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 ゲーム 女神異聞録 ペルソナ 

 主人公の性格設定を自分で決められる、ゲームにおいての鬼畜主人公設
定はここから始まりました(笑)
 高城に続いて書いた量の多いシリーズでしょう。
 戦闘シーンに萌、オリジナル設定に心を砕き、キャラの女体化もこれで覚え
ました(悪)

 アトラス発売 イラスト・金子一馬氏 メガテンシリーズの派生シリーズ 女神
異聞録シリーズ PSでプレイでき、只今廉価版が出ております。
 ダンジョン攻略は半泣きになりますが、ストーリー&キャラクターは文句なし
です!! お時間ある方は、ぜひ挑戦してみてくださいませ♪
 
 ちなみに、綾瀬は女神異聞録ペルソナしか興味ありません。
 後のペルソナ 罪&罰も攻略しましたけども。

 登場人物
 藤堂 樹(とうどう いつき)
 ……超鬼畜設定主人公。南条氏に激烈ラブ。公式設定はとっても変な髪形
    です(笑)18歳。

 南条 圭(なんじょう けい)
 ……南条コンツェルン次期後継者。典型的お坊ちゃま気質。金持ち♪
    18歳。

 このお話は、彼らが聖エルミン学園を卒業した直後辺りの設定。
 二人は肉体関係有だけども、樹の強引さに引き摺られてここまできてしまっ
た、と思ってくださいまし。




 
観覧車
  
                                     
 『もう、終わりにしてくれ』
 と、南条が言った。
 抱き合うようになって、半年。
 南条の大切な人が亡くなって、一年。
 一度懐に入れた人間には、とことん甘い南条が、どれほどの決意でその言
葉を口にしたか、わからないほど馬鹿な俺でもなかった。
 日本五大財閥の中で、最小とはいえ、歴史が浅いとはいえ、おいそれと投
げ捨てられるものでもないのだろう、次期総帥という地位は。
 スキャンダルなんてもってのほか。
いつまでも男に抱かれているわけにも、いかない。
 俺は別に南条が望むなら、一生隠し通す心づもりもあったけれど。
 南条は、隠さなければならない、やましい交際なんてできる性分じゃない。
 俺達の関係をやましい、と割り切って続けられるほど強い男ではないのだ。 
 言い方を替えれば潔癖だといってもいい。
 割り切れないから、別れる、とそういう心積もりなのだろう。
 
 そんな所もひっくるめて、好きなんだけども。
 
 南条は俺の、執着を甘く見すぎている。

 今度、遊園地に行こう!
 という俺の提案に、不承不承ながらでも頷いてくれたのは、最後のデートのつもりだったから
だろう。
 そうでなければ『そんな子供じみた場所へどうして行かなければならないんだ』と苦味潰しの
表情で拒否されるのが関の山だった。
 
 不衛生だからといって買い食い経験すらないお坊ちゃまな圭も、俺と一緒に行動した期間で
、だいぶそれが楽しいものだという認識を深めた。
 俺の真似をしてフランクフルトにケチャップとカラシを目一杯付けて、涙目でこっそり鼻を抓
まれたには、本当。
 可愛いやねって。
 口元も緩む。

 何度も繰り返して握り締めれば、いい加減疲れもしたのか。
 振りほどかなくなった手に、指を絡ませて引っ張る。
 「圭。あれ、乗ろう?」
 「観覧車、か」
 「そ。日本で三番目に大きい観覧車なんだって。1周するのに30分ぐらいかかるらしいよ」
 朝御飯も昼御飯も遊園地で食べた。
 もうすっかり暗くなって、星が瞬いている時間。
 観覧車の一番上から見る景色は、どんなものなのだろうか。
 綺麗、なのだとの想像はたやすくついた。

 係員にフリーパスのチケットを見せて、圭の腰を拾って先に入れてから、自分も入り込む。
 五人まで乗れるので、二人きりで乗るとかなりのゆとりを感じる。
 かしゃっとドアが閉まり、がしゃっと大きな鍵が下ろされた。
 「密室だねー。圭」
 「……そうだな……せっかく広いのだ。何も隣りに座る事もないだろう?」
 「恋人同士は、こうするもんでしょっと」
 「おい!」
 「大丈夫。下半身は見えないようになってるし。誰も、自分達のことで精一杯で気にもしてない
  よ」
 暴れる圭の身体を抱き抱えて膝の上に乗せてしまう。
 ただがむしゃらに暴れるだけの幼い抵抗も、観覧車の高度がゆらゆらと上がるに連れておとな
しくなってきた。
 
 「圭?」
 「……何だ」
 「俺、別れねーよ?」
 「樹……わかってくれ……私だけの都合ではないんだ」
 大金持ちにありがちな冷え切った家庭環境の中で、たった一人圭を慈しんでくれた召使。
 今はもう鬼籍に入ってしまった、執事の山岡さんの遺言は。
 『日本一の男子におなりください』
 それはきっと、南条コンツェルンを継いで下さいという意味ではなくて。
 己のみに恥じぬよう生きて欲しいという、切なる願いだったのだろうに。
 盲目的な生真面目さを持つ圭には、歪んで伝わってしまったようにも見えた。
 「圭だけの都合だったら、一緒にいてくれたかよ?」
 「……わからない」
 こと、SEXにしたって、俺が無理やり仕込んだ。
 痛みよりも快楽を優先した自慰の延長のようなSEXは、それでも女知らずの圭を、溺れさせ
もしたけれど。
 完全に丸め込めるほどのものではなかった。
 けれど、ここで手を引いてしまったら、圭は俺を完全に忘れるだろう。
 若気の至りですませられる、ぬるい執着度合いと思っているなら大間違いだ。
 「ただ、私にはお前を選べない。選ぶわけにはいかない」
 「予想してたけど。直に言われると結構くるな」
 選ぶわけにはいかないと、いいのならば。
 「……選ばせるように、してやるよ?」
 考えて、考え抜いた結論はこれ。
 俺は、圭のこめかみに両掌を押し付ける。
 「全部、忘れてしまえ?」
 異世界への扉がとしてしまっても、俺だけに残ったペルソナの力は、きっと圭を完全に俺の
ものにするための手段だったのだ。
 
 一番近い表現ならば、洗脳。
 噛み砕いて、記憶の改ざんといったところか。
 「……樹?」
 俺の言葉に訝しげな色を浮かべながらも、抵抗はない。
 最悪でも、自分に不利益なことはしないと、踏んでいるのだ。
 それだけ信じられて、同じように信頼を返せる男だったならば、おまえを手放せただろうに。
 「愛してるよ、圭……愛してる」
 お前に出会うまでは、いや、出会ってからも、誰某構わず手をつけてきた俺だけれど。
 せめて、お前だけを抱き締めると誓うよ。
 そんな戯言が、贖罪になりはしないのを、百も承知の上で。
 「ナニを、して、いる」
 自分に使ったことはない。
 相手の記憶を奪ってしまう技。
 どんな風に圭が感じているのかは、わからない。
 ただ瞳に不安が差して、俺を掴んだ手に力が篭もった。
 「お前の頭ん中を、作り変えてるんだ。俺に都合の良いように」
 額に唇を寄せて、ゆるく微笑んでみせる。
 「何を、馬鹿な、事!」
 信じたくないと、目が露骨に訴えていた。
 己の体から力が抜けて、それ以上に何かが喪失してゆくのを、感じているのだろう。
 それでも、まだ。
 ……俺を信じていた。
 馬鹿な、奴。
 ゆっくりと、自我を失ってゆく圭を見つめ続ける。
 激烈な意思を持った瞳が、ゆらゆらと覚束ないものになってゆく。
 目の端に映る、観覧車特有の光景は、きらきらと輝きに満ちて上り詰め、既に下りにと
入っていた。
 「……い……つ…き……」
 「うん?」
 「……お前が、好きだった……大好き、だった…今でも…愛……して。るのに…な、ぜ?」
 誇り高い男が、同姓相手に好きだと告げる。
 それがどれぐらい破格の扱いなのか、わからないじゃない。
 でも、言葉なんかいらないのだ。
 お前が、俺の側にいないのなら。
 俺の腕の中で、眠らないというのなら、おままごとのような生易しい言葉だけの愛など。
 「……ごめんな。俺ばっかり、お前を愛しすぎたよ」
 体中を包む、緩やかな落下の感覚。
 観覧車は一周する。
 お前の記憶を奪いながら。
 「私も……愛、して、る……のに……どお、し……て」
 物事何でも白黒きっちりつけたがった、お前の、最後の言葉が疑問符だなんて、俺はどこ
までお前に、らしくない行動を取らせたのだろうか。
 圭の瞼が、ゆっくりと閉じた。
 次に目を開く時は、別人だろう。
 俺の事しか、考えられない圭の、出来上がり。

 ああ、やっと願いが叶う。

 圭の閉じた眦に唇を寄せれば、微かに、塩の味がした。
 塩の味は、唇を押し付けている間にどんどん強くなってゆくので、俺は泣いていたのが圭で
はなく、自分なのだと、知る。
 自分がしでかした事を後悔して泣くのは、これが最初で最後だろう。

 がたんと一際大きく揺れて、観覧車が地上についた。
 高さに酔ってしまった風に見せかけて、圭の身体を抱き抱える。
 人目を気にする圭は、目を閉じたままでいる。
 俺は雲を踏むような足元の覚束ない幸福感に包まれながら、家路についた





                                          END




 *主人公×南条
  これもまた、幸福の形。歪みまくり。
  ハッピーなのは高城がらみで散々書いているんで、たまにはよかろうて。
  って、主南自体が久しぶりですじゃ。
  オリジナルにまで関わらせたかっただけあって、ずっと好きなんだなあ、
  と自覚しましたとさ。





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