「近畿日本鉄道 20000系(楽)」 

 

 

  「楽」ないですかねぇ。そう言って時は流れた。一度近鉄に乗っていて、先頭車でかぶりついていたら、突然彼は現れた。あわててカメラを取り出しシャッターを切るも、こんなカットじゃ満足できないというものであった。またSさんに泣きつきメールする。「楽ないですかねぇ・・・。」そんな私の無理なお願いに、S氏は問い合わせしてくれた。「あるそうですよ。」そんなメールを確認したのは、前日の夜であった。あきらめて岐阜に移動していたが、幸い撮影可能区間は早朝の伊勢周辺のみ。明治村や東山動物園回りの予定であったが、そうそう入る情報ではないと急遽変更、5時おきして伊勢を目指す。

 宇治山田で念のため駅員に聞いてみると、そんなダイヤの列車がないという。にわかに雲行きが怪しくなってきた。「また、やってしまったか・・・。」駅員さんはそれ以上は応えてくれず、私は不安を抱えたままレンタカーを借りることにして、情報収集にいそしんだ。

 

 

 

 

 どうもこれらしいという運用がわかったので、撮影地を順光のカーブに決め構える。「来るだろうか・・・。」不安のもと特急電車が続々とやってくる。「特急王国だな。」これほどのものとは知らなかった。楽しめる!

 そして「楽」はやってきた。でも後ろから通勤電車が!「かぶった〜。」その時はホントにそう思って落ち込んだ。でも現像して上がりを見ると、かろうじて抜けてくれた。4両という短編成が幸いした。毎度の事ながら気が気でない。折り返しは鉄橋で撮影。

 

 

  かぶっていたと思ったこともあり、夕刻の運用も撮ることにした。再びアウトカーブに構える。露出がどんどん落ちてきて長玉を使えなくなってきた。今思うと、もっとサイドがちに撮る方がかっこいい気がする。

 

 

 最後はZoomしかもってこなかったこともあり、少々露出がしんどかった。深い安堵とともに撮影は終わった。なかなか出会えない快晴青空の下での撮影、こんな充足した撮影も久方ぶりであった。

 

(2003-1撮)

 

 

MENU