前のページへメニューに戻る次のページへ




 「口に含んだ時の感覚も、ちょっと似てるよね。甘いのと美味しいのはそっくり」
 「んっつ」
 目立たなかったはずの乳首は、景時の手によって存分に、赤く勃起させられた。
 見たくなくても、湧き上がる快楽と恥ずかしさに負けて、つい薄目を開いた時に、視界の端に
映ってしまうのだ。
 すっかり成長した乳首が。
 向こうの世界に居た頃は、こんなに赤くもなかったし、大きくもなかった。
 雑誌とかを読んで、気持ち良いっていうから、自分で少しだけ弄ってみたけれど。
 特に気持ち良くはなかったはずなのに。
 今は、景時に弄られなくても、時々。
 服が擦れただけでも、感じてしまうことがあった。
 「ほら。大きくなってきた。それに、硬いね。もっと触ってって、自己主張してくる硬さだよね」
 「ちがっつ!」
 「乳首は、随分大きくなるもの。おっぱいだって時間の問題だよ。今日から、二人きり時は
  何時でも目一杯揉んであげるからね」
 「そんなに、しなくても! やああっつ」
 今度は乳首を抓られながら、乳房が揉まれた。
 最近は、こうされると何故か太股を擦りつけてしまう。
 「ん? もぉ、こっちを弄って欲しくなっちゃったの」
 背中から伸びてきた大きな掌が、両乳首に指を引っ掛けてぐぐっと中央に寄せる。
 押し付けられて、胸の中に沈んだ乳首が痛くて、首を振れば、宥めるようなキスが項に
届いた。
 「ほら、望美ちゃん。股開いてよ。欲しいんでしょう、ここにも」
 俺の、指。
 と、耳朶を舐められながら言われて、背筋を突っ張らせれば、余計。
 乳首を押さえ込む指に胸を押し付ける格好になって、辛い。
 「や、景時さっつ。乳首っつ、いたいのっつ」
 「痛いの、嫌?」
 「ん。や」
 「じゃあ、やめたげるから、代わりに……わかるよね」
 私は、躊躇いながらも太股を開く。
 もっと、と唆されて、ぐいっと大きく開いた。
 「膝、たてて」
 言われた通りに膝を立てれば、纏わりついていた着物が肌蹴て、下肢までもが露になった。

 ぎゅうと、強く目を閉じても羞恥は消えない。
 むしろ強くなってしまった気がする。
 「あーもー。可愛いなぁ、望美ちゃんは」
 くすくすと楽しそうな笑い声。
 聞き慣れた声とは裏腹の、男の笑顔が少しだけ怖い。
 見えなくてもわかる。
 彼が、どんな風に自分を見ているのかなんて。
 「ねぇ。望美ちゃん。俺、望ちゃんのここ、見ながら可愛がりたいな」
 「駄目っつ」
 「ええ? どうして! まぁ、抱っこしたまま指でしてもいい、けど」
 「けど?」
 「それじゃあ、足りないでしょう」
 「っつ!」
 景時の指は男らしく太くて長い。
 節くれだった指が中を出入りするのはとても気持ちが良いし、SEXが得意分野にも入って
しまうらしい彼の爪先は私のクリトリスに、傷付けぬよう絶妙な刺激を与えて呆気ないくらい
簡単に絶頂へと導いてもくれる。
 しかし。
 「……望美ちゃんは、舐めたりしゃぶられたり。舌でこねこねされちゃうの、大好きだもん
  ねぇ」
 「やあっつ!」
 言いざま強く押し付けられていた指が離されれば、見る間に乳首が勃起した。
 「指とか爪とか、硬いもので激しくされるのもお気に入りだけど、こうやって……」
 「あ! あああんっつ」
 勃起した乳首の先端を、指の腹でそっと。
 触れているのかそうでないのかくらいのタッチで撫ぜられる。
 景時は、最初から短時間での激しい愛撫よりも、時間をかけた緩やかな愛撫を施してきた
ので、私はそれにすっかり躾けられているのだ。
 「そうっと、優しく。長く、長く。うんと時間をかけて、ゆっくりと絶頂に上り詰めるのが一番
  気持ち良いだよねぇ」
 「言っちゃ、駄目っつ」
 「本当でしょう」
 器用な景時の足首がひょいっと、私の足首を引っ掛けて、大股開きの状態のまま、固定
してしまう。
 恥ずかしい場所が外気に晒されて、とろりと蜜を滴らせるのを感じた。
 「や! やあっつ! 景時さっつ。これっつ、やあっつ」
 「良いでしょう? 別に。誰も見てないんだし。それとも、俺に見せてくれる気になったかな」
 「でもっつ。恥ずかしいのっつ」
 「俺は嬉しいよ。俺の手で望美ちゃんが、どんどん可愛くなってくれるんだからね」
 散々指の腹で焦らされた乳首の先に、爪が掠める。
 「ひうっつ!」
 「そんなに、こっち見られるのが嫌なら、乳首だけでイってみる? 望美ちゃん、感じやすい
  からきっとできるよ!」
 将臣君なら、きっと言ってくれただろう。
 AVの見すぎ! 
 と。
 しかし、私はそれが強ち都市伝説でないのを知っている。
 異様に時間はかかるし、最後の刺激は直接与えなければ駄目だけれど。
 乳首でイったと言われてもおかしくなるくらい、追い詰められた事が過去にあったからだ。
 あの時は、許して許してと泣きじゃくりながら、騎乗位を取って自ら景時の性器を飲み込んで、
腰を振ることでどうにか篭った熱を逃がしたのを覚えている。
 「それはっつ。いやっつ!」
 「じゃあ、見ても良いよね?」
 どちらかを取らなければ、望まぬ方を強いられる。
 普段はとことん私を気遣って、何でも言うことを聞いてくれる景時だが、SEX時限定で、全く
私の言うことを聞き入れてくれないのだ。
 「……望美ちゃん?」
 「……酷いコト、しないで」
 「しないよ。俺は望美ちゃんに酷いことなんて、二度としない。殺されたってしない!」
 「う、うん」
 思いもかけぬ激しい口調の景時に、気圧されながらも大きく頷いた。
 一度裏切ってしまえば、その裏切り行為は抜けぬ棘となる。
 景時には、抜けぬ棘が幾本も刺さっているのだ。
 家族の為、部下の為にあえて受け入れざる得なかった棘ごと。
 彼を愛すると誓ったけれど。
 こうして。
 場違いな場面でまでも、トラウマを刺激されている愛しい人を見ると居た堪れなくなって。
 何でも、してあげたくなる。
 「……見て、いいから……触っても、いいから……そんな追い詰められた顔、しないで?」
 「……ごめんね。ちょっと……」
 「いいの。気にしないで。私が変な事言っただけだから」
 「うん。でも駄目だよね。こーゆー時に、気を反らしたりしたらホント、ごめん。お詫びに、
  俺が出来る限り! 良く、するから……」
 「あんまり、頑張らなくても、ひ! ああうっつ」
 背後から私を抱き締めたままで、景時はクリトリスの皮を剥き上げた。
 脳天まで突き抜けた鋭い快楽に、全身を硬直させて震える。




                                   ラストは決まってるんだけどなぁ。
                 



                                         前のページへメニューに戻る次のページへ
                                             
                                             ホームに戻る