましょうね」
 抱え込まれるようにして、抱き起こされる。
 半身をベッドヘッドに凭れさせてから、手首をそっと掴まれて、丁寧にグラスが渡された。
 「はい、どうぞ。零さないで下さいね」
 エンジンガー・スポルト。
 現在日本国内で輸入可能な中、一番硬度の高いミネラルウォーターという事だ。
 私はこれの微発泡性のタイプに、レモンを少し淹れた物を食事代わりに飲んでいる。
 初めて口にした時には、飲み込むのに苦労したが、慣れてくればそれすらも心地良い。
 こくこくと三口ばかり飲んで、ほ、と息を吐き出す。
 よく冷えていて、起き抜けの発汗も程なく引いてゆく。
 「着替えをしましょうか?」
 「や、このままでいい」
 「でも、随分、汗を掻きましたよ?」
 「お陰様でな?」
 「……すみません」
 細身ではあるが長身の身体を縮こまらせて謝る、和臣を見ることが出来るのは私ぐらいなの
だろう。
 謝るような状況すら起こさせないと評判の高い、歴代きっての高城学園生徒会総長だ。
 幾ら協力者とはいえ、SEXをする仲とはいえ。
 こんな風に理不尽な責めを受ける関係ではないはずなのに。
 和臣はどこまでも私に従順だった。
 「謝るものでもないだろう。嫌なら拒否もできる……。そうだな。では。身体を拭いて適当な寝
  巻きを着せてくれ」
 「はい!」
 



                                ああ、年上でクールビューティー系で犬!
                                             病んでるなぁ、自分。




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