静岡鉄道駿遠線の忘れ形見

 

 

 かつては路線総延長60kmを越えたという軽便の王者も、今ではほとんど話題にならないほど、遠い過去の鉄道となってしまった。「蒙古の戦車」と呼ばれたDLや、湘南型の塗り分けのDCなど、個性ある車両が相当いたはずなのではあるが、現在に残る車両は、私の知る限りではこの1両のみである。藤枝市の郷土資料館にいるこの蒸気は、大井川鉄道のKATOのフォトランに向かうおりに、寄り道して向かった。早朝であったので、「入館しないと撮れないのではまずいな。」と思っていたが、資料館脇の庭に屋根つきで保管されており、問題はなかった。最近は小坂鉄道の11号SL+客車や、立山カルデラ資料館などのように、入館料を払ってからでないと見れない場合も多く、何かのついでで行く事の多い私には、少々しんどい場合が多い。柵の向うの機関車を目の前にして、あきらめてくることもある。

 井笠鉄道の車両が現在でもあれほど残っているのに対し、この鉄道ではこの1両のみ、この差は何か訳でもあるのだろうか。地元が廃止時にどれほど鉄道に愛着を感じていたかということなのであろうか。この鉄道を代表する機関車というわけではないと思うのだが、時代を越えて生き長らえる「運命」というものを感じてしまう。

 

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