「総武流山電鉄の森」

 

 

 中学生のときだから20年以上前のことになる。友だちと自転車で写真を撮りに行こうと言うことになり、どこにしようか思案していた。地図を見ていると常磐線の馬橋から総武流山電鉄という聞きなれない路線を見つけた。どんな車両がいるのか皆目不明、一応鉄道ファンを自称していたにも関わらず、まったくマーク外の鉄道であった。行く先はかくして当鉄道に決定。早朝当時住んでいた永福町を出発して、昼近くに流山にたどり着いた。とにかく今から思えばよだれが出そうな貴重な電車が走っており、車庫であった流山の構内には、南武鉄道から流れてきた100系やら、怪しい廃車体が置かれていて僕らはすっかり満足したのであった。そんな流山の構内にポツンと留置されていたのが、この今をときめく森製作所のDLであった。当時はそんなに珍しいものとは思わないので、軽くスナップして終わりにしてしまった。この時からして廃車の色が漂っていてたので、もう動かないものと決めてかかっていた。

 何年かぶりに当線を訪問すると、機関車は馬橋に移動していた。自走していったのだろうか。今から思えば、もっとちゃんと調べて記録して置けばよかったが、後の祭りである。結局は一度も動くことを見ることなく姿を消してしまうのであるが、私が唯一出会った「森」として、今でも忘れられない機関車のひとつとなっている。

 

 

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