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 アニメ 最遊記

 最新巻で八戒さんが、花喃をふっきったってーわけでもないですが、
 想い出にできそうな発言を悟浄相手にしていて、何故かこりゃいかんと!
 思い至り打ち出したのが下記の作品です。
 何時も思うことなのですが、 
 自分の思考回路がどんな繋がり方をしているのか不思議で堪りません。

 
 登場人物

 三蔵(サンゾウ・玄奘三蔵法師)
 ……女以外は何でも嗜む生臭坊主。
    悟りの境地に達せない自分を悟っている辺りが、
    三蔵法師にふさわしいのかと思われます。

 八戒(ハッカイ・猪八戒)
 ……体の傷は癒えても、心の傷すら痛みを覚えなくなっても。
    魂の傷が時折どうしようもなく疼いてしまう、困ったさん風で。
    
  
 今回はすっかり出来上がっている二人。
 濡れ場最中の、更なる秘め事的に。





 
諸行無常


 「さんぞっつ」
 俺の腕の下、見事と!褒め称えてもいいような、いやらしいうねりを見せる背中のラインは、
俺を欲しがっているのだなと思わせてくれる逸品。 
 後背位を取っているので、八戒の反応を判断するのに使える材料はといえば、声とこの背
中のライン。
 右へ左へくねる腰から背中までを使って派手に揺らめかす様は、意識してやっているのか
いないのか。
 どの道、俺をそそるもの以外の何物でもないのだが。
 浮き出た腰骨に指をがっちりとかけて、八戒の中を貪っている。
 坊主にあるまじき所業だといっていいだろう。
 俺は、色欲に関しては長く薄い方だと思っていたが、八戒を抱くようになってから考えを改
めた。
 望んで送っていた禁欲的な生活の中で、嵌るほどの色を知らなかっただけなのだと、そん
な風に。
 八戒の体は、とかく、イイ。
 衆道の嗜みは悪習として嫌悪してきたので、勿論抱く相手は八戒が初めてだ。
 抱かれる相手に至っては、幼い頃から全開で牙を向き拒否してきたから、今後もきっと、出
ては来ないだろう。
 すると、八戒は俺にとって最初で最後の男、という事になる。
 八戒以外の男を知らないし、知るつもりもないが。
 八戒以外は御免だという意識が強い。
 百戦錬磨とはいかずとも、俺よりはずっと男女の嗜みに通じた八戒が俺を落とすのなんて
訳なかっただろう。
 実際俺は、こうして八戒の身体を時間と状況が許せば頻繁に開いている。
 なのに、八戒と来た日には何時だって自分が溺れているのだと。
 自分こそが、俺が居ないと生きていない存在なのだと。
 言い続けている。
 その自虐的な色合いが、どうにも鼻について、注意するのだが。
 万事につけ俺に対して鷹揚な八戒が、これだけは譲らない。

 そうと、決めた事はてこでも動かないのだ。
 俺が、折れる程に頑固。

 「っつ……」
 名を呼ばれて、出してしまいそうになって眉根を寄せる。
 「も、出して……くださ、い?」
 ナニの状態で判断したのか、俺の息遣いで知ったのかは判らない。
 ただ、女性を知らない俺には判断しかねるが、たぶん女性のそれよりもいいのだろう箇所が、
俺をいかせようとさらに貪欲に蠢いた。
 「……つ」
 絶妙この上もない腰つきと背中のうねり、更に締め付ける中の蠢きに白旗を上げた俺は、
八戒の中に精液を吐き出した。
 本当は外に出した方がいいだろうと思うのだが、外に出してしまうと結局、中に出すまで欲し
がるので望み通りにしてやっている。
 経験したことはないが、中に出せば辛いのは八戒だと知っているから、なるべく無駄な負担
はかけたくないのだが、八戒がイイというのならば仕方ない。
 困った癖だが時折、痛みや辛さで愛情を図るようなところが、八戒にはあったから。
 腰を震わせて、最後の一滴までもを飲み込ませてから、ゆっくりとナニを抜き出す。
 「さんぞ……綺麗に、しますから」
 綺麗に洗って更に、病気なんぞにならないように丁寧に手入れされているとはいえ、本来繋
がるべきではないただの排泄器官に入っていた私のナニを、瞬時の躊躇いもなく銜えた八戒
は、ちゅるんと音をさせながら根元までを銜えこむ。
 先端をじゅぷっと吸い上げて、中に残っている精液の全てを吸い上げて後、根元から先端
まで裏表万遍なく舐め上げた。
 八戒の愛撫ともいえる後戯に、またしてもナニが勃起してきたのには、我ながら天井を仰ぎ
見たい気分だ。
 「凄いですね、三蔵。もう一回、しますか?このまま銜えてもいいですよ」
 「……もう、十分だ」
 「ここは、そう言ってないですけど?」
 「お前の身体が限界だろう。後始末だってした方がいい」
 「心配してくれてるんですか……」
 「当たり前だ、馬鹿」
 「そこで『馬鹿!』っていう辺りが、三蔵らしいですよねー」
 くすくすと笑いながら、身体を起こした八戒は、天蓋ベッドと言われる褥のヴェールを軽く持
ち上げると、後始末をしに行ってしまった。
 俺は八戒の姿がヴェールの向こうに消えるのを確認してから、寝ていても手を伸ばせば届
く場所に置いてあった煙草を指先だけで探す。
 かつっと、まずは陶器製の灰皿に指があたり、次はかしゃっとライターにあたり、最後によう
やっと、かしゅっと滑る様な音がして煙草に突き当たった。
 八戒の『本当に美味しそうに吸いますよね』というセリフを頭の中で準えながら火を点けた。
 一息に吸い込んで、肺の中まで取り込む。
 独特の芳香が身体の隅々にまで行き渡る気がするのは、未だ俺が興奮状態にあるからだ
ろう。
 八戒が側を離れて、幾らか落ち着いたナニだったけれど。
 また奴が側にきたら暴れかねない程度には、熱は引き切っていないのだ。
 「あー旨いな、煙草」
 普段は、さして感慨もなく習慣的に吸っているけれど。
 情事の後。
 特に自分も八戒も満足するようなSEXの後には、事の外美味いと感じる。
 天井に向かってたなびいて行く煙を見るともなしに、見ながら八戒の帰りを待った。
 後始末の手伝いも、愛情表現の一つっしょ?とのたまった悟浄の意見に頭から同意する気
はなかったのだが、確かに一理あると思って手伝おうかと申し出た時の八戒の返答。
 『舞台裏は見ない方が萌えるものですよ』
 に、手伝わない方がいいと判断して大人しく待っているが、そんなプレイもあるのだと知って
からは、少々揺らぐ時がある。
 基本的には八戒の嫌がる事はしたくないので、黙っているけれど。
 ちょっと興味津々といった風情で求めれば奴は、たやすく己の望みと正反対にある行為で
も、簡単に身体を投げて寄越すから。
 それを、愛故と思い切るには俺は八戒に執着しすぎている自信もあったから。
 様子を伺いつつ、お互いが楽しめる行為を試行錯誤で探し続けている。


 八戒と寝るようになって、随分が経つ。
 悟浄には『三蔵法師様ともあろうお方が、肉欲に溺れようとはねー』からかわれ、悟空には
『八戒を独り占めして、ズルイよ,三蔵はっつ!』と暴れられ。
 それでも、部屋割りが上手くいけば何時だって八戒を独占している。
 あれやこれやと細やかに世話を焼いてくれる上に、沈黙が疲れない相手は八戒ぐらいもの。
 例えばその存在に執着していなくとも、共に居るには楽な相手だったには違いない。
 付き合いが長くなるにつれ、手離しがたくなる、そんな人間の典型だろう八戒という男は。
 正直、この、俺が。
 このまま永久に、気楽な旅を続けられればいいのにと、思ってしまうほどに。
 俺も坊主だ。
 まがりなりにも、大切なお師匠から頂いた『三蔵』の名を紡ぐ者だ。
 永久なぞ、心の底から信じていない。
 信じられるはずもない。
 けれど……。
 「……どうしました、三蔵?眉間に皺、寄ってますよ」
 風呂から上がった、八戒が俺を真摯な顔で覗き込む。
 「んあ?何でもねーよ……ちっと、お師匠様の事を思い出しただけだ」
 「ああ……それでは、仕方ないですけど。きっと光明三蔵法師殿は、貴方が自分を思って
  そんな顔するコト望んではいないと思いますよ?」
 わかっていても、そうなるんでしょうけどね。
 と、穏やかに笑ってみせる八戒は、深く刻まれた皺の上、口付けを一つくれる。
 清楚な石鹸の香りが、何故か甘く鼻を擽った。
 煙草を潰して首に手を回せば、俺の腕の中。
 すぽっと収まる、ぬくもり。
 風呂に入っただけではない、抱き締めて満たされる温かさ。
 「髪の毛、ちゃんと拭いとけよ。風邪を引く」
 「……貴方が、そんな風に心配してくれる日が来るなんて……」
 「…お前人をナンだと思ってるんだ」
 首に巻かれたタオルを引き寄せて頭を掻き混ぜてやれば、くすくすと笑い声が零れた。

 許されるとは、思っていない。
 許されようとも、思っていない。
 
 ただ、俺は坊主である事を飲み込んで尚。
 八戒と共に、永久を過ごしたいと思う。

 例えそれが、絶対に叶わぬ空中楼閣だとしても。




                                            END




 *最遊記・三蔵八戒
  やっぱり愉しいなぁ。この二人。
  自分が好きな作家さんとかに書いて欲しいなぁとか思うくらいには。    
  逆カプは結構よく見るんですけどねー(苦笑)





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