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 アニメ 鋼の錬金術師
 
 ハボロイオンリー記念に(笑)

 ロイ・マスタング大佐
 ……焔の錬金術師。
    実はハボックさんぐらい身長があると格好良いなあ、とか思ってます。

 ジャン・ハボック少尉
 ……銜え煙草がトレードマーク。
    大佐ぐらいの背丈はツボだよね。ちゅうしやすくて、なんて思ってます。


 ほんの、一瞬。短めで、ゴー。



 

 外套
  
  
 ガガガアッツ。ポー。カナカナカン。ビーッツビー。
 『……区……ミ…ネ、ト……区…通…断……否…不……明』
 途切れ途切れの通信を読んでいた、フュリー曹長が勢いもよく私を振り返る。
 「9765.78地点。潜伏中の801部隊の通信が切断されました。隊員数はおよそ十数名。
  安否、不明」
 「やっぱりへまりましたね。ちっくしょう。あのごんたくれ!」
 801部隊を率いるのは、頭でっかちの軍事戦略家・ナナイ中尉。
 ハボック少尉の同期で、とにかく気が合わない人物だったらしい。
 「仮にも上官にごんたくれ、か?ここだけの物言いにしておけよ」
 その使えなさを少尉より聞き及んでいた私は、前線の一隊を任せるには拙い人物だと上告し 
たのだが、お偉いさん方は彼の弁舌に丸め込まれたようだ。
 「イエッサー!」
 顔は歪みきっていても、返事だけは優等生のそれが返ってくる。
 「……中尉。ブレダ少尉と二人でどの程度凌げる?」
 「二時間……二時間半までならば」
 腕時計を見つめた後、中尉が真っ直ぐに私を見つめてくる。
 「予定通りにファルマン准尉が戻ってこれれば、もう一時間延長できると思いますわぁ」
 ブレダ少尉が曹長の無線を横で聞きながら、付け足した。
 「大佐、出られますか?」
 ハボック少尉が机の上で煙草を押し潰す。
 「ああ、出る」
 私は壊れかけた引出しの中に入れてあった予備の発火布を装着しながら、頷いた。
 「大佐」
 少尉が素早く手にした私の外套を腕に下げて近付いてくる。
 促せば、背後に立った少尉は私に外套を着せ掛けた。
 軽く腕を取って、丁寧に両腕ともを通して。
 後ろから猫の首を掴むのに似たしぐさで、襟元を正された。
 乾燥し切った土地で、一週間近くも雨が降っていない、私にはかなり好条件の天候状態
だったけれど、念のため拳銃の装弾を確認する私の側で。 
 少尉も外套を羽織った。
 
 空気を孕んだ外套の裾がふわりと翻る。

 数度、瞬きをして。
 一つ、小さく息を吐いた。

 「準備は」
 最後の確認に。
 「滞りなく」
 短な言葉が返ってきた。
 「では、いってくる」
 軽く流した視線の中で、全員の表情を確認する。
 「お気をつけて。留守は、任されました」
 躊躇いの無い中尉の見送りの言葉。
 背後を按じなくていい戦闘ほど、恵まれたものはない。
 私は、つくづく良い部下を引き当てた。

 背後にぬかりなくついたハボックの存在を感じながら、私は安否不明となってしまった部隊
の全員をかける事無く救うための一歩を踏み出す。

 目の端で大きく、ひらん、と。
 己の外套の裾が躍った。





                                      END




 *一応ハボロイ。
   もそっとハボックの忠犬っぽさを出したかったのですが、なかなか、難しく。
   大好きな作家さんの描く、外套の裾がひらっと翻る様が書きたかっただけ
   なんですけども。

  



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