西武山口線

 地方鉄道の免許を取っているとはいえ、やはり遊園地間を結ぶ遊戯施設そのものという感じがしていた。それが軽便鉄道というものに興味を持っていくことで、その中でも最後の2大路線とも言うべき井笠鉄道と頸城鉄道のコッペルを動かしている貴重路線で、とんでもないところであったんだと気づいた頃には後の祭り。コッペルはちょうど返還され雑誌にNEWSになる頃であった。そこはかとない後悔とともに、撮り続けたのがその後の山口線である。

 毎年、運転開始初日が重連であったので、カメラをバックにトコトコ出かけていった。沿線はほとんど道路との並走で柵に挟まれ撮りづらかった。貯水池の脇を通っているのだが、これを入れてのカットは1枚しか見たことがない。(「世界の鉄道・蒸気機関車100年」これが素敵なカットだったが、一般では撮れない場所と記憶している。)それ以外となると車庫の敷地からのカットがベストポイントであった気がする。

 

 

 休・祭日は遊園地への人でごった返す山口線も、平日のそれも雨の日などはほとんど人影がなく、蒸気牽引の井笠鉄道の車両という、当時でもぜいたくな編成を心ゆくまで楽しむことが出来た。学校帰りに立ち寄り、オープンデッキに立って、バック運転の蒸気を楽しんでいると、Yシャツがすすで真っ黒になっていた。「うわっ。」と思ったが、いにしえの軽便を実感したようで、なんともうれしかったのを覚えている。この路線に接することが出来たことで、見ることのなかった軽便鉄道の紹介写真を見ても、きっとこんな風であったのだろうと、イメージを大きくふくらませることが出来た。夕暮れに遠くに聞こえる、寂しげで頼りなげな汽笛はなんともいいものであった。

 

 

 ここには蓄電池式の機関車もいたが、こちらはあまりにも遊戯施設のそれぽかったので、カラーで記録していない。今のようにビデオが普及していれば、もっといろいろな形で記録できたのにとも思う。軽便の動画の記録集などどこかで販売してくれればうれしいのであるが・・・。そう言えば、「続・警察学校」という映画であったか、モノクロではあるが沼尻鉄道のSLが結構出てきてかなり貴重である。また、題名は失念したが、南大東島のSLが出てくる映画もあった。こちらはなんとカラーである。軽便鉄道時代の現在の総武流山電鉄のSLを使用した映画もあるらしいが、こちらは見たことがない。そのうちこのような記録もまとめてUPしたいと思っているので、お好きな方、情報をお願いいたします。(最近「カルメン故郷に帰る」やらないなぁ〜)

 ちょうどこんな感じで、よその鉄道の事に一生懸命になっているおり、突然西武鉄道が西鉄よりライオンズを譲り受け球団経営をはじめた。これがこの鉄道の消滅につながるとは夢にも思っていなかったのであるが、西武ライオンズ球場の建設にともなう、観客輸送ラインにこの鉄道も組み入れられ、輸送量アップとイメージアップのため、新交通システムへの切り替えが発表され、安泰かと思われた山口線は意外な結末を迎えたのである。機関車は当初駅跡に客車ごと保存されたが、その後一部が丸瀬布に渡ったのは皆さんの知るところです。

 

 

 この路線のことを書いていたら、無性に蒸気の列車に乗ってみたくなりました。そう言えば明治村で昨年だったか、閉園時間を延ばして夜間まで営業しておりましたが、今年もやるんでしょうか。なんか、いい雰囲気を味わえそうな気がしているんですけれども・・・。

 

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